ゴージャスで鮮やかな花のアザレア|特徴や育て方、花言葉など
「アザレア」は、アゼリアや西洋ツツジやオランダツツジとも呼ばれています。
日本では、ツツジというと花壇に植えられていることも多く、幼少期に花の蜜を吸ったことがある方も多いかもしれません。そんな馴染みの深いツツジですが、西洋ツツジである「アザレア」とはどういった違いがあるのでしょうか。
アザレアはツツジ特有の色鮮やかな八重咲きが多く、豪華な印象の花で、室内観賞用の品種が秋から出回ります。
今回は、アザレアの特徴や育て方などについて、詳しくご紹介していきましょう。
アザレアの基本情報
まずはアザレアの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | ツツジ科・ツツジ属 |
和名 | 西洋躑躅(せいようつつじ) |
英名 | Azalea |
学名 | Rhododendron |
原産地 | 日本、中国 |
西洋ツツジと言われていますが、原産地は日本や中国。
タイワンツツジがヨーロッパで鉢植え用に品種改良されたものを、言わば逆輸入したようなお花です。
アザレアの特徴
アザレアとは日本の躑躅(ツツジ)類の総称でもあり、日本系の種類をツツジ、西洋系の種類を「アザレア」と区別して呼ぶことが多くあります。
ケラマツツジ、サツキ、大紫、白琉球などと、中国のタイワンヤマツツジが、江戸末期頃からイギリスへと渡り、さらにオランダを中心にして交配が行われてアザレアが誕生しました。交配親のヤマツツジの仲間は、日本、中国、台湾、ベトナムなどに広く分布しています。
日本のツツジを交配させてできたアザレアは、日本のツツジと同じく4〜5月が開花時期です。ほとんどはツツジと同じお手入れ方法で栽培が可能となっています。
花は八重咲きやフリル咲きなどの豪華な大輪で、鉢植えの園芸用品種では、その大輪の花を室内で手軽に楽しむことができるでしょう。花色はピンクや赤、白や紫や、複色のものもあります。
アザレアは低木で、樹高は1〜1.5mほどと剪定して育てていきやすい品種です。
花は、日本系の種類よりも西洋系が豪華なフリルのような花の姿で大きく、日本のツツジと比べて寒さに弱いという特徴があります。
日本のツツジは交配親なので、日本の環境下で問題なく生長していきますが、耐寒性・耐暑性共にそこまで強くはないので、霜や雪が積もる場所を避けて植えてください。
アザレアの名前の由来
名前のアザレアとは、ラテン語で乾燥を意味する「azaleos(アザロス)」が語源になっており、アザレアが乾燥している土壌を好む性質にちなんでいます。
アザレアの花言葉
全体としての花言葉には「節制」「禁酒」「恋の喜び」などがあります。
アザレアは色別にも花言葉があり、白いアザレアには「あなたに愛されて幸せ」「満ち足りた心」「充足」という言葉を持っていますよ。
これは、白い花びらを純白の花嫁の姿と重ね合わせて、花嫁の幸せな気持ちを花言葉として表したのだと言われているようです。
赤には「節制」「節度の愛」という花言葉があり、ピンクには「青春の喜び」があります。
特に怖い意味の花言葉はないのですが、珍しい花言葉として「禁酒」があります。
アザレアが乾燥した土壌を好むと先述しましたが、乾燥=dry(ドライ)=英語ではお酒が切れている状態を表すため「禁酒」の花言葉が付いたようです。
アザレアの品種
アザレアには世界中で2,000種類以上の品種が存在すると言われていますが、中でも代表的
なものをいくつかご紹介しましょう。
ヤマツツジ
ヤマツツジ(山躑躅)は、英名で「Kaempfer azalea(ケンペルアザレア)」「Torch
azalea(トーチアザレア)」などと呼ばれる植物です。
日本に自生するアザレア類の中では最も一般的で、4〜6月に開花時期を迎えるでしょう。
白花を咲かせる種類は、白山躑躅(しろやまつつじ)と呼ばれています。
アルブレヒツアザレア
アルブレヒツアザレア(八汐躑躅)はヤマツツジのように燃えるような鮮やかな花色をして
おり、「愛の喜び」と「情熱」の花言葉が付けられています。
ミヤマキリシマ
ミヤマキリシマ(深山霧島)は、鹿児島県の県花に指定されている花で、霧島に訪れた植物
学者が「深い山に咲く躑躅」という意味の名前を付けたのが由来です。
英名では「Kyushu azalea(キュウシュウアザレア)」と呼ばれており、花色は薄紅色やピ
ンク色をしています。
春が開花期ですが、気候が似ているせいなのか、間違えて秋に開花した花もあるのだそうで
す。
サツキアザレア
英名では「Satuki azalea(サツキアザレア)」と呼ばれており、訳すと「サツキツツジ」になります。サツキとツツジが似ているため間違われやすいのですが、サツキとは、ツツジの園芸品種の一種です。つまりは同じ花なのですが、ツツジの品種としてサツキがあるということになります。
ロマンス・パール
ロマンス・パール(Rhododendron Romance Pearl)は、サーモンピンクというよりも、ほ
とんど肌色やベージュにも近いような薄いパステル調のピンクが特徴的で、淡くやさしい雰
囲気を持つ品種です。
しかしながら、半八重の大輪の花が咲かせるアザレアらしい種類です。
クリスタル・パール(Rhododendron Crystal Pearl)は、ロマンス・パールの枝変わり品種
で、花にはくっきりとした鮮やかな赤色が入っています。
ロザリー
オランダ原産のロザリー(Rhododendron Rosalie)は、花がほとんど紫寄りのピンク色を
していて一重咲きや半八重咲きの花を咲かせます。
大輪の花びらには、上の方に斑のアクセントが付いていますよ。ロザリーの白い花はステラ・マリス(Stella Maris)と呼ばれています。
越の淡雪
越の淡雪(こしのあわゆき)は、学名が「Rhododendron Koshi no Awayuki」といい、日本
の新潟県農業総合研究所園芸センターにより発表された、アザレアでは比較的珍しいとされ
ている白い花色の種類です。花びらの上部には、薄い緑色で斑模様が入っており、このアク
セントが花の白さを際立たせます。
他の品種
「晴朗」という花びらに赤い筋が入る品種や、「ニコレット系」としてまとめられるものでは、中輪で早咲きでの「ヘルムートフォーゲル」や、白地の花びらに赤色が入った「アクアレル」、ピンクベースの花色に白い縁取りがされている「ニコレットインガー」などがありますよ。
半八重咲きの花の、赤と白のコントラスト模様がとても美しい「カメレオン」は、近年ヨーロッパから入った新種になります。
アザレアの育て方
アザレアはピンク、オレンジ、赤などの豪華な花を咲かせるので、ガーデニングが華やかになります。
サツキやツツジと同じく、一年中緑の葉を付けている常緑性の植物なので、花が咲き終わった後も、美しい緑の葉を楽しめるでしょう。
豪華な花姿から、育て甲斐もあるアザレアは、もともとが日本産のツツジの改良品種なので、日本の環境下に適しており、育てるのも比較的簡単です。
初心者でもチャレンジしやすい植物なので、ぜひ挑戦してみましょう。
ここからは、アザレアを栽培するうえでの基本的な育て方やコツなどをご紹介していきます。
植え付け
苗木を植え付ける場合には、梅雨に入る前の5〜6月頃に植え付け作業を行ってください。購入した苗は乾燥しやすい土に植えられているので、よく土を落として保水性の高い土を足しましょう。
アザレアは、種ではなく苗が販売されているので、そのまま苗を植え付けて育てていくことができます。
春頃に園芸店やホームセンターなどで、アザレアの苗が販売され出しますので、葉の裏表をよく観察して、害虫がいないかどうか、病気にかかっていないかをチェックし、なるべく丈夫そうで健康的な株を選んでください。
一般的に、アザレアを種まきから実生で育てることはありません。
置き場所
アザレアは、温室栽培ができる鉢花品種ですので、寒さには弱く、庭植えには不向きです。
鉢植えで管理していき、気温が高い4月以降には屋外でも育てられますので、日当たりと風通しのいい場所で管理しましょう。
真夏の間は、強すぎる日差しや直射日光は葉焼けを起こす原因になるので、猛暑日などには直射日光を避けた明るめの日陰に置き、涼しくなった頃に日なたへと移してください。
基本的にはよく日が当たる明るい室内で管理しましょう。寒さにはある程度強いため、エアコンやヒーターといった暖房器具などでの温度調節は特に必要ありません。
エアコンの風が直接当たると、葉から水分が蒸発して、つぼみを落としたり咲いた花が傷んだりするので、置き場所には気を付けましょう。
冬の寒さは経験させておいたほうが株が強く育ちますので、11月の下旬頃までは屋外で管理しておいても大丈夫です。それ以降は室内の明るい場所に取り込んでください。
アザレアの花を早く開花させたい場合は、霜の降りない軒下など、気温が下がり過ぎない場所を選び、12月の上旬頃までは外に置いてアザレアに寒さを感じさせるといいでしょう。
その後、室内の日当たりのいい場所に移すことで、開花が促進されます。
水やり
アザレアは、鉢土の表面が乾いたのを確認したら、鉢底から水が流れ出るほどにたっぷりのお水を与えてください。
アザレアは、4〜5月にかけて生育期を迎えますが、この時期は特に乾燥しやすくなるので、こまめに土の様子を観察して、乾燥しているようなら水やりをします。
ほとんど毎日のように水やりをしていて、こんなに与えていて大丈夫かな?と思っても、土がしっかりと乾いていれば、水を与えて問題ないです。
夏の間は、さらに土が乾きやすくなりますので、土の様子を観察しつつ、朝・夕の2回水を与えるくらいでも問題ありません。
秋にも、土が乾いていれば毎日たっぷり水やりしましょう。
冬も、土が乾いたことを確認して水を与えるのですが、生育期に比べると時期的に土が乾きにくくなるため、春~秋と比べて水やりの頻度は減っていきます。
肥料
アザレアには、花が終わった後と、9〜10月頃にリン酸分が多く含まれている緩効性の化成肥料や固形の油粕などを与えてください。
アザレアは、花が開いた後に伸びる枝が生育していくと、花芽をたくさん形成してくれます。この花芽は、次の年の花が咲く数に直結しますので、花を終えた後の肥料は必ず与えるようにすると、翌年のつぼみの成長を助け、たくさんの花を咲かせて楽しませてくれますよ。
剪定
アザレアは、花が咲いてから梅雨を迎える前までの5〜6月に、なるべく早い段階で剪定作業を行ってください。
夏になると剪定時に花芽も一緒に切ってしまうので、せっかくたくさん花を咲かせようとしても、翌年の花付きが減っていってしまいます。
ツツジと同じように枝数がかなり多いアザレアは刈り込むことができますので、2年目以降は植え替えのタイミングで、剪定も一緒に行うと良いでしょう。
アザレア全体の3分の1ほどをドーム状に刈り込んで、弱った枝はつけ根から切り落としていきます。伸び過ぎた枝を切り、弱い枝は間引いて摘芯をしていき、丸く整えましょう。
7月中旬までに摘芯を終えないと、翌年花が咲きませんので、大切な作業になります。
植え替え
アザレアの植え替えは、花が咲き終えた後の4〜6月頃に行なうのが適期です。
まず1年目には、花が咲き終えた後の4月頃に行いましょう。
生長スピードの早いアザレアは、鉢に根がぱんぱんに張っており、詰まり気味の状態が多いため、株を取り出して古い土を落とし、3分の1ほどにほぐしてから一回り大きな鉢へと植え替えましょう。
翌年からは2年に1回ほど、花が咲き終わった後の5月〜6月上旬に、定期的な植え替えを行ってください。
植え替えの都度、大きな鉢に植え替えていくと、鉢の大きさに合わせて株がどんどん成長していきます。そろそろサイズダウンさせたいなと思ったら、植え替えを行なう際に、根鉢を崩したとき、根を清潔なハサミで半分ほど思い切ってカットしておきましょう。
冬越し
アザレアは、先述したように寒さにあまり強くない品種なので、冬季の間は基本的には室内管理が必須になるでしょう。
室内で管理はしたほうがいいのですが、寒さを経験しすぎないと、花芽の生長が遅くなっていきますので、花の数が減って寂しくなってしまったり、開花時期が遅れてしまったりすることもあります。
翌年も大輪で豪華なアザレアの花をたっぷりと咲かせるためには、11〜12月くらいまで、あえて屋外に置いて管理することで、株に寒さを経験させましょう。
12月以降は本格的な冬を迎えますので、忘れず室内に取り込んで、春までは室内管理を行ないます。
病気・害虫
アザレアがかかりやすい病気としては、葉に褐色の斑点ができる「褐斑病」と、葉が黒ずんで枯れていってしまう「疫病」、白い菌糸が発生する「白絹病」などに、まれにかかってしまうことがあります。
害虫には、葉を白く変色させてしまう「ツツジグンバイムシ」や花芽を食害する「ベニモンアオリンガ」の幼虫などにも注意してください。
葉裏などの葉「ハダニ」が寄生する可能性が高く、吸汁によって株が弱る恐れもあります。
病気や害虫を防ぐためには、定期的に殺虫剤を撒いて害虫を予防するのがいちばんです。
そして、高温多湿になる状態を避けて、風通しがいい状態を常に保ち、枝や葉が蒸れないよう注意しましょう。
アザレアの増やし方
アザレアは、「挿し木」で簡単に増やしていくことができますので、育て方に慣れてきて、株を増やしてみたいなと思ったら、ぜひ挑戦してみてください。
挿し木で増やした株は、親株のクローンになりますので、花色や開花時期なども、親の特徴を引き継いでいます。
挿し木
挿し木を行なうのに適しているのは、植え替えなどと同じく5〜6月頃になります。
【挿し木の手順】
- 挿し木用の挿し穂として太めの枝を6cmほどに切り落とし、下葉を数枚落とします。
- 切り口を斜めに切り、発根促進剤や植物成長調整剤にしばらく浸けておきましょう。
- 鉢土に穴を開け、隣の葉と触れないよう、挿し穂を3cmほど間隔を空けて挿します。
- たっぷりと水やりしてから、風の当たらない日陰で管理しましょう。
- 1ヶ月ほどで発根・発芽してきますので、育ってきたら鉢に植え替えます。
挿し木の場合も、鉢植えでの管理と同じく、土が乾燥しないようにこまめに観察して水やりすることが大切です。
まとめ
今回は、ゴージャスな大輪の花を咲かせる、ツツジ科のアザレアについて、特徴や育て方、品種などをご紹介してきました。
室内観賞用の鉢花として流通しているアザレアは、冬の寒さには弱いので基本的には室内で育てていきます。
適度に冬の寒さにも慣らすことで開花を促進させ、鮮やかな花をたくさん咲かせてくれますよ。秋に葉が落ちない性質を持つ常緑性のアザレアは、通年美しいグリーンの葉を付けて、花が咲いていない間も楽しませてくれます。
日本のツツジを親に持ったアザレアは、日本の環境にも馴染んでいますので、ぜひ育ててみてくださいね。