初心者必見!胡蝶蘭の基本の育て方。二度咲きや植え替え方法も解説

開店祝いなどに贈られることの多い胡蝶蘭には、「幸せが飛んでくる」「ともに喜ぶ」という花言葉があり、花が長く持つことも贈りものに選ばれる一つの理由です。しかし、いざ胡蝶蘭を贈られた時には、どう育てたらいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

胡蝶蘭は一度咲いたら終わりではなく、きちんと管理をすれば2度目以降も花を楽しむことができ、なんと寿命は50年以上にもなるといわれています。

そこで本記事では、胡蝶蘭の育て方について初心者にもわかりやすく解説します。育て方のポイントをおさえて、毎年美しい花を楽しみましょう。

胡蝶蘭の育て方【育てる場所】

胡蝶蘭を育てるポイントの1つが「育てる場所」です。開店祝いなどで頂いた際は外に置かれることが多い胡蝶蘭ですが、長く楽しむためには室内で育てることが最適でしょう。

胡蝶蘭を育てる場所のポイントは、大きく分けて以下の3つです。

  • 明るさ
  • 風通し
  • 気温

これらのポイントについて詳しく解説していきます。

明るさ

胡蝶蘭は、もともとは熱帯雨林原産の着生植物です。熱帯雨林の中で大木の陰になるような場所で自生をします。そのため、直射日光を好まない特徴があり、木々の間からこぼれる柔らかい日差しを好みます。

また、直射日光を当てることによって葉が焼けてしまい、葉が黒っぽくなったり、白っぽくなったりすることがあります。

直射日光を避け、レースのカーテン越しなどで日光を浴びられるような明るい場所に置くことをおすすめします。

その際は、カーテンや壁に胡蝶蘭の花が当たらないように、少し離して置くことも必要です。

風通し

胡蝶蘭は熱帯雨林原産の植物のため、乾燥には弱い花です。乾燥した環境に長時間さらされると枯れてしまう要因になります。適度な湿度のある、風通しはよい場所が好ましい環境です。夏季は風通しを気にして窓側に置くと、温度が上がってしまいお花が萎れてしまいますし、冬季は逆に気温が下がってしまい枯れてしまう原因にもなります。できる限り自然な風に当たる場所に置くことが必要になります。

ただし、エアコンや扇風機の風を直接当ててしまうと、お花が痛むことがありますので、避けたほうが良いでしょう。

気温

胡蝶蘭は温かい環境を好みます。具体的な気温で言えば夜間は18℃、日中は25℃の気温が適しています。また、寒暖の差が激しい環境も胡蝶蘭には適しません。日中と夜間で5℃以上の寒暖の差が生じるような場所で育てるのは適しません。

室内に置く場合にはできる限り暖房・冷房は消さずに管理しておくことで花持ちが大きく変わりますので、最低でも10℃を保てるように室温管理を徹底してください。

ですが、育て方どおりにしなければ!とあまり気にしすぎてしまうと、楽しめなくなってしまいますから、気軽に楽しみながら管理をしてあげてください。

胡蝶蘭の育て方【水やり方法】

胡蝶蘭を育てる2つ目のポイントは水やりに関してです。水は植物の育成にとっては必要不可欠ですが、多すぎても少なすぎても植物にとってはよい環境とは言えません。

水やりのポイントは大きく分けて3つです。

  • 水やりのタイミング
  • 水やりの時間帯
  • 水やりは控えめに

上記3つのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

水やりのタイミング

鉢植えの胡蝶蘭の胡蝶蘭は水苔に植えられています。水やりのタイミングをはかる一つの方法は、胡蝶蘭の植えてある水苔の表面を軽く押してみることで確認ができます。軽く押してみて水苔が乾燥しているようであれば水やりのタイミングです。1週間から10日に1回というのが一つの目安になります。何度もあげてしまうと逆に根腐れのタイミングになりますので、苔がしっかりと乾いたのを確認してからお水をあげるようにしましょう。

水やりの時間帯

水やりをする時間帯は朝が最適です。水は植物が光合成をするのに欠かすことができません。植物が日の光を浴びて光合成をするのは日の差し込む日中なので、その前に必要な水を与えるのが理想です。

また、午後になってからお水をあげると日に当たる時間が減ってしまい、土の中の水が乾かなくなってしまいますので、朝にお水をあげるのを忘れてしまった場合には、翌日の朝にした方が良いでしょう。

水やりは控えめに

水を与えすぎるのも胡蝶蘭にとってはよくないことになります。1回の水やりの目安は一株に対してコップ一杯程度の水が理想的です。胡蝶蘭は比較的少ない水分で育つ特性があります。その為、水を多くあげすぎることは胡蝶蘭にダメージを与えることにつながります。

胡蝶蘭は大きな鉢の中に株が植わっていることが多いので、その株に入るようにお水をあげてください。3本立ての胡蝶蘭で、3本株があるのであれば、コップ一杯分ずつのお水をあげましょう。

胡蝶蘭の育て方【肥料】

胡蝶蘭を育てる際は、肥料の与え方にも気を遣いましょう。胡蝶蘭はあまり肥料を必要としない植物です。胡蝶蘭が元気のないときに与えてしまうと逆に枯らしてしまう原因にもなるので気をつけてください。

肥料のあげかたのポイントは以下の4つです。

  • 肥料を与える時期
  • 肥料を与える頻度
  • 植え替え時の肥料のやり方
  • 追肥のやり方

以上を詳しく説明していきます。

肥料を与える時期

胡蝶蘭の花が咲いているときは肥料をあげる必要はありません。肥料は花が終わった春から秋にかけて、胡蝶蘭の株を見て与えるかどうかを判断してください。

新しい根がしっかり生えていれば、肥料を与えましょう。肥料は弱っている植物に与えるのではなく、成長の栄養をあげるためのものなので、根がしっかりと生えていない場合や、季節が冬の寒い時期であれば、成長するまで肥料を与えるのは控えましょう。

肥料を与える頻度

胡蝶蘭はそれほど肥料を必要としません。特に新しく購入した胡蝶蘭の場合は、農園で理想的な環境で育ってきているため、1年から2年の間は肥料を与える必要はないでしょう。

一度花が咲き終わった以降は、年に1回、胡蝶蘭の株の状態を見て成長期の前の春に肥料を与えます。

植え替え時の肥料のやり方

胡蝶蘭の植え替えは、成長期前の5月~6月が適していると言われます。植え替え時に肥料をあげる場合は、胡蝶蘭の成長のタイミングに合わせて与えるのが理想的です。また、肥料は根に直接当たらないようにしてください。

追肥のやり方

胡蝶蘭の肥料のやり方は、5月から6月に緩効性化成肥料を置き肥して与えます。その後に追肥をする場合は、秋まで週1回程度、液体肥料を水に溶かして与えましょう。液体肥料は洋蘭用のものを選びます。

上述した通り、胡蝶蘭自体は肥料をそれほど必要としない植物なので、2度目の花以降も胡蝶蘭を育てたい方は、胡蝶蘭の根の生え方などをみて肥料を与えましょう。

胡蝶蘭の育て方【植え替え】

胡蝶蘭が病気になってしまった時やお花が終わったタイミングで、植え替えをしてあげましょう。定期的に植え替えすることで、長く楽しむことができます。

植え替えのタイミングや方法について詳しく見ていきましょう。

植え替えのタイミング

胡蝶蘭の植え替えのタイミングとして理想的な時期は4月です。遅くとも6月までには植え替えをした方がいいとされています。病気などですぐに植え替えが必要な場合は4月~6月でなくてもいいですが、胡蝶蘭が最も成長する時期の前に植え替えをするのが理想です。頻繁に植え替えをすると根を痛めてしまいますので、2年に1回ほどにしましょう。

植え替え方法

植え替えの方法は、胡蝶蘭を鉢から取り出し水苔やバークをやさしくほぐしながら取り除いていきます。痛んで腐りかけているような根は切り取ります。葉も同様で黄色く変色した葉などはこの時に取り除きます。少し多めの水苔を根に巻き付けるようにつけていきましょう。水苔の量は、押し込むとやっと新しい鉢に入るぐらいが目安です。

【番外編】植え替え先はペットボトルでもいい?

植え替え先は鉢を選ぶのが理想的です。ペットボトルへの植え替えは、鉢がない場合の代用としての選択が基本です。しかし、ペットボトルへの植え替えは根本の確認が簡単に行えることで胡蝶蘭のケアが簡単になるというメリットがあります。

胡蝶蘭の株が植えられている鉢と同じくらいか、一回り大きいペットボトルにキリなどで穴をあけ、ペットボトルよりも小さめの発泡スチロールを中に入れてあげてから、植え替えを行うと良いでしょう。

胡蝶蘭を二度咲きさせる方法

胡蝶蘭お花が落ちてしまっても、胡蝶蘭は二回目以降も咲かせることが可能です。

胡蝶蘭を二度咲きさせる方法は、5つのステップがあります。

  • 道具を準備する
  • 支柱を抜く
  • 茎をカットする
  • 植え替えをする
  • 植え替え後しばらくお水をあげない

ステップごとに詳しく紹介していきます。

道具を準備する

カッター、植え替えに使用する鉢、水苔、バークなどの植え込み材、新聞紙などを準備します。

水苔はとても保湿性が高いので、通気性の高い鉢を使用しましょう。通気性の悪いプラスチックの鉢などを使うと、根腐れの原因になります。

逆に、バークは水苔とは逆に通気性がいいので、プラスチックの鉢を使うと湿度が保てます。

胡蝶蘭を1株ずつ取り出す

売られている胡蝶蘭は、複数の株が一つの鉢に植えられています。胡蝶蘭は一つの株にに一つの花茎しか生えないのが基本です。寄せ植えをされた状態は通気性が悪くなる傾向があり、同時に水はけも悪くなりがちです。必要な酸素も栄養分も届きにくい環境にありますので、丁寧に取り出しましょう。

支柱を抜く

胡蝶蘭は花茎を支えるために支柱が添えられています。支柱はテープで花茎を固定していますので、カッターを使いながら丁寧にテープをはがし、支柱を抜きましょう。支柱が必要ない場合は、自治体の方法に合わせてゴミに出して大丈夫です。手などを切らないようにご注意ください。

茎をカットする

花茎をカットします。花茎をカットするのは、株を休ませ、栄養を株の全体に行き届かせることで株の回復を促す目的があります。花茎をカットする場合は、根元から数えて5~6節目上部を斜めにカットをします。

植え替えをする

丁寧に株分けをし、根元の水苔やバークなどを取り除きます。新しい、水苔やバークを根に巻き付け、新しい鉢に植え替えます。細かな手順は通常の植え替えと同じです。株の寄せ植えの場合は、一株に一鉢になるように植え替えましょう。

植え替え後しばらくはお水をあげない

植え替えを行った後は1か月~2か月ほどは水をあげないようにします。これは、株が少しダメージを受けているためで、その回復を待ってから水をあげるようにします。葉のツヤがなくなったころにお水をあげてください。

花の成長は、胡蝶蘭が環境に慣れることが必要なので、場合によっては次に花が咲くまで2~3年ほどかかってしまう可能性があります。焦ってお水や肥料をあげすぎたりしないようにして、気長に楽しむのがコツです。

【番外編】切り落とした胡蝶蘭はどうする?

切り落とした胡蝶蘭は、花瓶にさして切り花として楽しむこともできます。ドライフラワーにしても楽しめますが、ハンギング法、ドライ・イン・ウォーター法では綺麗にできませんので、シリカゲル法がおすすめです。

【季節別】胡蝶蘭を育てるときの注意点

日本は四季の変化のある気候です。一方、胡蝶蘭は熱帯雨林の原産なので気候の変化は非常に負担になる特性があり、季節によって胡蝶蘭を育てる時の注意点が異なります。

春(3月、4月、5月)

この季節は胡蝶蘭にとっては成長をスタートさせる時期にあり、同時に花を咲かせた後の体力の回復時期ともなる季節です。寒暖の差には注意が必要です。植え替えのタイミングも春になりますので、注意が必要です。

夏(6月、7月、8月)

湿度は胡蝶蘭にとって適切ですが、日差しが強すぎるのが夏です。夏場の強い日差しは胡蝶蘭にとっては過酷です。強い日差しが葉に当たらないように注意します。

夏は冷房をつけることが多いと思いますが、冷房の風が直接当たらないようにすることも大切です。

秋(9月、10月、11月)

春同様、胡蝶蘭にとっては理想的な環境に近い季節ですが、9月の残暑は油断ができません。また寒暖の差が生じることもあり、なるべく気候の変動の影響を大きく受けない環境に胡蝶蘭を置いてあげるなどの配慮が必要です。日照時間も短くなってきますので、お花の水やりのタイミングにも気を配りましょう。

冬(12月、1月、2月)

胡蝶蘭にとって最も厳しい環境が冬です。その理由の一つに気温の問題がありますが、合わせて湿度の問題もあります。

また、暖房器具を利用することにより乾燥が強くなり、寒暖の差が生じることにもつながりやすいので配慮が必要です。冬季は水やりも少なくしても大丈夫なのので、苔に湿り気がなくなったタイミングで行いましょう。

胡蝶蘭の育て方のよくある質問

最後に、多くの人が疑問に持つ胡蝶蘭の育て方に対する疑問をまとめてご紹介します。

葉が枯れた場合はどうする?

葉が茶色や黄色になったり、白っぽい、または黒っぽくなった場合は、葉焼けによる症状です。直射日光の当たらない場所に移し、変色した部分をハサミで切り取ってあげてください。

変色が葉の全体に及んでいる場合は、葉が枯れて落ちるのを待ちましょう。

根に近い葉が黄色や茶色になっている、葉が薄くしわしわになっている場合は、寿命のため病気ではありません。完全に枯れたら、手でつまんで取り除いてください。

一方、葉がヨレヨレになって枯れた場合は根腐れが考えられます。根の状態を確認し、植え替えを行いましょう。

花が落ちたらどうしたらいい?

胡蝶蘭は根元に近い花から枯れていきますので、萎れてしまったり、枯れてしまった花は随時取り除いてあげてください。完全に花が落ちた後は、前述した二度咲きの方法で支柱を外し、茎をカットしてあげてください。

胡蝶蘭って増やせるの?

胡蝶蘭は株が増えることで増えていきます。健康な胡蝶蘭は株に子株が育ちます。この子株を根と芽が出た状態で分割することで株分けが出来、増やすことができます。

もう一つの方法は高芽が出た時に増やすことができます。高芽が出て5cmぐらい根が伸びてきたら親株から切り離します。

ラッピングはつけたままでいい?

ラッピングをそのままにしてしまうと、根腐れの原因になりますので、必ずラッピングを外してから育ててあげることをお勧めします。どうしてもラッピングを外したくない場合は、鉢のそこの紙を切って水はけが良くなるようにしてあげてください。

鉢植えに入ってた発泡スチロールは何?捨てていい?

これば胡蝶蘭の葉の水はけをよくすることや、鉢を軽量化する、株と鉢の間を埋める、支柱を支えることなどのために発泡スチロールをいれることがあります。

植え替えの際に出てきても、そのまま捨ててしまって大丈夫なので、お住いの自治体のルールに合わせてごみとして出しましょう。

まとめ

本記事では、胡蝶蘭の育て方について詳しくご紹介しました。

胡蝶蘭はとても長生きする植物で、上手に育てればなんと50年以上の寿命もあると言われています。胡蝶蘭を貰ったら、この記事を参考にお世話してみてください。気温が急激に上がったり下がったりする夏や冬は特に気を使ってくださいね。大切に育てれば、胡蝶蘭は毎年花を咲かせてくれるはずです。

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