お花の贈答におけるマナーや選び方
冠婚葬祭や発表会、お見舞いや退院祝い、開店祝い、送別会や就任祝いなど、ビジネスシーンにおいては何かとお花を贈る機会があるものです。
特にフォーマルな場では、ただお花を用意するだけではなく、贈答に関するマナーが大切になります。
今回は、お花を贈答するシーンで覚えておきたい基本的なマナーや、お花の選び方、NGとされているマナーなどについてご紹介していきます。
お花の贈答でマナーを意識するのはどのシーン?
お花を贈るシーンは度々訪れるものですが、中でもマナーを意識しておきたいシーンとは何でしょうか。
贈答シーンにおいて、特にマナーに注意するべき用途を挙げてご紹介します。
お花を贈答するときの基本的なマナー
親しい人や大切な人、お世話になった方へのお礼の贈り物など、プライベートシーンでもお花を贈答する機会は訪れます。
ビジネスでもプライベートでも、贈答のマナーというのは抑えておく必要があります。
「きれいなお花を用意するだけで良い」わけではなく、贈るシーンや用途、相手への心遣いやビジネスマナーが成り立ってこそ、相手の方が本当に喜んでくれるフラワーギフトを贈ることができるのです。
まずは、お花の贈答において抑えておきたい基本的なマナーから解説していきましょう。
贈答のシーンに適したお花を選ぶ
あなたが相手の方にプレゼントしたいお花は、どのようなシーン、またはどんな人へ贈る、どんな用途のものでしょうか?
お花の贈答では、シーンと用途が大変重要なポイントになります。
例えばプライベートシーンを例に挙げて説明してみると、「誕生日」に贈る「お祝い」のお花、「上司」に贈る「感謝の気持ちを伝える」お花、「パートナーとの記念日」に贈る「愛情を伝える」お花、といったように、シーンと用途がはっきりすれば、自然と贈るお花のイメージやギフトタイプが定まってきます。
これがビジネスシーンになれば、さらにシーンと用途を明確にしておく必要があります。
ベストなタイミングで渡す
お花の贈答では、相手へ渡すときのタイミングや、配送では配送日の手配に気を遣う必要があります。
もし誕生日や大切な記念日にあわせて贈る場合には、当日よりも早く到着する分には失礼になりませんが、当日から過ぎて届いてしまうと失礼にあたります。
一方で、転居祝いや出産祝い、退院祝いなどのシーンにおいては、忙しくされている相手の方へ配慮して、環境の変化が落ち着いてから贈るのがマナーになる場合もあります。
相手の負担にならない
お花の贈答では、贈ることで自分が満足する気持ちよりも、相手が喜んでくれるかどうか、迷惑にならないかどうかが大切です。
例えば花束を外出先などで手渡しするのでしたら、相手の方は受け取ってから持ち帰らなければなりません。その方の交通手段によっては、かなり持ち帰りに苦労されるでしょう。
お花を渡した後のことにまで配慮して選べば、もっと喜ばれるギフトになるはずです。
ビジネスシーンでは立て札を
ビジネスシーンにおいてのお花の贈答では、必ず立て札を付けておくのがマナーになります。
開店祝いや就任祝いなど、多くの人からお花の贈答があった場合には、誰にどのお花を贈っていただいたのかが分からなくなってしまいます。
ビジネスシーンでは会社のアピールも兼ねての贈答となりますから、ここで自社の名前が埋もれてしまってはもったいないですよね。
自分が贈ったものだと分かるように、立て札やメッセージカードなどは必ず付けておくようにしましょう。
親しい間柄の人へ贈るプライベートシーンでは、一言書き添えたメッセージカードを添えると喜ばれますよ。
相手のライフスタイルに応じたお花を
一口にフラワーギフトと言っても、ギフトのタイプはさまざまにあります。切り花を使ったものにしても、花束やアレンジメントフラワー、スタンドフラワーなどがありますし、鉢植えのお花や観葉植物なども贈答の候補として考えられます。
鉢植えのお花などを贈る場合は、切り花よりも長く楽しんでもらえるのが嬉しい点なのですが、受け取った方が草花のお世話をする必要があります。
日頃忙しくされている方だと、鉢植えのお世話がかえって負担になってしまいますよね。人によっては、植物の管理が苦手だったり、嫌いだったりすることもあります。
あまりお花に触れる機会がなさそうな方や、お花の管理が苦手そうな方などには、鉢植えのお花を避けて、手入れの簡単なアレンジメントフラワーや、お世話の不要なプリザーブドフラワーを贈るといった配慮も必要です。
シーンに応じた相場で贈る
これはとても難しい問題ではありますが、贈答するお花にはシーンによってある程度の相場金額が決まっています。この相場の金額から高過ぎても低過ぎても失礼になってしまうので、だいたいの相場目安を抑えておくと安心です。
この相場額は、贈答のシーンはもちろん、贈る相手との関係性や立場、年齢によっても多少変わります。
贈答用のお花は「胡蝶蘭」がおすすめ
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お花の贈答シーンにおける基本的なマナーをご紹介してきました。
意外と細かな点に配慮しなければならず、少し気が重い……という方もいるかもしれません。
選んだお花が本当に相手の方への負担にならないかどうか心配な方は、鉢植えの胡蝶蘭を選んでみてはいかがでしょうか。
胡蝶蘭は、冠婚葬祭のどのシーンでも使われるフォーマルなギフトで、かつビジネスシーンやプライベートシーンにおいても活躍する、フラワーギフトの定番なのです。
そして胡蝶蘭の贈り物は、定番として選ばれるだけの理由があります。ここからは、胡蝶蘭のが贈り物として最適な理由について見ていきましょう。
見た目が豪華で高級感がある
胡蝶蘭と聞くと、「高級なお花」というイメージを思い浮かべませんか?
胡蝶蘭の鉢植えは、確かにそれなりのお値段がしますので、高級なお花であることは間違いありません。
ただそれだけではなく、値段に見合った、もしくはそれ以上の豪華な見た目をしているのが胡蝶蘭の魅力です。
肉厚の花びらは純白で、きれいに整えられた花たちが並んで正面を向いています。大輪の胡蝶蘭の花が整列している様子は迫力さえあって、華やかな存在感がありますよね。
縁起の良い花言葉がある
胡蝶蘭という花の名前は、花の形が蝶に似ていて、まるで蝶が舞っているようにも見えることから名付けられました。
花言葉も、この蝶の姿から連想されたものがあり「幸福が飛んでくる」という縁起の良い言葉が付けられているのです。
相手の幸せを願う花言葉は、どんなシーンにおいても使いやすく、フラワーギフト向きと言えるでしょう。
意外とお世話が簡単
高級なお花=繊細のイメージが強い胡蝶蘭ですが、実はとてもタフな植物です。
乾燥に強く、多少水やりを忘れてしまったくらいでは枯れることはありません。
実は、原産地の胡蝶蘭は地面に根付いて地生する植物ではなく、木の表面や枝の上、岩肌などに根を絡ませる着生植物なのです。そのため、土から養分を吸収せず、ぐねぐねとした根から空気中の水分などを取り込むことができます。
地生していない過酷な環境下でもたくましく生きている胡蝶蘭は生命力が強く、初心者の方でも育てやすい植物なのです。
花持ちが長い
胡蝶蘭の豪華なお花は、なんと1〜2ヶ月もの長い期間、開花しています。
切り花などは1週間もすれば傷んでしまいますが、鉢植えの胡蝶蘭はかなり長い間、その美しい花を観賞できるのです。
しかもお世話が簡単ですから、相手への負担を少なく済ませつつ、お花の美しさを味わっていただけるでしょう。
胡蝶蘭は、お花の贈答シーンにおいて気になるポイントをクリアした、万能なギフトだと言えます。
胡蝶蘭の鉢植えを贈答するときの注意点
どんな贈答シーンにおいても活躍してくれる胡蝶蘭の鉢植えですが、贈る際にはいくつか配慮すべきポイントがあります。
- 奇数本で贈る
- 飾る場所に配慮して選ぶ
以上の2点について詳しく見ていきましょう。
奇数本で贈る
古くから日本では、割り切れない奇数は縁起の良い数字だとされてきました。これは胡蝶蘭の鉢植えを選ぶときにも同様です。
胡蝶蘭の鉢植えは、基本的に複数の株を寄せ植えして販売されています。その株の数によって、「3本立て」「5本立て」といったように表記されます。
よく選ばれているのは、送りやすいサイズ感の3本立ての胡蝶蘭です。
飾る場所に配慮して選ぶ
鉢植えのギフトは、置き場所のスペースにも配慮して選びましょう。
特に胡蝶蘭は、花も大きく存在感がある鉢植えのため、余裕のあるスペースが必要です。
あまり狭すぎる場所に胡蝶蘭の鉢を配置してしまうと、圧迫感や威圧感を生んでしまいます。お店などに飾っていただく場合には、お客様に良くない印象を植え付けてしまうことにもなりかねません。
胡蝶蘭の鉢植えを贈る前に、相手先へ飾る場所があるかどうかスペースの確認をしておきましょう。
胡蝶蘭の花は、大輪・中輪・小輪のサイズがあります。花の大きさが大きいほど、存在感や高級感が増していきます。
ビジネスシーンなどで最も選ばれているのは、白色の大輪です。プライベートシーンや個人的なギフトでは、中輪か小輪の省スペースでも飾りやすい胡蝶蘭が選ばれています。
ギフトに用いられるほとんどの花色は白色の胡蝶蘭ですが、ピンクや黄色の色もありますので、相手の方やシーンに応じて選んでみてください。
お花の贈答でマナー違反になること
お花の贈答において、注意したい点やおすすめの鉢植えギフトである胡蝶蘭についてお伝えしてきました。
相手を喜ばせたい、お祝いの気持ちを伝えたいと贈ったプレゼントが、かえって不快にさせてしまうのは何としても避けたいところです。
最後に、フラワーギフトを贈るうえでマナー違反にあたるポイントを確認しておきましょう。
お見舞いや退院祝いでは「鉢植え」を避ける
入院されている方へのお見舞いや、自宅で療養されている方を元気づけるためのお花など、相手の方の快復を願って贈る励ましのフラワーギフトでは、必ず鉢植えを避けて贈りましょう。
鉢植えのお花の贈り物には、「根付く」という意味があります。
これは、開店祝いなどでは「地域に根付く」「お店が根付く」といったように縁起の良い意味合いとして捉えられるのですが、入院のお見舞いシーンでは縁起が悪い意味になってしまいます。
「寝つく」または「病床に根付く」といったような「病気などが長引く」イメージに捉えられてしまうため、お見舞い品としてマナー違反にあたります。
すでに退院されている場合の退院祝いでも、鉢植えのお花は「病や怪我を繰り返す」といったイメージを連想するためマナー違反にあたります。
入退院におけるシーンでは、病気や怪我をなくすといった意味合いで、お花を楽しんだ後に枯れてしまう切り花を使った花束やアレンジメントなどを贈るようにしましょう。
死や苦をイメージする花を避ける
お悔やみのシーンでは、キクなどのお花がメインで用いられますが、仏花と認識されているお花ばかりでまとめられたお花は亡くなった方へのお悔やみの花、というイメージが強くあります。
そのため、アレンジメントをお願いする場合には、仏花のような雰囲気にならないよう、白系のアレンジメントでも洋花を取り入れて贈答らしい華やかな仕上がりにしましょう。
他にも、ツバキなどのお花もシーンによっては避けたほうが良いお花です。これらのお花は、花が散るときに花びらがはらはらと散るのではなく、花首ごとぼとりと落ちる特徴があります。
この花が散る様子が死を連想させるため、贈答のシーンでは避けましょう。
他にも、シクラメンの花は、花の名前が「死」や「苦」を連想させるので、お気になさる方もいらっしゃるようです。
同じ理由で、花の本数も4本・9本・13本は不吉だと考えられるので避けましょう。
結婚のお祝いなどで贈るお花でも、偶数の本数で作った花束などは「割り切れる=別れ」をイメージさせてしまうので、贈り物の際には奇数本を意識して贈ってくださいね。
開業祝いでは「赤」を避ける
お店の開業祝いや新店舗のお祝いなど、お店の発展を祈って贈るフラワーギフトでは、赤い色のお花を避けて贈ります。これは、赤色が「火災」や「赤字」を思い浮かべるため、縁起が良くないとされているためです。現代では気にされる方は少なくなっているかと思いますが、念のためご注意くださいね。
使用する花材だけではなく、ラッピングの色も真っ赤なものは避けておきましょう。赤色の花を使う場合には、他の花色も上手に織り交ぜて、赤色が目立ち過ぎないよう工夫しましょう。
香りの強い花を避ける
ユリなど香りの強い花や花粉が落ちやすい花などは、衛生的な観点から基本は避けておくほうが無難です。
例えば香りの強い花は飲食店やカフェへの贈り物としては不向きですし、個人院などの医療現場にお届けするにも注意が必要です。
出産のお祝いで贈る際にも、出産後の体調に差し障る恐れがありますから、刺激の強い香りを持つお花は避けましょう。
シーンに合わない花言葉を避ける
お花にはそれぞれ花言葉がありますよね。お花のプレゼント選びの際に、花言葉から選ぶという方も多くいらっしゃいます。
花言葉はあまり気にされないという方も多いのですが、シーンに応じて、そぐわない花言葉もやはりありますから、念のために贈る花の花言葉を確認しておきましょう。
アジサイの花は土の性質によって花色が変わることから、「心変わり」という花言葉があり、ご夫婦への贈り物には向かないとされています。
また、母の日に贈るお花の代表でもあるカーネーションは赤色が基本ですが、白いカーネーションはすでに亡くなられているお母様の墓前に供えるものだとされるため、白単体の花束などは控えたほうが良さそうです。
花言葉にはポジティブな面とネガティブな面の両方があるものなので、念のためチェックしてからお花を贈るか、誤解されないように花言葉などをメッセージカードに書き添えて贈ると安心ですね。
大切なのは相手に喜んでもらいたいという気持ち
ただし、これらのタブーも結局は相手の方が気にされなければ問題ない、ということもあります。
「赤よりも白いカーネーションのほうが嬉しい」というお母さんには白いカーネーションを贈っても構いません。
アジサイの花をこよなく愛しているご友人への結婚祝いに、アジサイの鉢植えや切り花を贈ればとても喜ばれるはずです。
相手の方との関係が深く、かつ互いをよく知る間柄であれば、マナーの前にご本人にいちばん喜んでもらえるお花を贈りましょう。
まとめ
今回は、お花を贈答するシーンで気を付けておきたいマナーや注意点、おすすめのフラワーギフトである胡蝶蘭の魅力などについてご紹介してきました。
ビジネスシーンでもプライベートシーンでも、お花の贈り物は喜ばれるプレゼントです。
シーンや用途に応じてお花を選び、相手の方が喜んでもらえる心遣いに気を配って、素敵なフラワーギフトを選んでみてくださいね。
何よりも大切なのは、体裁や形式的なマナーよりも、相手の方が喜んでもらえるかどうかです。
世間的に見たらマナー違反にあたるものでも、相手の方が気にされない場合や希望される場合には、ご希望のフラワーギフトを贈りましょう。