胡蝶蘭に霧吹きでスプレーすると長持ちするって本当?正しい水の与え方を詳しく解説
品種が豊富で、比較的価格が高価な胡蝶蘭は、贈り物として定番という印象が強いのではないでしょうか。胡蝶蘭は、熱帯地域が原産国となり日本での自然栽培が難しい花です。
日本では、栽培農家が時間と手間をかけて出荷し、生花店やネットショップなどで販売しています。
そのため、家で自分で育てるのは難しいと思ってしまいますが、胡蝶蘭は室内で、正しい手入れをすることで長持ちする花です。
今回は胡蝶蘭を長持ちさせる方法や正しい水の与え方について紹介していきます。
胡蝶蘭の上手な水の与え方
胡蝶蘭は、原産国が熱帯地域であることから、多湿な環境を好みます。そのため水を適切に与えることは、非常に重要です。胡蝶蘭は鉢植えに植えてあることが多く、使われている土は保水性の高いものがほとんどです。
しかし、多湿を好むといっても頻繁に水やりをする必要はないようです。胡蝶蘭に水を与える頻度は、1週間から10日おきに1回が最適とされています。
土が乾いていることを確認してから水を与えましょう。
もし、まだ土が湿っている場合は、水を与えなくても大丈夫です。
特に冬場は、水やりの頻度がより低くなることが予想されます。頻繁に水を与えすぎると根が腐る、カビが生えるなどの悪影響が出る可能性もあり、胡蝶蘭を枯らしてしまいますので注意しましょう。
水苔で胡蝶蘭を育てるときの水の与え方
土ではなく、水苔で胡蝶蘭を育てる場合は、水やりの頻度が土とは異なります。水苔とは、苔の一種で適度に隙間があり通気性や排水性に優れています。また、土と比較して柔らかいため根を傷つけにくいという特徴もあります。
水苔で胡蝶蘭を育てている場合は、土同様、乾燥してからの水やりが適したタイミングです。表面上は乾いているように見えても、秋~冬にかけて湿度が低い時期には奥まで乾ききっていないことがあります。
奥まで乾いていない状態で水を与えると、カビの原因になりやすいので注意しましょう。水苔は土より保水性が高く、2週間に1回程度の水やりでも問題ないとされています。よく観察して正しいタイミングで水を与えましょう。
霧吹きで水やりすると長持ちするって本当?
胡蝶蘭に水を与える際に霧吹きで水をスプレーすると長持ちするといわれていますが、これは本当なのでしょうか。
胡蝶蘭は前述したように頻繁に水を与えなくても長持ちします。
水の与えすぎは根腐れを起こしやすく、胡蝶蘭が長持ちしない原因にもなっています。
水やりの加減がわからない方は、霧吹きで水やりするのがおすすめです、霧吹きでの水やりは、適切な量の水が与えやすいといわれています。
胡蝶蘭に水やりするときは、なぜ霧吹きがいいのか
胡蝶蘭の水やりには、霧吹きで水をスプレーするのが良いとされています。その理由は胡蝶蘭が持つ3つの特徴が深く関わっているようです。では詳しく見ていきましょう。
胡蝶蘭は乾燥と寒さが苦手
胡蝶蘭は、原産国が熱帯地域であるため、高温多湿を好みます。そのため、胡蝶蘭を室内で手入れする際には、この環境に近づけることが重要です。
春から夏にかけての暖かい季節は、胡蝶蘭の好む環境に近づけやすいですが、秋から冬にかけての寒い時期は、室内温度を15度以下にしないように注意が必要です。
また。多湿な環境を好む胡蝶蘭は、霧吹きでミスト状の水を吹きかけることで、一定の部分に水分が偏ることがほとんどなくなり、土や水苔全体を湿った状態にすることが可能です。
植物だが土に生えていない
家庭用の胡蝶蘭は、鉢植えで育てることが多いですが、自然生息している胡蝶蘭は木の上に根を張るため、土の中に埋まっているわけではありません。
そのため、本来の胡蝶蘭は根が空気にさらされている状態が長く、通常の植物と比較すると根の吸水力が弱いという特徴があります。
また、胡蝶蘭は多湿な環境を好みますが、胡蝶蘭の根は湿気を好みません。
家庭で胡蝶蘭に水を与える際、たくさん水を与えようとしがちです。
胡蝶蘭には、霧吹きでスプレー上の水を吹きかけるだけで、土や水苔の表面から中ほどまでが湿った状態になります。
根の深い部分まで水が浸透しないぐらいが胡蝶蘭には適しているのです。
葉が水分を吸収しにくい
一般的な植物は、光合成を行う際に、葉の裏側にある気孔という小さな穴を開き、二酸化炭素を取り込み、同時に水分を失います。
多湿な環境を好む胡蝶蘭は、水分を失うことを嫌うため、光合成の際に気孔が開かないという特徴があります。気孔は夜になると開き、その間に昼間吸収できなかった分の、二酸化炭素を吸収、同時に葉から水分を吸収する力も強くなります。
霧吹きで胡蝶蘭に水を与える際、土だけではなく葉にも水を吹きかける「葉水」を行うことで胡蝶蘭の特徴に合わせた適切なお手入れが可能になります。
霧吹きを活用した胡蝶蘭のお手入れ方法
ここでは前述した胡蝶蘭の3つの特徴を踏まえたうえで、霧吹きで水を与える際のおすすめテクニックをご紹介していきます。胡蝶蘭の特徴に合わせたテクニックを活用することで、胡蝶蘭がより長く美しい花を見せてくれるはずです。
葉水をやってみる
胡蝶蘭は光合成を行なう際に気孔を開かないことで、水分を失うのを防ぐという特徴があると前述しました。この特徴を活用した「葉水」というお手入れ方法があります。特に初めて胡蝶蘭の手入れを行う方は聞きなれない言葉でしょう。葉水の意味や具体的なやり方、注意点を抑えて実際に葉水をやってみましょう。
葉水とは
葉水は観葉植物の葉に水を吹きかけることであり、胡蝶蘭以外にもさまざまな植物を室内で育てる、手入れする際に取り入れられている方法です。
植物は根から水分を吸収すると認識している人が多いですが、実は葉からも水を吸収します。この植物の特徴を活用して葉水を行うことで、室内で育てる胡蝶蘭や観葉植物をより長く持たせることができます。
葉水のメリット
多湿を好む胡蝶蘭の葉を霧吹きの水で濡らすと、胡蝶蘭が好む環境に近づけることができます。夜間に気孔を開き、水分を吸収する際も葉が濡れていることでより、多くの水分の吸収が可能になります。
また、室内に胡蝶蘭を置いておくと葉にホコリつきやすく、こまめにふき取る必要がありますが、葉水を行うことでホコリが溜まりにくくなります。胡蝶蘭にありがちな葉ダニの影響が出ることも防いでくれるため、胡蝶蘭への葉水はメリットが非常に多いのです。
ぜひ日頃のお手入れに取り入れてみてください。
葉水をやる際の注意点
葉水の効果が最も出やすいのは、乾燥する冬の時期です。時間帯は夜間から、午前10時ごろまでの胡蝶蘭の気孔が開いている時間に行うのがおすすめです。
気孔は、葉の裏側に多くあるので表面ではなく葉の裏側中心に、霧吹きで水をスプレーしましょう。このとき、花びらにスプレーした水がかかると痛む原因になってしまうので注意が必要です。
表面にも軽く葉水を行い水が溜まったり、濡れすぎてしまったりしたときは水分を軽くふき取ってあげましょう。
冬場の葉水は効果的ですが、冬の水は常温でも胡蝶蘭にとっては冷たすぎます。やや温い水を使うか、朝であれば、日光で温めた水を使うと良いでしょう。
植え替え後に霧吹きで水やりをしてみる
胡蝶蘭は状態に合わせて適度に植え替えが必要な植物です。植え替えをした直後は、通常よりも、胡蝶蘭が過敏な状態になっているため、胡蝶蘭の状態が安定するまでは、水やりを控えて根を乾かします。
そもそも植え替え後の胡蝶蘭に水やりは必要なのか
胡蝶蘭は植え替えてから約1週間は水を与える必要がないとされていますが、
水やりをしない期間のお手入れに霧吹きを使うと、過度の乾燥を防ぎ、根が早く出てくるようになります。
2~3日に1回の頻度で葉の裏側に霧吹きで水を吹きかけてあげましょう。 その際に、植え込み材料を濡らさないように気をつけてください。
その後は、土や水苔の状態をこまめに見ながら、完全に乾いている状態のときに水を与える必要があります。植え替え前同様、水の与えすぎに注意し適度な頻度で水を与えましょう。
植え替え後に胡蝶蘭に霧吹きで水を与えるメリット
植え替えは、胡蝶蘭を長持ちさせるために必要なお手入れの一つです。しかし、植え替える際には「剪定を行う」「土を変える」など胡蝶蘭の負担になる工程がいくつか存在します。大きなストレスを与えることで、逆に胡蝶蘭が枯れてしまうきっかけになることもあるようです。
先にも述べていますが、植え替え後は、胡蝶蘭の状態が安定するまで特にお手入れを行わず、様子を見ることが大切です。
根は乾かすことで成長が早くなります。そのため、根まで水分が浸透しない霧吹きでの水やりは植え替え後の胡蝶蘭にはメリットといえます。
霧吹きで水やりする際の注意点
胡蝶蘭は植え替え後、根を乾かすことで成長が早くなります。根元に水が溜まるくらいの水を与えてしまった場合はふき取ってください。
水を与えすぎることが原因で根腐りやカビの繁殖につながってしまいます。
水を与えすぎてしまったときに胡蝶蘭に現れる症状
胡蝶蘭の土や水苔が乾いていない状態のまま、霧吹きで水をスプレーしてしまうと、鉢下の水受けに水が溜まってしまいます。気づかずに、そのままにしておくと、根腐れを起こす可能性があるのです。ここでは水を与えすぎたときに出る胡蝶蘭の症状を紹介していきます。
根腐れを起こしている
水を与えすぎることで根腐れを起こすことがあります。実は「胡蝶蘭を枯らしてしまった…」という人のほとんどの原因がこの根腐れです。
根腐れの症状はさまざまですが、以下のような症状がみられる、又は傾向がある場合は早急に対処する必要があります。
・葉の様子がおかしい(葉がスカスカ、シワシワ)
・根の色が変わっている
・根が柔らかくなっている
・根にカビのようなものが生えている
以下でそれぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
葉の様子がおかしい(カスカス、シワシワ)
根腐れは根だけに異常が生じるわけではありません。根腐れの症状は葉から出始めることが多いようです。根腐れを起こすと十分な水分や栄養を吸収することができないため、葉に異変が見られます。葉以外にも茎にシワが見られる、花が萎れているなど徐々に症状が出てきます。
根の色が変わっている
胡蝶蘭は土に根を伸ばす植物ではないため、自宅で手入れしている胡蝶蘭も、最初は土の中に根があっても、徐々に外に飛び出してきます。
毎日こまめに胡蝶蘭をチェックすることで、葉や根の異常を早期発見することができます。
胡蝶蘭の根の色は、品種によって異なりますが、緑色の品種が多いです。
中には茶色い根をした胡蝶蘭もありますが、異常があって茶色くなる場合もあります。
根が茶色で「柔らかくなっている」「異臭がする」場合は、葉に異常が見られるときです。部分的にこのような状態になっている場合は、まだ対処が間に合いますので早めに対処してください。
また、根が白や黒っぽくなっているのも以上のサインです。この症状が出た場合は、湿気が溜まったことでカビが繁殖した可能性が考えられます。
胡蝶蘭に繁殖しやすいカビとしてフザリウム菌などがあります。この症状が出た場合は薬剤の塗布や水の量を減らしたり、水受けの水をこまめに捨てることで改善することができます。
根が柔らかくなっている
水分過多により根腐れを起こすと根が柔らかくなります。見た目だけでは、わからなくても異臭がする、花や葉の状態がおかしい場合は、根に触って確認してみましょう。
ブヨブヨしている、根に張りがないといった状態であれば根腐れしています。
一部分のみ症状が出た場合は、患部切り取ることで改善する可能性もあります。しかし、全体的に柔らかなときは枯れる一歩手前と判断しましょう。
根にカビのようなものが生えている
水受けの水を捨て忘れることで湿気が溜まり、特に梅雨の時期などはすぐカビが繁殖してしまいます。
早急に薬剤を塗布するなどして対処しましょう。水受けの水をこまめに捨てる、水やりの方法を見直すなども効果的な対処法です。カビが繁殖しすぎると胡蝶蘭は枯れてしまうため注意するようにしましょう。
カビが生えている
根以外にもカビが生える可能性があります。葉・茎・花に白い付着物や黒い斑点が見られた場合はカビの可能性が高いです。胡蝶蘭は多湿を好む特徴があるからこそ、カビも繁殖しやすくなっています。根にカビが繁殖していたときと同様に薬剤の塗布や水やりの方法を見直すことで改善するため、早めに対処しましょう。
水を与えすぎたときの対処法、もしも枯れてしまったら?
根腐れで胡蝶蘭が枯れてしまった場合は、胡蝶蘭の根の色が黒くなっています。一部分のみではなく根の先までこのような異常が見られる場合は、完全に枯れています。そのまま放置せずに、適切な方法で処分する必要があります。まず、黒くなっている患部を切り取り、乾燥させます。
胡蝶蘭はいくつかの株が寄せ植えされているので、一つの株が根腐れを起こしていても、ほかの株はまだ生きているかもしれません。
ほかの株の状態を確認し、水分は若干多くても、まだ大丈夫だと判断した場合は、いったん根を乾燥させ、それ以上根腐れを進行させないようにしましょう。
根腐れしてしまった胡蝶蘭の株のみを取り除き、引き続き適切にお手入れを行うことが大切です。
まとめ
胡蝶蘭のお手入れの方法、特に霧吹きでの水やりに関する情報を細かく説明してきました。胡蝶蘭は自分で購入する機会はほとんどありませんが、もし贈り物でもらった場合は、できるだけ長くお花を楽しみたいものです。
胡蝶蘭は、水やりに気をつけることが重要です。
霧吹きでの水やりは胡蝶蘭のお手入れに最適な方法ですので、胡蝶蘭を初めて育てる人や、これまで霧吹きで水やりしたことがなかった方もぜひ、この記事を参考にして霧吹きでの水やりにトライしてみてくださいね。