ムスカリの花言葉は怖い?西洋と東洋での花言葉の違いや由来、お世話の仕方を解説

ムスカリは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)ムスカリ属に分類される多年草植物。

青色のお花を咲かせ、花言葉ももっています。16世紀後半にヨーロッパで栽培され、現在では西アジアや地中海沿岸地方を中心に幅広く生息する植物で、日本のお花屋さんや道端でも見かけることが多いでしょう。今回はそのムスカリについている花言葉やその由来に注目しながら、基本的なお世話の仕方もご紹介していきたいと思います。

ムスカリの花言葉は?

ムスカリは、春に綺麗な青い房状の花を咲かせ、家庭でも育てやすい定番の花として知られています。その青い無数の花をつけるムスカリには、どんな花言葉があるのでしょうか?

ムスカリには、大きく分けて西洋のネガティブな花言葉と、東洋のポジティブな花言葉を持っています。

ネガティブな花言葉(西洋)

絶望 失望 失意 悲嘆 憂鬱

 

ムスカリは、「失望」「失意」というネガティブな花言葉をもちます。色鮮やかな青い花を咲かせる可愛いらしいムスカリからは想像できない花言葉ですね。

ポジティブな花言葉(東洋)

寛大な愛 黙っていても通じ合う心 明るい未来 夢にかける思い

寄せ植えで多く使われるムスカリは、仰々しくなく、他の花の主張も受け入れるその姿から、「寛大な愛」という意味がついたと言われています。

チューリップをはじめとした、他の花寄せ植えで使われることの多いムスカリ。寄せ植えをしても色々な花と相性の良い存在から「通じ合う心」という意味がつきました。

悲しみを超え、失意から立ち直るという意味をこめて、ムスカリには「夢にかける思い」「明るい未来」という花言葉がつけられたのでしょう。

悲しみ、絶望、失意の先にあるものは明るい未来です。ムスカリの持つ癒しの力で、悲しみを乗り越えて進んでいくという意味がよみとれますね。

このように東洋と西洋では異なった花言葉を持っています。

ムスカリの名前の由来

ムスカリはギリシャ語で麝香(じゃこう)を意味する、「moschos」(ムスク)が語源です。ムスカリの原種は、芳醇な香りを持っていたことからこの名前が来ています。

ムスカリの花言葉は怖い?由来は?

ムスカリには、その可愛らしい見た目からは思い浮かばないような花言葉がついているとお伝えしました。

「失望」や「失意」は怖いというよりは悲しみ、とも捉えられますがどのようなことからきているのでしょうか?

西洋では青・紫が悲しみの色とされているから

花言葉の始まりは、17世紀頃のトルコ。 トルコでは、文字や言葉ではなく、”花に思いを託して相手に贈るという風習”があったそうです。 それが西洋に「花言葉」として普及し、今に至るといわれています。

西洋では、青色が象徴するのは「気分が沈むこと」であったため、このような花言葉がついたと考えられています。

形がヒヤシンスに似ているから

ムスカリの花の西洋名は、「グレープヒヤシンス」。

ムスカリの姿がブドウの房状で青紫色なことから実際にブドウに見えることと、ヒヤシンスの姿と似ていたことに由来しています。

そんなヒヤシンスにも「悲しみ」「悲哀」「嫉妬」など、少し怖いイメージの花言葉がつけられており、名前の語源であるギリシャ神話も少し変わったストーリーです。

ヒヤシンスの花の語源は、ギリシャ神話に登場するヒュアキントスが命を落とした際、ヒュアキントスの頭部から流れる血からヒヤシンスが咲き始めた、というストーリーからきています。この神話から、ヒヤシンスに似たムスカリの花言葉も少し怖いという認識が広まってしまったのかもしれません。

世界最古の埋葬花とされているから

加えて、1960年、イラク北部のシャニダール洞窟から、約6万年前のネアンデルタール人が埋葬されていた遺跡にムスカリの花が供えられており、ムスカリは世界最古の埋葬花としても知られています。このことから、お悔やみや、悲しみを癒す意味もこめられていたと考えられます。

ムスカリの基本情報

次に、ムスカリの基本情報についてお伝えします。

科・属 ユリ科ムスカリ属
分類・性質 多年草
原産地 南アフリカ・西南アジア・地中海沿岸
学名 ​​Muscari
別名 ブドウヒヤシンス・グレープヒヤシンス
英語名 Grape hyacinth
植え付け時期 9〜11月
出回る時期 3〜5月(最盛期は4月)
開花時期 4〜5月
花持ち期間 10日前後
花色 青・紫・ピンク・白など
誕生花 1月30日
草丈 およそ15〜20cm

 

ムスカリはいつの誕生花?

1月30日がムスカリの誕生花です。

誕生花の由来は国や地域によってまちまちですが、日本ではこの日がムスカリの誕生花と広く認識されています。

ムスカリの和名

ムスカリの和名は「葡萄風信子(ブドウヒヤシンス)」です。これは、西洋と同じくムスカリの姿がブドウのように見えることから由来しています。

ムスカリの起源

ムスカリの起源は約6万年前イラク北部に遡ります。原産地が南アフリカ・西南アジア・地中海沿岸なことから暑さに強いのはもちろん、寒さにも強いため、様々な地域で広く親しまれてきました。

日本へムスカリが最初に入ってきたのは、明治時代の初め頃だと言われています。その後、明治中期になると、ムスカリは日本の庭園や公園、神社仏閣の境内などで栽培されるようになり、観賞用の植物として広まっていきました。

ムスカリの育て方

次にムスカリのお世話の方法を紹介します。

先ほどの記述通り暑さや寒さに強く、午前中だけなど、一時的に日当たりが良い場所であれば、ある程度放っておいても育ってくれます。

以下項目ごとに詳しくお伝えします。

日当たり

ムスカリは基本的に太陽を好む植物。そのため、できるだけ直射日光の当たる場所で管理してあげましょう。

先ほどの記述通り午前中の数時間だけでも日光が当たれば成長していくので、多少の半日向で育てても大丈夫です。ただし、あまりにも日陰すぎる場所で育てると、茎が間延びして弱々しく成長したり、花つきが悪くなったりするので気をつけましょう。

置き場所

ムスカリは温暖で、夏に乾燥する地中海沿岸、西南アジアが原産地。そのため、日当たりがよく、風通しの良い場所へ置くのがベスト。

夏の暑さと冬の寒さのどちらにも強いため、冬越し、夏越しの対策をしなくても、植えっぱなしできちんと成長します。

水やり

ムスカリを地植えで育てている場合は、基本的に水やりをする必要がありません。降雨だけでもすくすくと育ちます。

しかし、梅雨の時期など雨が続く時期は注意が必要。ムスカリは乾燥には強いですが、水はけが悪くなり、潤ったままの状態が続くことはムスカリにとって問題です。

水はけが悪くなったら、花壇の土を入れ替えるなど、水が貯まらないように手入れをしてあげましょう。

夏になるとムスカリが休眠状態に差し掛かるため、この時期になると葉っぱがだんだんと枯れていきます。このときは、基本的に水やりをする必要はありません。冬は、土が乾燥したと感じたときに与える程度で大丈夫です。

ムスカリの増やし方(球根の掘り上げ方)

ムスカリは自然分球する品種です。親球根の周りに小さな球根ができ、そこからどんどん増えていきます。鉢植えの場合、植えっぱなしにすると土の中でどんどんと増えて窮屈になってしまい、花つきが悪くなってしまうので二年を目安にし、植え替えましょう。

6月から7月の時期に、球根を掘り上げて回収し、秋まで風通しの良い涼しい場所で保管します。

球根を植え付ける時期になったら、小さな球根を引き剥がして、別々に植えてあげることで増やしてあげることができます。

ムスカリを地植えで植えっぱなしにする場合は、どんどん自然に増えていきます。

ムスカリの育て方で注意すべき病気・害虫

3月から4月の、まだ比較的寒い時期に花を咲かせるムスカリには、害虫はほとんど見られません。害虫がつくとすれば、アザミウマ、エカキムシ、アブラムシ、ハダニ、ネキリムシ、ナメクジ、ヤトウムシ、コナジラミ、カタツムリといった種類が挙げられます。

かかりやすい病気

ムスカリがかかりやすい病気は、水はけの悪い状態が続くと、白絹病と呼ばれる白い糸状のカビが発生します。一度感染してしまうと、治療できず元には戻せないので、罹患したら株を抜き、処分しましょう。

また、白絹病にかかった土から、他の植物へと感染してしまうので、日光で消毒する必要があります。高温で、なおかつ湿度の高い6月から8月にかけて発生しやすくなります。この時期は水やりを控えて乾燥気味に管理したり、風通しの良い場所に移してあげましょう。

石灰分を与えておくことで予防効果が期待できます。

植え方・寄せ植えの方法

頑丈で増えやすいことから、花壇の余ったスペースや、開花時期の異なる植物と混植しても利用できます。寄せ植えの際には春の同じ時期に花を咲かせるチューリップなどが相性がいいです。

ムスカリの種類

ムスカリの種類は40〜50種類ほどあると言われ、品種によっては香りが強いものもあります。

ムスカリ・アルメニアカム

最もオーソドックスな青紫色の原種。

ムスカリ・アルメニアカムの葉は線形に細長く、丈は15cmほどです。

草丈が低いので、パンジーやチューリップなどの寄せ植えと相性がいいです。

ムスカリ・ピンクサンライズ

ムスカリと言えば紫や青色の花のイメージですが、ムスカリ・ピンクサンライズはムスカリの中でも珍しいピンク色の花を咲かせます。濃いピンク色ではなく、淡いピンク色なのが特徴です。

ムスカリ・ネグレクタム

紫色と薄い青色のグラデーションの花色が特徴の品種。花の先には白色のラインが入り、アクセントになっています。ムスカリ・ネグレクタムの草丈は、約15~20cmです。

ムスカリについてのよくある質問

ムスカリ育てようと考えている方のよくある質問にお答えします。

ムスカリと相性のいいお花は?

育てやすく、どんな花とも相性のいいムスカリですが、チューリップやビオラ、パンジーなど、早春から春にかけての植物と合わせて植えるのがおすすめです。 赤や黄色などの暖色系の花と、ブルー系のムスカリとのコントラストは見栄えがよく、寄せ植えやガーデニングをより鮮やかにしてくれます。

ギフトに贈る際の注意点は?

ムスカリはお手入れが楽で初心者でも簡単に育てることができるので、友人や恋人への何気ないギフトにもおすすめです。しかし、西洋由来の花言葉のネガティブな意味合いを受け取られてしまう可能性もあるので、心配な方は、東洋の花言葉である「明るい未来」や「寛大な愛」をメッセージカードと共に添えるなどして工夫しましょう。

贈る際は、鉢植えで球根ごと贈るのがおすすめです。翌年も花を楽しめるので、ガーデニング好きの方ならきっと喜んでいただけるでしょう。

まとめ

この記事では、ムスカリの花言葉の由来や基本的な育成方法をお伝えしました。定番の紫色をはじめ、白やピンクなどさまざまな花色が魅力のムスカリですが、花言葉には少し怖いイメージのものもありましたね。

花言葉には「絶望」「失望」「憂鬱」「悲嘆」などのマイナスなイメージのものもありましが、「寛大な愛」「黙っていても通じ合う心」「明るい未来」「夢にかける思い」などの明るくポジティブな意味もありました。

実際ムスカリを育ててみれば、春を彩り、力強く育っていく姿から、きっとあなたも元気をもらえるはずです。初心者でも難しいお手入れはいらないので、ぜひ育ててみてください。

丈夫で育てやすいムスカリは、贈りものにもぴったりです。贈る際には、明るい花言葉を添えて贈ってくださいね。

実際ムスカリを育ててみればとても愛らしく、春を彩り、力強く育ってくれます。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?