胡蝶蘭は寒さに弱い!冬は凍傷に注意しよう

胡蝶蘭は寒さに弱い植物です。そのため、胡蝶蘭を寒い場所に放置しておくと、凍傷になってしまいます。

窓際に置いている方は、そのままにしておくと寒さで胡蝶蘭が凍傷になったり弱ってしまう危険性があります。特に寒さが厳しくなる夜間などは注意しましょう。

しかし、胡蝶蘭の凍傷の症状は意外と気付けなかったり、他の病気と間違えてしまったりすることも少なくありません。

そこでここでは、胡蝶蘭が凍傷になってしまったときの症状や対処法、寒さ対策について解説します。

 

胡蝶蘭の凍傷の症状は?

胡蝶蘭の凍傷はわかりにくいのが難点となります。

凍傷の症状は以下のようなものです。

  • 葉が黄色くなってしおれる
  • 葉に黒や茶色のまだらな斑点ができる
  • かなりのハイペースで枯れている
  • 花が全てしおれてしまう

このように胡蝶蘭の凍傷の症状が多種多様となっています。しかも、水のあげすぎによる根腐れや乾燥、病気、虫食いなど様々な症状と当てはまるので、原因が凍傷であると気づきにくいです。しかも凍傷は無症状なことも。そのため、凍傷が1〜2日で急激に進んでしまい、凍傷に気付かずに胡蝶蘭を枯らしてしまうこともあります。

したがって、凍傷にはとにかく早く気付いて対処することが大切です。

毎日胡蝶蘭の様子をチェックし、少しでも気になることがあれば原因の特定に動きましょう。

 

胡蝶蘭の凍傷を見極めるには?

胡蝶蘭の凍傷の症状は他の病気にも当てはまります。そこで胡蝶蘭の凍傷に早く気付くにはどこに着目すれば良いのでしょうか。

まず本来の健康な状態の胡蝶蘭がどんなものなのかを把握しておくべきです。

健康な胡蝶蘭は、葉が濃い緑色をしていて上を向いており、ツヤがあるのが特徴です。この状態に当てはまらない場合は病気の前兆なので、すぐに原因を特定しましょう。

 

まず、外ほどではなくても決して暖かいとは言えない場所で管理している場合は一度20℃近い暖かい場所に移動させて1日様子を見てみましょう。

こうすることで症状が進んだ場合、凍傷の可能性が高いです。無症状のものでもこの方法を試してみると、いきなり葉が黄色く変色することがあります。この場合も凍傷に当てはまるので、環境を改善してあげてください。

 

また、水不足や根腐れとの見分け方については、葉や茎の状態を見てください。

例えば葉にシワが目立ち、明らかに柔らかくなりすぎている場合は水不足の可能性があります。また、逆に葉や茎が黒っぽくなり固くなっている、下の方から葉が落ちているなどと言った場合は根腐れが考えられます。

 

とは言っても、基本的に寒い時期に胡蝶蘭の葉の様子がおかしい場合は根腐れや水のやりすぎよりもまず凍傷を疑った方が良いです。

原因がわからなかったらとりあえず胡蝶蘭を暖かい場所に移動させるようにしてください。

 

胡蝶蘭の適正温度は18℃〜25℃

胡蝶蘭のは5℃〜35℃で育つ植物と言われています。ただ、基本的には18℃〜25℃の暖かい場所で管理してください。

本来胡蝶蘭は熱帯・亜熱帯に生息する植物です。そのため、耐えられる気温の範囲は広くても、寒い場所に置かれた状態が続いてしまうと傷んでしまいます。

5℃まで耐えられるとは言え、最低でも10℃より低い場所には置かないようにしましょう。

 

特に注意すべきなのが、秋頃まで外で胡蝶蘭を育てている場合です。

日本だと秋から冬にかけて一気に気温が下がります。そのため、あっという間に胡蝶蘭の凍傷も進んでしまいます。したがって、少し寒くなってきたと感じたら速やかに家の中に入れてあげてください。

 

胡蝶蘭が凍傷になってしまった場合の対処法

胡蝶蘭が凍傷になってしまったら、まずは速やかに暖かい場所に移動させてあげてください。

ただ、冬場で家を15℃以上に保つのは難しいです。そこで胡蝶蘭が健康に過ごせるような暖かい場所が無いなら、簡易ビニールハウスを作るのがおすすめです。

簡易ビニールハウスの作り方は、鉢のままビニール袋に入れるだけ。

寄植えをしている場合は水苔をひとつかみ分ほど用意して湿らせ、そこに胡蝶蘭を入れたものを株数分作ります。

あとはこれらを明るく暖かい場所に置いて2〜3日放置しておきましょう。

 

それでも復活しなかった部分に関しては、ハサミで処理を行います。原因が凍傷以外の病気だった場合、病気が広がってしまうこともあります。

そのため、凍傷でも凍傷でなくても復活しなかった部分はハサミで切って処理した方が良いです。

 

処理の方法は、まずハサミを消毒しましょう。消毒していないハサミで作業してしまうと、健康な部分にも病気が移ってしまう可能性があります。作業前に消毒液で拭いたり、火で軽く炙ったりして消毒したうえで作業してください。

加えて、切った部分をそのままにしていると、そこから菌が入ってしまうこともあります。凍傷になっている胡蝶蘭は通常よりも弱っているので病気にかかりやすくなっています。切った部分には殺菌剤を塗りましょう。

 

凍傷以外に胡蝶蘭が冬にかかりやすい病気は?

凍傷以外にも胡蝶蘭が冬にかかりやすい病気はたくさんあります。凍傷でなかった場合に備えて、病気に関する知識も必須です。

それでは、凍傷以外に胡蝶蘭がかかりやすい、凍傷と間違えやすい病気を紹介します。

 

立枯病

葉が黄色くなる、しおれるなどといった特徴が凍傷と共通していて間違えやすいのが立枯病です。立枯病は水のやりすぎで根腐れを起こし、カビが発生して起こります。

立枯病に関しては症状・カビの種類に合わせた対処が必要です。

胡蝶蘭の場合よく感染しやすいカビとしてフザリュームやルクゾトニア菌等が挙げられます。

フザリュームの場合は症状が出ている部分を切り落としてタチガレンなどの薬剤を塗って様子を見ましょう。ただ、根や茎にも広がっている場合薬剤で対処するのは難しいです。患部を切り取り、植え替えを行ってください。

ルクゾトニア菌の場合は水やりをセーブしましょう。水やりの頻度は数日に1回程度、水の量は土・葉の表面が湿る程度を霧吹きで与えてください。

 

葉ダニ

乾燥する冬場は少ないですが、温度・湿気を意識しすぎると葉ダニに感染してしまうこともあります。

葉ダニにかかっている胡蝶蘭の特徴は葉に元気が無くしなびている、葉を触ってみるとベタベタするなど。この場合は葉ダニを駆除して健康な状態に戻してあげましょう。

駆除方法は葉の裏側に霧吹きで水をあげるだけです。また、冬場だと高温は少ないですが、湿度が高すぎる可能性も考えられます。

したがって、湿度が高すぎないか、置き場所は風通しが悪くないかもチェックしてください。

 

灰色カビ病

湿度ばかりを意識して寒さ対策をしなかった場合にかかってしまうのが灰色カビ病です。

こちらは低温かつ80%以上のような人間でも湿気ていると感じるような湿度に胡蝶蘭を放置した際に、ボトリチス菌というカビに感染してかかります。

症状は、花びらに灰色と言うよりは濁った緑色のような小さな斑点ができるのが特徴です。しかも感染力が高く一株が感染してしまうとすぐに広がってしまうので、灰色カビ病にかかっている部分を見つけたらすぐに切除する必要があります。

灰色カビ病は湿度の高さが原因なので、まず胡蝶蘭を乾燥させることを優先すべきです。また、寒さも原因なので湿度だけでなく温度も適切な場所に移動させて様子を見ましょう。

 

害虫

窓際や外に放置して胡蝶蘭を育てていると害虫が寄生することがあります。冬場は寒くて虫も冬眠に入るので害虫のリスクは少ないですが、特に冬から春に移り変わる時期は寒くても虫が活発になり始めるので害虫も考慮すべきです。

害虫が寄生している場合は葉に虫食いの跡があるだけでなく、葉や花の栄養を奪って元気がない、そもそも花を咲かせないなどといったこともあります。

害虫に対しては一般的に殺虫剤を使いますが、使う殺虫剤の種類は害虫の種類によって異なります。

また、殺虫剤の使い方も土に染み込ませる、散布すると様々なので、原因の虫を特定して適切な殺虫剤を使用してください。

 

凍傷対策としてできることは?

胡蝶蘭の凍傷を防ぐにはとにかく寒さ対策が大切です。それでは、寒さ対策としてどんなことができるのか、普段から意識したいことを挙げていきます。

 

水やりは午前中に行う

水やりはなるべく午前中の暖かいうちに済ませてください。

冬は午前中と午後の温度差が大きく、特に午後は冷え込みます。しかも水道の水も冬場はかなり冷たいです。そこで寒い午後に水やりをしてしまうと、根や土が冷えすぎて暖かい場所に置いていても凍傷になる可能性があります。

そのため、できれば水やりは午前中に済ませてください。また、水に関してもそのまま与えてしまうと冷えすぎてしまう可能性があります。

したがって午前中に与えるにしても、一旦暖かい部屋に水を放置して常温に戻してから与えるのがおすすめです。

 

部屋はなるべく一日中暖かくしておこう

部屋で胡蝶蘭を管理する場合、仕事などで家を空けている間はエアコンを切る人も多いでしょう。しかし、胡蝶蘭はある程度寒さに耐えられる植物とは言え、冬場のエアコンを切った部屋は5℃以下になってしまうのであまりおすすめはできません。

なるべく外出時もエアコンをONにして暖かい状態を維持しましょう。

 

湿度は常時40%以上に

温度の他に胡蝶蘭を育てるうえで大切なのが湿度です。

乾燥しすぎていると、胡蝶蘭の葉や茎が乾燥して呼吸しにくくなり、枯れやすくなってしまいます。

冬場は空気も乾燥するので、室内も同様に空気が乾燥し、胡蝶蘭を育てる環境にはふさわしくありません。

したがって、できれば一日中加湿器を使うなどして湿度を常時40%、可能なら50%以上の状態を維持しましょう。

加えて、普段の水やりの他に葉に霧吹きで軽く水をかけてあげる葉水も乾燥対策として大切です。

葉水の回数は最低で朝と夜の1日2回、常時誰かが家にいる環境なら1日3〜4回程度が理想です。葉や茎の乾燥度合いに応じて葉水をしてあげましょう。

 

夜はカバーして保温するのも一つの手

冬場の夜は特に冷え込みます。そのため、常時エアコンを使っていても10℃以下になってしまうかもしれません。

そこで夜の間はカバーをして暖かい場所を作ってあげるのも一つの手です。

カバーの方法はビニール袋で簡易ハウスを作ってあげる方法の他にダンボールで覆って毛布でくるんであげる方法などさまざま。家にあるもので良いので暖かい環境を作り、胡蝶蘭が快適に夜を過ごせるようにしてあげましょう。

 

日中は日光浴をさせよう

胡蝶蘭は太陽の光を好みます。しかし、本来胡蝶蘭は木などに着生する植物のため、直射日光は苦手です。

直射日光を当てすぎると、日焼けして葉が黒くなってしまうことも。そのため、できる限り日中にレースのカーテン越しに日光浴をさせてあげてください。

 

窓際に放置はNG

胡蝶蘭は太陽の光を好むので、仕事などで日中管理できない場合は窓際に放置しておけば大丈夫と思っている人もいるかもしれません。しかし、冬場の窓際は胡蝶蘭にとって寒すぎるので実際はNGです。

一日中窓際に置いたままにしていると、すきま風が当たってしまいます。

特に夜の窓際はかなり冷え込むので、凍傷になる可能性が高いです。したがって、忙しくて一日中胡蝶蘭を見ることができないなら日中は窓際に置いているとしても、夜は部屋の真ん中に移動させるなど工夫して寒さ対策をしましょう。

 

胡蝶蘭の越冬でのNGは?

胡蝶蘭に限らず多くの植物は春を迎えるにあたって、冬を栄養を蓄えるための期間とします。そのため、春〜秋と育て方が少し異なり、NG事項も多いです。

しかも栄養を蓄えるための期間なので、他の期間と比べて栄養不足にも陥りやすい傾向にあります。

そこでここでは、胡蝶蘭の越冬のためにやってはいけないことを紹介します。

 

植え替え

冬場の胡蝶蘭は花を咲かせ終えて栄養を使い切ってしまっている状態です。そのため、冬場の胡蝶蘭は弱っていて植え替えに向きません。

万が一弱っているタイミングで植え替えをしてしまうと、環境の変化に耐えられずに胡蝶蘭が枯れてしまいます。

したがって、胡蝶蘭の植え替えは必ず冬を越してある程度胡蝶蘭の調子が安定してから、目安としては3月〜5月頃に実行してください。

 

水・肥料の与えすぎ

冬場は植物も冬眠期間に入り、他の時期と違ってあまり栄養を必要としません。そのため、冬に入っていつも通り水や肥料を与えていると、栄養が多すぎて逆に弱ってしまいます。

冬場の水やりは1週間〜10日に1回、しっかり土が乾燥しきってから行うのがポイントです。

水苔ならわかりやすいですが、土で育てている場合は完全に乾燥しているかわかりにくいのが難点。そのため、割り箸などを刺してしっかり土の中心部まで乾燥しているか確認したうえで水やりをしてください。

また、水やりは一度にたっぷり与え、全体に水が行き渡るようにしてください。目安としては水を与えて1時間ほど経過したときに受け皿に水が漏れる程度です。

しかし受け皿の水を放置していると湿気で根腐れしてしまうことがあるので、受け皿の水は捨ててくださいね。

 

寒さに強い品種なら育てやすい!

胡蝶蘭と同じラン科の植物の中には、寒さに強くて越冬しやすい品種もあります。そのため、胡蝶蘭の越冬が心配なら育てやすい品種を選ぶのも良いでしょう。

それでは、越冬しやすいランの仲間を紹介します。

 

シンビジューム

シンビジューム(シンビジウム)は薄いピンクや黄色など可愛らしい色が特徴的なラン科の植物です。

中国や台湾など比較的日本と環境が近い地域で栽培されており、氷点下でも耐えられることから越冬しやすく初心者にもおすすめの品種と言えます。やはり温度管理が楽なので、特に日中に日光浴をさせてあげられない、場所の移動をさせるのが面倒などといった人におすすめですよ。

温度管理以外の部分に関しては基本的には胡蝶蘭と同じ。ただ、寒さに強い品種とは言え、理想はやはり10℃以上の場所、寒くても5℃以上の場所の方が枯れるリスクを低く抑えられます。

 

デンドロビューム

冬でも外で育てられるくらい寒さに強い品種が良いならデンドロビュームがおすすめです。株が凍りさえしなければ枯れることが無いので、関東以西エリアなら外に置いたままで問題ないでしょう。

しかも乾燥にも強く、むしろ乾燥気味に育てた方が根が強く育ちます。そのため、冬場でも軽い水やり程度であとは放置で問題ありません。

開花時期は胡蝶蘭よりやや遅く、冬〜春頃に花を咲かせます。

 

まとめ

胡蝶蘭は育てやすい植物として知られていますが、寒さには弱いです。そのため、冬場は寒さ対策として外で育てている場合は家に入れ、家で育てる場合もエアコンで寒すぎないように温度管理をする必要があるでしょう。

また、凍傷以外にも乾燥や水のあげすぎによる根腐れなどで病気にかかってしまうこともあります。

胡蝶蘭はしっかり管理ができて、条件が整えば数十年も育てられる植物です。毎日胡蝶蘭の様子をよく見て、冬場は暖かく風通しの良い場所で管理し、春を迎えられるようにしましょう。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?