押し花に向いている花とは?季節ごとのおすすめの花や作り方を紹介

押し花は、好きな花を平らにして美しさをそのまま閉じ込めるように加工されたアイテム。近頃ではブックマークをはじめ、スマホケースやネイルとしても活用されて注目を集めています。

また、贈り物やメッセージカードに添えるのも素敵ですよ。

そんな押し花ですが、興味があっても実際に作ったことはないという方もいるでしょう。

この記事では自分で押し花を作ってみたいという方に向けて、押し花に向いている花や美しいまま保存するコツなども紹介していきます。

押し花の魅力

まずは押し花の魅力について見ていきましょう。

花のデティールをそのまま保つことができる

生きた花を使用して作る押し花は、デリケートで発色も美しいのが特徴です。

花びらのナチュラルな色や形を、時を越えてそのまま閉じ込めることができます。

幅広く活用できる

押し花は、家庭でも簡単に作ることができます。そして活用方法もたくさんあるので、楽しみが広がります。

例えば額縁に入れてインテリアとして飾ることもできますし、押し花で作ったオリジナルネイルも人気があります。

特にファッションがシンプルになりがちな夏場には、華やかな押し花ネイルは大活躍してくれるでしょう。

その他にもブックマークにしたり、グリーティングカードに添えるなど、あなたの発想次第で色々な楽しみ方ができますよ。

思い出を保存できる

大切な方にもらった花を、想い出として保存しておけるのが押し花の魅力です。

慣れてくれば、庭に咲いている花や結婚式のブーケなどを額に入れて残すことも可能になります。

押し花向きの花の特徴

簡単に作ることができる押し花ですが、どんな花でも押し花にできるというわけではありません。押し花に適している花とそうではない花が存在しています。

押し花向きの花の特徴は以下の通りです。

①花びらが厚くない

②水分量が少ない

③サイズが小さめの花

④新鮮な花

花を乾燥させて製作する押し花は、どちらかと言うと水分が少ないものほど簡単にできるのです。

ここでは押し花に向いている花の特徴について詳しく解説します。

①花びらが厚くない

押し花を初めて作る方には、花びらが薄いものからチャレンジすることをおすすめします。

これは押し花が、花を平らにして圧縮するプロセスをたどることから、厚みがある花だと乾燥に時間がかかり花の色が変わってしまう可能性があるためです。

手間ヒマかけて押し花作りに挑戦したのに、失敗してしまったなどということがないように、最初は押し花に向いている花を選ぶようにしましょう。

②水分量が少ない

水分量が少ない花の方が押し花に作るのに適しています。

それはなぜかと言うと、水分が多い花は乾燥が不完全になりやすく、カビが発生する原因になるからです。

水分量が多い花を、押し花にしようとしても仕上がりが悪くなる可能性があります。

したがって、厚みのある花にチャレンジする際には、乾燥シートなどを使用して早めに水分を抜くようにしましょう。

③サイズが小さめの花

押し花作り初心者の方は、花が小さくて茎の細いものを選ぶようにしましょう。

小さな花だと水分が迅速に抜けるので、乾燥しやすい性質を持っています。

また茎は細い方が圧縮しやすいのでおすすめです。

④新鮮な花

押し花にする花を選ぶ際には、なるべく咲きたての新鮮なものをチョイスしてください。

傷んだ花だと、その部分が変色してきれいに加工できない可能性があります。

また、新鮮な花を使うことで耐久性もアップします。

押し花には向いていない花

押し花に向いていない花は、水分量が多く、乾燥に時間がかかる花ということになります。

花は切り落とした瞬間から元気がなくなっていくため、水分が抜けるのに時間がかかると色褪せの原因にもなるのです。

またバラやラナンキュラスのように花びらが重なっている花は、加工(圧縮)が難しくなります。

したがってバラなどを押し花にする時には、花びらを一枚ずつ剥がして製作するのがおすすめです。

また、複雑なフォルムを持っている花も、加工のプロセスで破損しやすいので、押し花には向いていません。

押し花に向いている・春に咲く花5選

押し花は16世紀にイタリアの生物学者が標本として採取した花を紙に挟んで、乾かしたことが始まりとされています。

また19世紀にはイギリスのビクトリア女王が押し花を額に入れて飾っていたと言う説もあるのです。

日本では江戸時代に長野の藩士が集めたとされる押し花や押し葉が、諏訪市博物館に飾られています。

このことからも押し花は古くから、広く親しまれていたことがわかりますね。

ここからは、押し花に向いている花を季節ごとに解説していきましょう。

①カスミソウ

カスミソウは、地中海沿岸原産のナデシコ科の植物になります。

英語名は「Baby’s breath」と呼ばれており、直訳すると「赤ちゃんの息」と言う意味なのです。

これはカスミソウが持つふんわりとした優しいイメージから名付けられたと言われています。

カスミソウは水分量が少なく、押し花に向いている花です。

押し花にする際にはティッシュペーパーに包み、それを雑誌や新聞紙などに挟んで5キロくらいの重しを乗せておきましょう。4日ほどで押し花が完成します。

②ミモザ

オーストラリア原産のマメ科のミモザ。

黄色くて房状のフワフワした花がかわいいミモザも、押し花に向いています。

それはこの花には、それほど水分が含まれていないからです。

押し花に使用するミモザは満開時がおすすめ。その方が、花が大きく豪華な印象になります。

花と葉を別々に切ったら、ティッシュで包んで雑誌などに挟んでおきましょう。2・3日で押し花が出来上がりますよ。

③サクラ

東南アジア原産のサクラはバラ科の植物です。

日本人にとっては、春の風物詩ともなっているこの花も押し花に適しています。

ほんの数週間であっという間に散ってしまう花も、押し花にすれば長く楽しめますね。きれいな押し花にするには、なるべく濃いピンク色のサクラを選ぶようにしましょう。

作り方はカスミソウやミモザと同じですが、もし時短で作りたい時はアイロンを使う方法もあります。

④カンシロギク(別名・ノースポール)

カンシロギクは地中海沿岸原産のキク科の植物です。

マーガレットを小さくしたような、かわいらしい見た目が特徴の花になります。

押し花にする際には、花の根元から茎を切って使用しましょう。茎をつけたまま押し花にしたい場合は、カッターなどで予め削っておくと早く乾燥させることができます。

カンシロギクは、押し花にしてもマットな質感の花びらがそのまま残るのでおすすめです。

⑤パンジー

パンジーは、ヨーロッパ原産のスミレ科の植物になります。

開花時期が長くカラフルで寄せ植えにも重宝するパンジーも、押し花に向いている花の一つです。水分量が少なくて花弁が薄いので、本などに挟んで重しをして置けば一週間ほどで完成します。

自宅の庭やプランターに植えてあるパンジーを使う時には、虫がついていないかどうかを必ずチェックしてください。

色のはっきりとした花びらの方が、より美しく仕上がります。

押し花に向いている・夏に咲く花5選

四季それぞれに咲く花には、それぞれの持ち味があります。

夏は真夏の太陽の日差しにも負けない、たくましい花が多く、色鮮やかな種類が多いのも特徴です。

では、押し花に向いている夏の花にはどんなものがあるのでしょうか。

①千日紅

千日紅は北米南部原産のヒユ科の植物です。

色鮮やかな花で、比較的水分量が少ないためドライフラワーや押し花に適しています。

押し花では厚みがある花の場合、カットして使うことが多いですが、千日紅はそのままでも良いでしょう。

乾燥させても色褪せることがない千日紅の花言葉には、「変わらない愛情」という意味が込められています。

②アジサイ

梅雨の時期に見頃を迎えるアジサイも押し花に向いています。

ただし色褪せしやすいアジサイも存在するため、できるだけ早く乾燥させる方法(アイロンや電子レンジなど)で押し花にすると良いでしょう。

またアジサイは、できるだけ小さなものを選ぶときれいに仕上がります。

下処理として葉と花を、ハサミを使って切り分けましょう。小さな花はそのまま使いますが、大きな花は一つずつカットして使用します。

③アサガオ

アサガオは、熱帯地方原産のヒルガオ科の植物になります。

小学生の頃、夏休みの宿題で観察日記を書いたことがある方も多いのではないでしょうか。

アサガオの押し花は、小さなお子様でも簡単に作ることができます。色鮮やかな種類が多いので、何色かをミックスして作るときれいですよ。

花やガク、茎などはあらかじめハサミでカットしておきましょう。

後は他の花と同じ要領で押し花にしていきます。

④スターチス

地中海沿岸原産のスターチスは、よくドライフラワーとして活用される花です。

また乾燥させても色合いが変わることがないので、押し花にも適しています。

花びらに見える部分は「萼(がく)」と呼ばれていて、実際の花は中から飛び出している白や黄色の部分です。

押し花にする際には花穂が細いものを選ぶと、見映えが良く仕上がります。

⑤レースフラワー

レースフラワーは、地中海沿岸原産のセリ科の植物です。

レースのように繊細な白い花を咲かせるので、よく花束にボリュームを出す時に使われています。

この花は茎が長いので、作業しやすいように短くカットしてください。

一つの茎に20個くらいの小花が付いているので、丹念にカットして使いましょう。

押し花に向いている・秋/冬に咲く花3選

夏の暑さが和らいで、少し涼しい風が吹くようになると秋が始まります。

秋は花だけではなく、葉っぱたちも美しく紅葉する季節です。押し花に慣れたら、押し葉に挑戦してみるのも良いですね。

ここでは秋・冬の植物の中で押し花に向いている花をチョイスしてみましょう。

①コスモス

まず紹介するのはメキシコ原産のキク科のコスモスです。

秋の風の中で色とりどりの花を可憐に咲かせる姿は、魅力的ですね。コスモスの花は薄く、水分量も多くないので押し花に適しています。

花びらや茎・葉っぱをカットして押し花にしていきますが、厚みがある蕾などもいっしょに押し花にする際は、裏の部位をカッターで削っておくと良いでしょう。

また本や新聞紙に挟んで押し花にする場合、コスモスの花色がくすんでしまう可能性があるので注意してください。

②ガーベラ

ガーベラは南アフリカ原産のキク科の植物で、春と秋の2回花を咲かせます。

この植物は少し難易度が高いので、初心者の方はあらかじめ乾燥剤が含まれている押し花シートなどを使うのがおすすめです。

厚みのある花は水分が抜けにくく、重しをしても均等に圧力がかからないので失敗しやすくなります。

したがって、使いたい茎や花托の裏側を削ってから作業に入りましょう。

③クリスマスローズ

寒い冬に凛とした姿で咲き続けるクリスマスローズは、渋い花色が多いので大人の女性に人気です。

ヨーロッパ原産のこの植物は、切り花やアレンジメントとしても幅広く活用されています。

クリスマスローズには、たくさんの品種がありますが、押し花に向いているのは一重咲きタイプです。

八重咲きだと厚みがあるので、乾きにくく失敗しやすいので注意しましょう。

また、白いクリスマスローズは変色しやすいので、くすんだ色合い(紫や緑色など)を使うのがおすすめです。

簡単にできる押し花の作り方

小さなお子さんから大人の女性まで幅広く人気を集めている押し花。

「押し花」と聞くとレトロな印象が強いかもしれませんが、最近ではレジンのアクセサリーや、ネイルパーツ・ボタニカルキャンドルにも使われ脚光を浴びています。

では押し花はどのような手順で作れば良いのでしょうか。

ここからは具体的な作り方を解説していきましょう。

初心者におすすめの昔ながらの作り方

最も手軽なのは、本の間に花を挟み、重しをする方法になります。水分量が少ない花ならば数日で押し花が出来上がるはずですよ。

また、新聞紙に挟み、重しをして作る方法もあります。重しに使うのは厚みがある本や辞書などがおすすめです。

新聞紙にはティッシュペーパーを配置して、カットした花や葉っぱなどを、重ならないように並べていきましょう。

並べ終わったらティッシュペーパーをもう一枚重ねて敷き、その上に新聞紙を重ねます。時折重しを外して、押し花の状態を確認すると良いですよ。

3日~10日ほど経って、花びらが完全に乾燥したら出来上がりです。

時短で作りたい方におすすめ!アイロンを使った作り方

時短で作りたい方には、アイロンを使った方法もあります。

工程としては、まず台の上に雑誌などを置き、ティッシュペーパーをセットしたら、押し花にする花を並べていきましょう。

次に、花の上にもう一枚ティッシュペーパーを重ねます。

準備が整ったら、低温に設定したアイロンを10秒ほどあてていきましょう。

そしてある程度熱が冷めるのを待ち、さらに10秒アイロンをあてます。

あまり長くあててしまうと花が焦げてしまうことがあるので、様子を見ながら少しずつ行っていきましょう。

失敗したくない方は押し花キットがおすすめ

きれいな状態の押し花を作りたい場合は、市販の押し花作成キットや乾燥シートを活用してみても良いでしょう。

押し花作成キットには、押し花台をはじめ、台紙やハガキなどが組み込まれています。

また乾燥シートを使えば、庭に咲いた花や少し厚みのある花もきれいに押し花にできますよ。

美しいまま保存するコツ

乾燥させた花は、しっかりと管理することで美しい状態をキープできます。

すぐに使用しない時は、乾燥剤といっしょにビニール袋(ジップロックなど)に入れておきましょう。

仕上がっている押し花を保管する際には、シリカゲルよりも薄い板状の乾燥シートがおすすめです。

また、保管する場所にも注意が必要です。

日差しに当たると花の色がくすんでしまうなどのトラブルが発生しやすくなります。

さらに押し花はパリパリに乾燥しているので、ダメージを受けやすいです。

したがって、袋に入れたら密封できる容器にしまい、引き出しなどに保管しておくのがおすすめです。

適切に保存しておけば、約3年間は鮮やかな色を保てますよ。

しかし、花によっては色が抜けやすいものもあるので注意してください。

押し花に向いている花を使って押し花を作ってみよう

押し花作りにチャレンジしたいけれど、何だか難しそうと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし昔ながらの方法でも、簡単に押し花が作れるのです。

押し花に向いている花は、花びらが薄く、ミニサイズで、水分が少ない花になります。

例えばコスモスやペチュニア、アジサイなどもおすすめです。

また時短で作りたい場合は、自宅にあるアイロンでもきれいな押し花ができますよ。

あなたも是非好きな花で押し花作りにチャレンジしてみてください。

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