胡蝶蘭に害虫がついてしまったら?役立つ対処法や注意点をご紹介

胡蝶蘭はお祝い事で贈られることが多く、とても華やかで美しいお花ですよね。寿命も長く、手入れがあまり大変ではないのも利点です。しかし、貰ったからといってそのまま放置していると、いつの間にか胡蝶蘭に害虫がついていた!なんてことも……。

害虫は胡蝶蘭の株を痛めたり、胡蝶蘭の開花を妨げる原因となってしまいます。そうならないように、今回は害虫被害の見分け方からその対処法や注意点、害虫対策の仕方まで詳しくご紹介しましょう。

 

こんな状態だったら害虫被害に遭っているかも?胡蝶蘭の害虫被害の見分け方

植物につく害虫はとても小さく、一目見ただけでは虫だとわからないものもいます。毎日よく観察して、少しでも早く害虫や病気に気付いてあげられるようにしましょう。

 

胡蝶蘭は上手に育てれば毎年お花を咲かせてくれ、長く楽しむことができるお花です。長く楽しめるように、ここでは害虫被害に遭った胡蝶蘭の見分け方をご紹介します。以下のような状態が見られたら、できるだけ早く対処が必要です。

 

周りに虫が多い

胡蝶蘭の周りに小さい虫がたくさん飛んでいたら、コバエに寄生されているかもしれません。植物は気をつけていてもコバエが発生しやすいもの。

水の与えすぎで根が腐ったりしてしまうとコバエが発生しやすくなるので、水やりの頻度は適切か見直してみてください。根腐れしている場合は早急に植え替えする必要があります。

 

花がしおれて咲く気配が無い

花がしおれていたり、しぼみが咲く気配がない場合はアブラムシに寄生されているかもしれません。アブラムシに寄生されると花が咲かなくなったり、せっかくのつぼみが落ちてしまうという影響があります。

また、アブラムシは胡蝶蘭を弱らせるウイルスを媒介するので、見つけたら早急に対処が必要です。アブラムシについては、下記で詳しくご紹介します。

 

変な臭いがする

変な臭いがするときは、胡蝶蘭が根腐れしていたり植え込みに使っているミズゴケが腐っている可能性があります。水のやりすぎで多湿にならないように注意しましょう。

根腐れすると株がどんどん弱ってしまいますし、コバエが発生する原因にもなります。

少しでも異常を感じたらすぐに水やりの見直し、植え替え、風通しのいい場所に置くなどの対処をしてくださいね。

 

葉の色が変わっていたりベタベタする

胡蝶蘭の葉にツヤがなくなったり、変色した、ベタベタする……といった症状が見られる場合は、ハダニに寄生されているかもしれません。ハダニは高温で乾燥した環境で発生しやすいので、部屋の環境を見直してみましょう。

葉は植物の健康を見分けるためにとてもいい役割を果たしてくれます。毎日よく観察するといいでしょう。

健康な葉は色ムラがなく綺麗な緑色をしており、水分を多く蓄えています。ツヤやハリがなく、全体的にしんなりと広がっていたら胡蝶蘭が弱っている証拠なので、何が原因なのかよく見てみてくださいね。

 

虫食いの跡がある

虫食いの跡がある場合は、ナメクジやカタツムリが寄生しているかもしれません。

ナメクジなどが発生すると、葉や新芽、根などの大切な部分を食べてしまい、繁殖して量が増えると胡蝶蘭を枯らしてしまうことも……。

梅雨の時期になると発生しやすいので、室内に置いて多湿の状態は避けましょう。ナメクジの対処法は下記で詳しくご紹介します。

 

胡蝶蘭の7大害虫とは?対処法も紹介

胡蝶蘭につきやすい害虫は、大まかに分けて7種類の害虫がいます。

害虫によって胡蝶蘭にもたらす被害や対処法が異なるので、それぞれ見ていきましょう。

間違った対処をしてしまうと逆に胡蝶蘭を弱らせてしまうこともあるので、何が原因で胡蝶蘭が弱っているのかをよく観察して対処してくださいね。

コバエ

上記でも紹介した通り、植物にコバエはどうしても発生しやすいものです。植物に発生しやすいコバエにはキノコバエ類とチョウバエ類があり、キノコバエは土の中に卵を生み、チョウバエは水の中に卵を生みます。

受け皿などに水が溜まっていたり、水のやりすぎで根やミズゴケが腐ってしまうとコバエが繁殖してしまうので、まずはこういった環境を直していきましょう。

土の通気性が悪かったり、根腐れしている場合は植え替えをして、なお土の表面5cm程を無機質の用土にするとキノコバエの餌となる有機物がないので繁殖しにくくなります。

多湿の状態にならないよう、水やりの頻度と受け皿の状態に注意してくださいね。

カイガラムシ

カイガラムシは白くてふわふわした小さな虫です。触ると取れますが、一度発生すると駆除に時間がかかる厄介な害虫です。胡蝶蘭の養分を吸ってしまうので、見つけたらすぐに対処しましょう。

対処法としては、まず胡蝶蘭についているカイガラムシを歯ブラシなどで取っていきましょう。白くてふわふわしているものはカイガラムシの卵なのですぐ取れますが、かさぶた状になっているのは成虫なので、胡蝶蘭に傷がつかないように爪楊枝などでゆっくり剥がしていってください。

カイガラムシを取り終わったら、薬剤をつけて目に見えない幼虫などを駆除していきます。薬剤は「スプラサイド」や「オリオン」がおすすめです。

近くに置いてある植物にもうつりやすいので、周りの植物もよく観察しておきましょう。目に見えなくても、一応周りの植物も一緒に駆除しておくと安心です。

 

ハダニ

ハダニは、室内で育てていても1年中発生してしまう害虫です。見た目は赤く小さなダニで、ハダニに寄生されると胡蝶蘭の葉がベタベタしたり白斑ができてしまいます。

ハダニは高温で乾燥しているところが好きなので、発生した場合は霧吹きで水をかけて追い払ってください。それでもいなくならない場合は、「ケルセン乳剤」「テルスター」などの薬剤がおすすめです。

しかし、ハダニは薬剤への抗体がすぐできてしまうので同じ薬剤を続けて使っているとどんどん効かなくなります。異なる薬剤を順番に使うようにしましょう。

予防策としては、やはり葉の裏などにも念入りに霧吹きで水をかけて湿らせておくことです。

 

アザミウマ(スリップス)

アザミウマはスリップスとも言われており、体長1〜2mmで細長くとても小さな昆虫です。小さいので見つけにくく、幼虫と成虫が一緒になって新芽、新葉、花などを吸汁する吸汁性害虫に分類されます。

葉や新芽が吸汁されることで、奇形になってしまったり色が変色してしまうのです。5〜11月に発生するので注意しましょう。

そんなアザミウマを駆除するには、薬剤の「オリオン」がおすすめです。オリオンは下記で紹介するアブラムシにもよくききますよ。

 

アブラムシ

アブラムシは、アザミウマと同じ吸汁性害虫です。花や葉を吸汁することで、胡蝶蘭のせっかくの花が開花しなくなったりつぼみが落ちたりしてしまいます。

また、アブラムシはウイルスも媒介するので、見つけたらすぐに駆除してください。

アブラムシには上記で紹介した「オリオン」や「テルスター」などの薬剤で駆除しましょう。

また、水で薄めた牛乳を霧吹きしたり、アルミホイルなど光るものを鉢の下に敷いておくのもおすすめですよ。こういったものなら手軽に実践できるので、対策としてアルミホイルを敷いておくのもいいですね。

 

ナメクジ

ナメクジは葉や新芽、根など胡蝶蘭の大切な部分を食べてしまいます。梅雨あたりに発生することが多いので、梅雨の時期は室内で育てるといいでしょう。多湿の状態は根腐れやナメクジ・カタツムリを引き寄せてしまう原因にもなるので気をつけてください。

繁殖すると胡蝶蘭が枯れてしまうこともあるので、殺虫剤「マイキラー」や「アクテリック乳剤」などを使用して駆除しましょう。

ナメクジは銅が苦手なので、鉢の下に銅版を置くのも効果的です。

 

アリ

アリも実は害虫です。胡蝶蘭の葉の裏から出る成分を吸ってしまい、胡蝶蘭が弱る原因になってしまうのです。

胡蝶蘭の周りでアリをよく見かける場合は、鉢の中で巣を作っている可能性があるかもしれません。そんな時は殺虫剤の「マラソン」がおすすめです。

マラソンを水に溶かして、その水の中に鉢をつける作業を2〜3日続けて行い、鉢の中のアリを駆除しましょう。

 

害虫対策でも胡蝶蘭にこの薬剤はNG!

胡蝶蘭の害虫駆除にはさまざまな薬剤がありますが、間違った薬剤を使うと害虫を駆除するどころか胡蝶蘭を弱らせる原因となってしまいます。

上記で紹介した害虫に効果はあるものの、胡蝶蘭には害になってしまう薬剤があるので注意してください。

ここでは、胡蝶蘭に使っては行けない薬剤をご紹介します。

  • オルトラン水和剤
  • プロピレングリコール
  • 石灰硫黄合剤
  • マシン油乳剤

この4点の薬剤は使わないよう気をつけてください。

詳しく解説していくので、それぞれ見ていきましょう。

 

オルトラン水和剤

オルトラン水和剤はアザミウマ(スリップス)の駆除にきく薬剤ですが、胡蝶蘭には刺激が強すぎるため使用しないでください。最悪の場合胡蝶蘭が枯れる原因にもなってしまいます。

アザミウマには「オリオン」を使用しましょう。

 

プロピレングリコール(PG表記)

プロピレングリコールはシャンプーや化粧品などさまざまな製品に含まれています。「PG」と表記される場合もあるので注意してください。

害虫駆除としてプロピレングリコールを使う場合は、カイガラムシを駆除するためにプロピレングリコールが含まれた中性洗剤を使用する場合でしょう。

カイガラムシは水で薄めた中性洗剤で株を洗うと駆除に効果的で、もちろんこの方法は胡蝶蘭にも有効ですが、その時には必ずプロピレングリコールが含まれていない中性洗剤を使うようにしてください。

 

石灰硫黄合剤、マシン油乳剤

これらもカイガラムシに効果のある薬剤ですが、胡蝶蘭に使用すると強力すぎて薬害となり、枯れる原因になってしまいます。

害虫駆除の薬剤を購入するときは、胡蝶蘭に使えるかどうかを必ず確認するようにしてください。

カイガラムシの駆除に役立つ薬剤なら、先ほどお伝えした通り「スプラサイド」や「オリオン」がおすすめですよ。

 

今からできる胡蝶蘭の害虫対策

ここまでは害虫被害を受けてしまったときの対処法についてお伝えしました。

害虫を駆除した後は、また害虫がつかないようにしっかりと対策しておきましょう。

駆除をするのは薬剤を使ったり植え替えをしたり何かと大変なので、最近胡蝶蘭を育て始めた人も最初から害虫対策をしておくのがおすすめですよ。

ここからは、害虫に有効な対策について詳しくご紹介していきます。

 

木酢液を撒いておこう

木酢液とは、木炭や竹炭を焼くときに出る水蒸気や煙を冷やして液体にしたものです。ホームセンターやネット通販で簡単に購入することができますし、自然な原料で作られているので薬剤に抵抗のある方にも安心ですね。

木酢液に含まれる酢酸やアルコールには、殺菌や菌の生長を抑える効果があるとされており、害虫対策にも最適です。

しかし、木酢液は原液だと効果が強すぎるので必ず薄めて使用してください。害虫駆除や植物の抵抗力を高めるためなら200〜500倍に薄めるといいでしょう。

木酢液の香りは苦手とする生き物が多く、害虫だけでなく野良猫除けの効果も期待できます。胡蝶蘭を外で育てている方も安心ですね。

 

胡蝶蘭の適温を保ち、葉の乾燥対策をしよう

これまで胡蝶蘭には高温で乾燥した状態や、多湿の状態でも害虫が発生する原因となるとお伝えしました。害虫が発生しないように、胡蝶蘭に適した温度を保つようにしましょう。

胡蝶蘭に適した温度は約15℃〜25℃です。温度差の少ない室内で育ててあげるといいでしょう。

葉が乾燥しているとハダニが発生してしまいます。多湿の状態には注意が必要ですが、乾燥にも注意しましょう。

夏や冬は冷房や暖房をつけることが多いと思いますが、エアコンの風は胡蝶蘭の葉を乾燥させてしまうため、風が直接当たる場所には置かないようにしてください。

風が直接当たっていなくても乾燥しがちになるので、霧吹きで葉水を与えてあげましょう。冬は特に乾燥する季節なので、注意してくださいね。

温度と乾燥に注意して育てることは害虫対策になるだけではなく、胡蝶蘭の健康のためにとても重要なポイントです。

 

風通しのよい明るい日陰に置こう

胡蝶蘭は、風通しがよくて明るい日陰に置きましょう。

適切な水やりをするのはもちろんですが、多湿にならないように風通しのよい場所に置くのがおすすめです。胡蝶蘭にとって居心地のいい場所に置くことが結果的に害虫対策になりますよ。

胡蝶蘭は外で育てることもできますが、直射日光には弱いため明るい日陰に置くのがおすすめです。外に置いておくと梅雨の季節は多湿の状態になったり、ナメクジが発生しやすくなる原因となります。

 

適度に水やりをしよう

上記でも紹介しましたが、水をやりすぎて多湿の状態だと根やミズゴケが腐り、結果的にコバエが発生する原因となってしまいます。また、受け皿に水が溜まっている状態も害虫が発生する原因になります。

水やりは適度に、受け皿に溜まった水はすぐに捨てて清潔な状態を保つことが重要です。

水やりの目安は、胡蝶蘭の鉢植えの表面を押してみてミズゴケが完全に乾いているかどうか確認してから、コップ1杯ほどの水を与えてください。季節によって異なりますが、夏など暑い季節なら前回の水やりから大体2〜4日程度経過してから、冬なら10日ほど経過してからがいいでしょう。

 

まとめ

今回は胡蝶蘭につきやすい害虫とその対処法、害虫の対策方法についてご紹介しました。

多湿の状態も、高温で乾燥している状態も害虫を引き寄せやすいということがわかったと思います。水やりや、育てる環境を胡蝶蘭に適したものにして、害虫の被害を受けないよう気をつけてください。

害虫駆除の薬剤を購入する際は、胡蝶蘭に使用できるか必ず確認してくださいね。

また、胡蝶蘭の健康状態は葉に現れやすいです。葉が萎れている、ハリがない、ベタベタしている、黄色や黒く変色しているなど、害虫被害で株が弱っていると葉に影響が出てきます。日々しっかりチェックするようにしましょう。

 

胡蝶蘭は長く楽しむことができる植物なので、害虫対策をしっかりと行い、正しく育てれば毎年美しい花を咲かせてくれるはずです。

これから胡蝶蘭を大切に育てていきたいと思っている方も、現在害虫に困っている方もこの記事が参考になれば幸いです。

 

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