南国ムード満点!エアープランツ(チランジア)の魅力

近年の観葉植物ブームで人気が高まっている「エアープランツ」をご存じでしょうか。

別名では「チランジア」と呼ばれており、南国ムード満点のトロピカルな雰囲気を持つ観葉植物です。

エアープランツは、土を必要とせず、空気中の水分を取り込んで生長していきます。

そのため、ハンギングや着生など、飾り方のバリエーションも広がるので、インテリアに取り入れやすい観葉植物なんですよ。

 

今回はそんなチランジアについて、エアープランツの特徴や性質を踏まえながら、基本的な育て方やお手入れ方法などをご紹介していきます。

 

チランジア(エアープランツ)の特徴

チランジア(エアープランツ)とは、アナナス科(ブロメリア科・パイナップル科)に分けられるチランジア属の植物の総称です。

学名である「チランジア」の流通名でも広まっています。この記事では、以降は「チランジア」の名称で統一してご紹介させていただきます。

 

「エアープランツ」として呼ばれている植物のほとんどが、ブロメリア科・チランジア属に分類されています。

チランジア属に分けられる植物は、原種だけでも600種以上存在すると言われ、そこに園芸用の品種も含めるとすると、その数は2,000種以上にも及びます。

 

根が生えているタイプのチランジアは、地面に下ろすために根を使わず、木の肌や岩などに株を固定させるために根を巻き付けていきます。

高級フラワーギフトとして有名な「胡蝶蘭」も、実はチランジアのような着生植物の仲間なのです。

着生植物は土を必要としないので、テーブルの上などに置かれたり、ガラスの容器などに入っていたり、あまり植物らしい印象がありませんよね。でもチランジアは空気中の水分を取り入れて、置き物のようであってもしっかり生きているのです。

木の板やコルクなどに着生させたり、ハンギングで吊り下げたりと、飾り方の自由度がぐっと高まるため、インテリアグリーンとして近年人気が出てきています。

 

花が咲きそうにないチランジアですが、真紅の鮮やかなお花や可憐な小花など、ちゃんと開花して種も作りますよ。

 

トリコームから水分を吸収する

チランジアをよく見ると、細かい白い毛がびっしりと生えています。

この白い毛は「トリコーム」という器官で、空気中から水分を取り込む大切な役割を果たすものです。

毛が長いものや、粉状に見えるほど細かい毛など品種によって形状はさまざまなので、トリコームの長さなどによって、葉色の見え方が変わってきます。

チランジアの心臓とも呼べるこの器官があるため、土がなくても水分を吸収できるのです。

土が不要とは言えど、水は大好きな植物なので、水やりが要らないといったことはありません。

 

チランジア(エアープランツ)のタイプ

先述したように、品種が豊富なチランジアは、トリコームの毛の長さから見た目が変わるため、タイプ別に分けられます。

エアータイプ、タンクタイプ、ロゼットタイプ、グラスタイプ、有茎種、壺型種などがありますが、ひとつずつ特徴をご紹介していきましょう。

 

エアータイプ

「エアータイプ」は、葉から水分を吸収するタイプです。

一般的なチランジアのほとんどが、このエアータイプに分類されています。

葉の色によって「銀葉種」「緑葉種」に分けることができます。

 

 

銀葉種

白いトリコームがぶ厚いため、葉色が銀色めいて見えるので「銀葉種」と呼ばれます。

チランジアの中でも大半の品種は銀葉種にカテゴライズされ、砂漠や高山などに自生するものが多く、とても乾燥に強い性質を持っています。明るい日光を好むのも特徴です。

 

緑葉種

銀葉種よりもトリコームの量が少なく、葉が緑色に見えるものは「緑葉種」と呼ばれています。ジャングルなどの高温多湿環境に自生しているものが多いので水分を好み、強い日光よりも木漏れ日のような柔らかい光が好きです。

 

タンクタイプ

「タンクタイプ」は、先ほどご紹介したエアータイプと同様に、葉から水分を取り込むことができるのですが、土に根を張ることも可能です。

中心は筒状になっていて、株元に水分を貯めておくことができるので、タンクからの水分を使って株を生長させていきます。

直射日光には弱いので、日光浴をさせる場合には加減に注意が必要です。

 

「赤葉種」は開花する間だけ、葉が紅葉するという特徴を持っています。常に明るい日光の降り注ぐような場所で自生するものは、いつも紅葉した状態の品種もあります。

 

「壺型種」は、名前のとおりに根元が壺の形のように膨らんでいるのが特徴であり名前の由来です。蟻と共生して生きていく「アリ植物」も多く存在しています。

 

「有茎種」は茎を伸ばしていくチランジアで、「カウレッセントフォーム」とも呼ばれています。

 

開花した後に、花茎から子株を生やすチランジアは、「ヴィヴィパラ種」と呼ばれており、個性的な樹形に成長していくのが特徴の種類です。

 

他にも、チランジア同士を掛け合わせることで作られた、新種の「交配種」などもあり、人工的に作られた園芸種や、自然交配によって生まれた自然交配種があります。

ちなみにこの交配種、誕生した新種には作成者が好きな名前を付けられますので、オリジナルの交配種に自分の名前を入れるということも可能です。

 

チランジアの基本の育て方

ここまではチランジアの性質についてご紹介してきました。

草花には土が絶対に必要だというイメージがありますから、初めてチランジアを見るととても驚きます。

しかし、砂漠などの乾燥地帯に身を置いて、貴重な水分を少しでも得るために自らを発達させてきたのだと思うと、土を必要としない性質にも納得です。

そんな少し特殊な植物ですから、お世話やお手入れ方法なども他の観葉植物とは少々異なってきます。しかし、決して育て方が難しいわけではなく、むしろチランジアは丈夫な植物なので、多少お世話を怠ってしまったぐらいで枯れることはありません。

ここからは、チランジアの基本的な育て方について、詳しく見ていきましょう。

 

株の選び方

せっかくチランジアを育て始めるのですから、元気な株を入手したいですよね。

株を購入する際には、葉が傷んでおらず、みずみずしく鮮やかな緑色の葉を持っている株を選びましょう。

葉先が茶色くなっていたりくすんだ色合いになっていたりするものは、根元が腐っている可能性があるので避けます。

また、手にしたときにあまりにも軽すぎるものは、枯れかけている可能性があるので避けておいたほうが良いでしょう。

 

置き場所

チランジアを育てるうえで、最も重要なポイントとも言えるのが置き場所になります。

葉から水分を吸収していくチランジアは、その性質から風通しが良くない場所では株が蒸れやすいのです。

第一に「風通し」をとにかく重視して、通気性の良い場所で管理しましょう。

 

ハンギングで天井から吊るしたり壁に掛けたりと、なるべく高い位置に置くと風通しも良くなりますのでおすすめです。

低い位置では、高い場所よりも風通しが悪く、家具などの陰にも入ってしまいがちです。

また、冷暖房の風に直接当たると水分が蒸発してしまい、最悪の場合は枯れることもありますので避けましょう。

一年のうちでも特に湿度が高くなる、梅雨から夏場の時期には、室内の温度が30度を上回らないよう心がけます。

もし仕事や外出などで長時間家を空ける場合には、サーキュレーターなどで風の流れを作ることをおすすめします。あまり強風に設定すると乾燥しすぎてしまうので、ゆるやかな風速に設定してくださいね。

 

日当たり

日当たりに関しては、先ほどご紹介したトリコームの量によって分けることができる「銀葉種」「緑葉種」によって、やや置き場所が違ってきます。銀葉種はとにかく日光を好みますので、明るい場所で管理してください。

一方で緑葉種は、ジャングルの中に自生するため、木漏れ日のような柔らかい日差しを好みますので、半日陰の場所で育てるのが適しています。

店頭などでは、ガラス容器に入れてテラリウムとして販売されているものがありますよね。とてもおしゃれな見た目でインテリアグッズとしてもかわいいのですが、チランジアをガラスの容器に入れていると株が蒸れるのであまりおすすめできません。

見た目よりもチランジアが健康に育つかどうかを優先して育ててあげてくださいね。

 

水やり

空気中から水分を吸収するので、チランジアには水やりが要らないのでは?と思われることもあるのですが、これは自生するチランジアに限ったことであり、観賞用として育てていく室内環境などでは、空気中だけでは充分な水分を確保できません。

いくら乾燥地帯で育つ植物と言えども水やりは必須ですので、忘れないように与えましょう。

水やりの頻度は品種によって若干違いがありますが、2~3日に1回ほどを目安に与えていきましょう。夏場の水やりは、涼しくなった夕方から夜の間に行ない、冬場には暖かい午前中のうちに水やりをします。

チランジアは夜にも生長する植物なので、夏場以外の時期でも夕方以降に水やりをしても大丈夫です。

 

水やりのバランスを調節するには、チランジアをよく観察することが大切。

もし葉がシワシワになっていたり反り返っていたりしたら、水分が不足しているので水を多めに与えて様子を見ましょう。持ち上げたときに株の重さがいつもより軽く感じるときにも、水分が足りていないかもしれません。

ちょうど雨の日が重なるようでしたら、外に置いて一晩雨水にさらしておくと、すぐに回復することもありますよ。

 

トリコームの量で分けられる「銀葉種」「緑葉種」で水やりの頻度を変えるのもおすすめです。銀葉種は水分を吸収しやすいタイプなので、水やりは控えめにしておき、緑葉種は多めに与えていきます。

そんなチランジアの水やりですが、一般的な観葉植物とは水やりの方法が異なります。水やりの方法を詳しく見ていきましょう。

 

ミスティング

ミスティングとは、霧吹きによってチランジアの株全体にまんべんなく水を与えていく方法です。

目安としては週に2回以上、霧吹きを使って株全体にたっぷりと水をスプレーしていきます。

水やりの後、チランジアの中心部に水を溜めた状態にしておくと株の芯が腐ってしまいますので、鉢をやさしくひっくり返して水を捨てましょう。

 

ソ―キング

「ソーキング」とは、水を張った容器の中で、株を長時間水に浸けておく方法です。

バケツなどの容器に常温の水を用意して、2〜6時間ほど浸けておき、水を吸わせます。水に浸けている間はチランジアは呼吸できないので、絶対に12時間以上は浸けないよう注意してくださいね。

このソーキングを10日〜2週間に1回ほどのペースで行ない、水やりをソーキングだけで管理していくことも可能です。

水から取り出した後は、株を逆さにして水分をよく切って、風通しの良い半日陰で乾燥させましょう。

 

チランジアが水分不足になり、葉に異常が見られたときにも、ソーキングで対処することにより元気を取り戻してくれます。

ぐんぐんと生長していく時期には、ミスティングだけだと水分が不足することもありますので、月1〜2回のソーキングを並行して行なっていくのも効果的です。

葉や株の様子を観察しながら、そのときの状態に見合った水やりを心がけましょう。

 

肥料

基本的にチランジアには肥料は不要ですので、与えなくても元気に生長してくれます。

ただし、与えてはいけないというわけではありませんので、株を大きく育てていきたいときなどには、肥料で生長を助けてあげると良いでしょう。

与え方としては、春から秋の生育期に、即効性の液体肥料を適量に希釈して、ミスティングで水やりも兼ねて与えていきます。週に1回ほど与えれば充分な量でしょう。

チランジアは濃い肥料が苦手なので、あまり高い濃度で作ると逆にダメージを受けてしまうため注意してくださいね。

 

剪定

もしチランジアの葉が茶色く枯れてしまっていたら、その部分だけハサミなどで剪定しましょう。完全に枯れているようなら簡単に切り離せるので、手で摘み取っても大丈夫です。

枯れた葉を放置しておくと、腐敗やカビの原因になりますので、必ず摘み取っておき株を清潔に保ちましょう。

 

チランジアの株を増やしてみよう

チランジアの増やし方は、「株分け」がいちばん簡単にできて成功率も高い方法です。

花が咲いた後、株元から小さな子株が出てきますので、その子株がそれなりに生長したら切り離して育てていきます。花が咲かずに子株が生えてくる品種もあります。

 

種を取って育てていくこともできますが、花が咲き終えてから種ができるまでには5年ほどかかってしまうので、株分けでの増やし方のほうがお手軽です。

種まきから実生で育てていくには、かなり長い時間が掛かります。

 

株分け

チランジアは、花が咲き終わると、株元から新しい葉が伸びてきて、小さな子株を作ります。この子株はデリケートでとても外れやすいので、やさしく取り扱いましょう。

親株の3分の2ほどまで子株が生長してきたら、手でやさしく子株を切り離します。

小さすぎるうちに親株から離すと、株が枯れたり成長が遅くなったりするので、必ず生長を待ってから親株と離してくださいね。

 

チランジアは子株ができると親株の生長が止まり、栄養分を子株に優先して送っていくため、その性質を利用した「クランプ」という増やし方もあります。

大きくなった子株を生長させていくと、いくつも子株ができていきます。親株が枯れたら取り除き、子株をたくさん群生させる方法です。

一株でボリュームがある姿に仕上がるので、クランプでの仕上がりを楽しむのもおすすめですよ。

 

種まき(実生)

株分けよりも難しい実生ですが、若干難易度が高めですが、一から自分で育てた株には愛着も湧きます。成長過程を初めから見ることができるのも楽しいですよ。

チランジアの種は、綿毛のようにふわふわとした形状をしていて、「シードポット」という種を作る部分がはじけて種が出てきます。

種まきは以下の手順で行いましょう。

 

  1. シードポットから種をピンセットなどで取り出しましょう。
  2. 湿らせた水苔などに種を擦り付けるようにして植え付けます。

※チランジアの綿毛のような種は、種が濡れることによって定着するのです。

  1. 種を付けたら、乾燥に注意しながら毎日水を与えてください。
  2. 10〜20日ほどで、緑色の粒のような芽が発芽します。

 

チランジアの扱いに慣れてきたら、ぜひ一度はチャレンジしてみてくださいね。

 

まとめ

今回は、チランジアとも呼ばれているエアープランツの特徴や性質、基本的な育て方などを詳しくご紹介してきました。

土を必要としないチランジアは、一般的な観葉植物などとは多少育て方が異なりますが、飾り方の幅が広がるため、お部屋のインテリアとしても活躍してくれる観葉植物です。

種類も豊富にあり、タイプによって葉色などの見た目も変わってきますので、お気に入り品種を見つけてみてくださいね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?