七夕の日を彩る夏らしいお花!フラワーギフトにもおすすめの種類をご紹介

毎年7月7日は七夕です。天の川を隔てた織姫と彦星が、年に1度だけ会うことを許される日である日本の夏の風物詩ですね。

七夕が近づくと、ショッピングモールやスーパーなどに笹の木が飾られて、それぞれが思い思いの願い事を短冊に書いて吊り下げています。場所によっては盛大なお祭りが行われる地域もあります。

そんな夏の風物詩でもある1日を、七夕をモチーフにしたお花を飾って彩ってみませんか?

今回は、七夕の日に飾りたいおすすめのお花の種類や、七夕の歴史や由来なども交えて、ご紹介していきたいと思います。

 

七夕とはどんな行事なのか

小さな頃から慣れ親しんできた七夕のイベントですが、どんな由来があって行われている行事なのかと聞かれるとはっきりと説明できない方も多いのではないでしょうか。

まずは、織姫と彦星の恋物語で有名な七夕とは、いったいどんな行事なのかを紐解いていきましょう。

 

七夕とは五節句のひとつ

天の川を隔てた織姫と彦星が、1年に1度だけ会える七夕の日。

小さな頃、無事に2人が会えるようにとてるてる坊主を作って晴天を祈った人も多いのではないでしょうか。

ロマンチックなイベントでもある七夕は、ひな祭りの上巳の節句、こどもの日である端午の節句などと並ぶ、五節句のうちのひとつです。

 

中国の伝説が七夕の由来

もともと中国には、「乞巧奠(きっこうでん)」という行事がありました。織姫が機織りが大層上手であったことにちなんで、女の子の機織りや裁縫の腕の上達を願うお祭りです。

これがだんだんと書道や芸事などの上達を願うようになっていき、日本へと伝わった現在では叶えたい願い事を短冊に記すという風習になりました。

 

英語圏では七夕文化がない

七夕の文化は、中国や日本以外、特に英語圏の国ではなじみがありません。

日本人が多く移住している地域では、「Star festival」として七夕祭りが行われていることもあるようですが、残念ながら英語圏の大多数の人が認知しているイベントではないようです。

 

ベガとアルタイルの星座物語

織姫と彦星の言い伝えは、織女星(おりひめ)と牽牛星(ひこぼし)という2つの星座にまつわる物語です。

織女星とは、琴座のベガ、牽牛星は鷲座のアルタイルを指します。

この2つの星が、天の川を挟んでいちばん光り輝くのが1年のうちの旧暦である7月7日であったことから、七夕の言い伝えが生まれたのだと言われています。

よく、織姫と彦星は引き離された悲運の恋人だと思われていますが、実はこの2人はすでに結婚している夫婦です。

そして、川の対岸に引き離されてしまったのにも、実は意外な理由がありました。その言い伝えについて、詳しく見てみましょう。

 

織姫と彦星の言い伝え

あるところに機織りが上手な織姫という娘がいました。とても上質な織物を織る娘で、怠けもせず真面目に働く良い娘でした。

自分をないがしろにしてまで仕事に励む織姫を案じた、父である天の神は、織姫に良い婿を与えようと、牛の世話に励む真面目な青年・彦星と会わせます。

恋に落ちた2人は、結婚してとても仲の良い夫婦となりました。

しかし、真面目だった2人は、結婚をしてからは仕事を怠けて、遊んで暮らすようになってしまいます。

その様子に激怒した天の神は、2人をそれぞれ天の川の対岸に引き離したのです。

仕事をさせるために引き離したにも関わらず、2人は互いに会えない悲しみに暮れてばかりで仕事が手につきません。

見かねた天の神が、「きちんと仕事に励むのならば年に1度だけ会うことを許す」と伝えると、織姫と彦星は一生懸命勤めを果たすようになりました。

 

七夕行事での飾り物

年に1度しか会えない可哀想な恋人同士だと思っていた織姫と彦星が、実は自分達が仕事を怠けてしまったがために引き離されてしまったのだというのは意外ですよね。

きっとどちらも七夕の日を楽しみに、毎日仕事へと励んでいるのでしょう。

そんな星座にまつわるエピソードを持つ七夕といえば、やはり短冊などの飾り物でおなじみです。

この飾り物ですが、それぞれにきちんと意味があることをご存じでしょうか。

続いては、七夕での飾り物に込められている願いや意味についてご紹介していきます。

 

願い事を短冊に綴る

笹の葉に願い事を書いた短冊を吊るすのは、七夕で行うことの定番ですね

この短冊は、青・赤・黄・白・黒の5色を使って作られますが、これにはつゆごくの「陰陽五行説」が深く関係しています。

この「陰陽五行説」とは、中国に古来から伝わるもので、自然界におけるすべてのものは「木・火・土・金・水」の5つに当てはめられるという考え方です。

日本ではあまり黒が好まれませんので、代わりに紫がよく使われています。

「木」だと分かりやすくなるように、青い短冊の代わりに緑が使われることもあります。

 

また、この5色を「五徳(仁・礼・信・義・智)」にもあてはめて考えられることもあり、それぞれの短冊の色にはこのような意味が当てられています。 

青(緑)=木 思いやり徳を積む
赤=火 ご先祖や親、目上の人に感謝する
黄=土 人を信じて大切に思う
白=金 義務や決まり事を守る
黒(紫)=水 学業を向上させる

短冊に叶えたい願い事を綴る際には、願い事と短冊の持っている意味が近いほど、叶えられる力が増すと考えられていますので、短冊選びの際には気にかけてみてくださいね。

 

笹の飾り物の意味

笹の葉には、短冊以外にも、紙衣や提灯、巾着などを飾りますが、この飾り物にもそれぞれ意味が込められています。

紙衣は、本来は機織りや裁縫の腕の上達を祈る行事であった頃の名残です。また、「着る衣服に困らぬように」という意味の願いもあります。

暗闇でも辺りを照らしてくれる提灯には、魔除けや厄除けといった意味合いが込められていますよ。

巾着には、金運の上昇を願う意味があります。

 

飾り付けに笹が使われる理由

笹に吊るす短冊や飾り物にも、それぞれ深い意味があるということが分かりましたね。

さて、「ささのはさらさら」の歌詞でもおなじみの笹ですが、なぜ七夕には笹が使われるようになったのかご存じでしょうか。

笹の葉が船の形に似ていることから、願い事を天へ届ける役割があるという説もありますが、その他にもいくつか理由があります。

有力な説として考えられている、3つの説をご紹介したいと思います。

 

①竹から変化した

まずは、祭壇などに供えていた竹が、笹に変化したのではないかという説です。

丈夫な竹は生命力のシンボルでもあり、神聖な力が宿るものだとされ、神の依代として神事に使われていました。

竹の内側は空洞になっているので、この空洞に神が宿ると信じられていたのです。

七夕行事の際には、織姫と彦星へのお供え物の目印に、祭壇の近くへ竹を立てていましたが、これが徐々に笹飾りへと変わっていったのではないかと考えられています。

ちなみに竹と笹は、どちらもイネ科タケ亜科の単子葉植物であり、大変よく似ている見た目なのでなかなか見分けられません。

枝をよく見ると、笹は節目から3本以上枝が生えていますが、竹は節目から2本しか生えないという違いがあります。

また、笹のほうが竹よりも草丈が低いものが多いです。

品種によっては草丈が低い竹や、4メートル以上にも生長する笹もありますが、基本的に低い竹が笹で、高い丈が竹だと覚えておきましょう。

一般的な笹は竹よりも草丈が低いので扱いやすいですし、小さな子どもでも届く位置にあると飾りやすいですよね。

 

②抗菌効果がある

続いての説は、笹の持っている抗菌効果が関係しているという説です。

旧暦の7月7日に行われていた七夕は、新暦(グレゴリオ暦)に直すと8月の上旬から中旬頃に当たります。

8月の季節行事といえばお盆がありますが、七夕はお盆行事の風習が混ざって変化していったのではないかと考えられている説もあるのです。

気温の高い夏は、食べ物の傷みや腐りが早い季節でもあります。

冷房機器や冷蔵庫などの便利な家電がまだまだなかった時代には、笹の葉の持つ抗菌効果を利用して、ご先祖へのお供物の下に笹の葉を敷いて、お供物の傷みを和らげていたとされています。

この笹の葉の風習が次第に七夕と組み合わさって、笹の葉に短冊を飾るようになったという考え方もあるようです。

 

③古くからの風習

最後にご紹介する説が、昔の風習の名残ではないかという考えです。

先ほど、お供物を笹の葉の上に載せる風習があったとご説明しましたが、七夕の日にはこのお供物を願い事を込めて川に流す風習があったと言われています。

この「川に流す」という行為には、汚れや邪気を一緒に流して清めるという意味合いもあったのだそうです。 

ここまでご紹介してきた3つの説が組み合わさって、今のような笹飾りが定着していったのかもしれませんね。

 

七夕の日に飾ろう!ギフトにもおすすめの花

年に1度訪れる夏の行事である七夕。

笹への飾り付けは、まるでクリスマスツリーを飾り付けているようで、小さな子どもにはとても楽しいイベントですが、自宅で笹を用意するのはちょっと大変ですよね。

そんなときには、七夕をモチーフにした素敵なお花を飾って、夏の夜を彩ってみてはいかがでしょうか。

切り花でも鉢植えでも、お花がお部屋にあるだけで、空間が明るく華やぎます。

続いては、七夕や星を思い浮かべるような、七夕の日の飾り付けにぴったりのお花をいくつかピックアップしてみました。

プレゼントにもぴったりですので、七夕の日のフラワーギフトとしてもぜひ参考にしてみてくださいね。

 

アサガオ

科・属 ヒルガオ科・サツマイモ属
和名 朝顔(あさがお)、牽牛花(けんぎゅうか)
英名 Morning glory
学名 Ipomoea nil
原産地 中央アメリカ
花言葉 「愛情」「結束」「明日も爽やかに」「固い絆」

日本の夏を彩ってくれるアサガオには、実は「牽牛花(けんぎゅうか)」という別名があります。なんだか聞き覚えがありますよね。

牛飼いの青年・彦星を指す鷲座の牽牛星には、この漢字が含まれています。

その昔、アサガオの種は薬としての希少価値が高く、アサガオの種と牛が物々交換されるくらい高価だったのだそうです。そのため、牛にちなんだ呼び名が付けられることになりました。

園芸品種として改良されるようになってからは、現在のように観賞用としてのアサガオが広まっていきました。花の絞り模様が星に見えることもあって、七夕の日にはぴったりなお花ですね。

七夕の当日にアサガオの花が咲くと、織姫と彦星が無事に会えるという縁起の良い言い伝えもあることから、アサガオは七夕に結びつきがある植物なのです。

 

カスミソウ

科・属 ナデシコ科・ジプソフィラ属
和名 霞草(かすみそう)
英名 Baby’s breath, Gypsophila
学名 Gypsophila elegans
原産地 アジア、ヨーロッパ
花言葉 「幸福」「感謝」「無垢の愛」「恋人」

小花がたくさん集まっている花姿が、霞がかって見えることが名前の由来でもある「カスミソウ」は、無数の星が集まってできた天の川にも見えます。

カスミソウの品種には、この白い花を星や雪などになぞらえた、「アルタイル」「銀河」「スノーベール」といった美しい名前の品種も生まれています。

カスミソウには、定番の白色以外にも、ピンクや黄色、水色や紫など、染色によって色付けされたカスミソウもあります。

花束やアレンジメントなどでは脇役として活躍することが多いお花ですが、カスミソウだけを束ねたブーケもとても素敵です。

さまざまな色のカスミソウを集めて一束にまとめるだけで、とても繊細で可憐な花束ができあがりますよ。

もともと乾燥気味のお花なので、乾燥させてドライフラワーにするときれいに仕上がります。七夕が終わったらドライフラワーを作ってみるのもおすすめです。

 

キキョウ

科・属 キキョウ科・キキョウ属
和名 桔梗(ききょう)
英名 Balloon flower
学名 Platycodon grandiflorus
原産地 日本、中国、東アジア
花言葉 「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」

「キキョウ」は、深みのある青紫色の星形の花を咲かせる、和の雰囲気を持ったお花です。ちょうど七夕の頃に咲いているお花なので、七夕の日にはぴったりですね。

秋の七草のひとつでもあり、古くから日本では親しまれてきました。

着物や浴衣の柄としてもおなじみのお花です。一輪挿しにしてさりげなく飾っておくだけでも高級感があり、日本の夏を演出するお花らしい風情が感じられます。

キキョウの花は、つぼみのうちは丸みを持って膨らんでいますが、この姿が紙風船にも似ていることから、英名では「Balloon flower(バルーンフラワー)」とも呼ばれていますよ。

 

ナデシコ

科・属 ナデシコ科・ナデシコ属
和名 撫子(なでしこ)
英名 Dianths, Gillyflower
学名 Dianthus superbus
原産地 アジア、ヨーロッパ、北米、アフリカ
花言葉 「無邪気」「純愛」

キキョウと同じく秋の七草のひとつである「ナデシコ」も、実は七夕と関係のあるお花です。

その昔、七夕に飾るお花というと、キキョウともうひとつ、ナデシコ科の花である「仙翁花(せんのうげ)」だとされていました。

平安時代においては、七夕には「瞿麦合(なでしこあわせ)」が行われ、左右に分かれて撫子の花の美しさと、撫子を詠んだ歌で競い合う遊びが貴族の間で流行っていたそうです。

 

ベゴニア 

科・属 シュウカイドウ科・シュウカイドウ属
和名 ベゴニア
英名 Begonia
学名 Begonia
原産地 ブラジル
花言葉 「幸福な日々」「愛の告白」「片思い」

お庭や花壇でよく見かけるベゴニアは、肉厚の葉が可愛らしいハート型をしたチャーミングなお花です。

主に鉢植えで多く流通しており、花色には、赤やオレンジ、黄色といったビビッドで元気な夏らしい色合いのものがあります。

園芸品種がたくさん存在しているベゴニアですが、その中に花や葉が星形をしている「ヒコボシ」「オリヒメ」という品種名もあります。

ただし流通数がそこまで多くはないので、探すのは少々大変かもしれません。

ベゴニアは寒さには強くありませんが、暑さには耐性がありますので、暑い夏でも元気に花を咲かせてくれる、夏のガーデニングを彩る強い味方です。

 

アジサイ 

科・属 アジサイ科・アジサイ属
和名 紫陽花(あじさい)
英名 Hydrangea
学名 Hydrangea macrophylla
原産地 日本
花言葉 「家族」「一家団らん」「高嶺の花」

日本を原産とするアジサイは、梅雨の時期を代表するお花です。

日本原産のアジサイは「ガクアジサイ」ですが、これが西洋へと輸出されて西洋アジサイとして品種改良されました。この西洋アジサイがやがて日本へと逆輸入され、現在では豊富な園芸品種が誕生しています。

学名・英名の「ハイドランジア」とは、ラテン語で「水の器」という意味を持っています。和名の「紫陽花」とは、藍(青色)が集まるという意味の「集真藍(あづさあい)」が徐々に変化していき、アジサイと呼ばれるようになったと言われています。

アジサイのひとつひとつの萼は星にも見えて、小さな星形がたくさん集まっている様子は天の川にも例えられますね。

最近では母の日の贈り物として、カーネーションに次いで人気があるフラワーギフトにもなっています。

 

まとめ

今回は七夕の日に飾りたい、おすすめのお花の種類や、七夕の歴史や由来についてご紹介してきました。

七夕の日に語り継がれる織姫と彦星の星物語には、切ないだけではない人間らしいエピソードもあったのですね。

笹を飾るのはお家の事情的にちょっと難しい……というときには、星形や天の川を思い浮かべられるような旬のお花を取り入れて、お家を飾り付けてみてはいかがでしょうか。

七夕らしいお花を飾って、素敵な七夕を過ごしてください。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?