東京はなぜ7月にお盆をするの?他地域と異なる理由やおすすめの花とは

お盆は古くから日本で行われている行事の一つであり、故人に感謝や供養の気持ちを込めて行われます。

お盆の時期は地域によって異なりますが、東京では7月に行われるのが一般的です。主な理由としては、明治時代の新暦に関係しているといわれています。

そこで今回は、東京のお盆がなぜ7月に行われているのかなどの理由をはじめ、お盆におすすめの花やお供えする際のマナーなどを詳しく解説します。

そもそもお盆とは

お盆とは仏教の行事の一つであり、先祖の霊を家に迎え入れて供養する期間を指します。お盆には亡くなった親族の霊が現世に戻ってくると考えられており、精霊馬や精霊船などで迎え入れて線香や供物を供えるのが一般的です。

また、故人が亡くなって四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆を新盆といいます。新盆では故人の霊が初めて帰ってくるお盆なので、家族や親族、故人と親しかった方などを招いて、手厚く供養します。

お盆の由来

お盆は、仏教における「盂蘭盆会(うらぼんえ)」や「盂蘭盆(うらぼん)」を略して生まれた言葉といわれています。

お盆の由来は、お釈迦様の弟子である目連尊者(もくれんそんじゃ)が亡き母を救った話に基づいています。目連尊者の母は餓鬼道に落ち、飢えと渇きに苦しんでいました。つらそうにしている姿を見た目連尊者はお釈迦様に相談し、その教えに従って供養した結果、母は極楽往生を遂げたとされています。

この出来事が「盂蘭盆会」の起源となり、お盆は仏教の伝来とともに日本に広まりました。なお、日本には古くから夏に祖霊を祀る風習があったともいわれています。

さまざまな逸話や風習が融合した結果、現在のお盆の形となりました。お盆は地域や宗派によって違いはありますが、先祖に対して感謝や供養する点は共通しています。

お盆の歴史

お盆の歴史は古く、日本書紀によると飛鳥時代からであり、推古天皇が初めてのお盆の法要を行ったのが最初とされています。

お盆は、数世紀の間は貴族や武士、僧侶といった上流階級の行事とされていましたが、江戸時代に入ってからは庶民の間でも広がりました。各家で徐々に定着していき、僧侶が家を回ってお経を読む習慣が誕生しました。

お盆は時代とともに発展していき、現代のような形になったといわれています。

東京のお盆が7月になっている理由

東京のお盆が7月になった理由は、明治時代に新暦(グレゴリオ暦)へ切り替えたことが大きな要因として挙げられています。

従来の旧暦では7月15日前後にお盆を行っていましたが、新暦の導入により約1ヶ月ずれが生じ、東京を含む都市部では新暦の7月15日前後にお盆を行うようになりました。明治政府が新暦の徹底を図り、お膝元であった東京などの都市部では対応せざるを得なくなった結果、お盆が7月になったといわれています。

基本的には8月のお盆が多い

現在でも東京をはじめ、神奈川県や北海道の一部地域、静岡県の都市部などは7月がお盆となっています。

しかし、それ以外の地域である東北地方や関西地方などの幅広い地域では8月のお盆が主流です。その理由としては、旧暦の習慣を新暦に合わせるのが難しかったためといわれています。

明治維新で新暦が導入されると、お盆の時期が約1ヶ月前倒しになりました。しかし、長年の慣習を簡単に変えることはできない上に農繁期にも重なったため、一部地域では旧暦通りの8月にお盆を行いました。

その後、徐々に8月のお盆が浸透していき、現在の形となったとされています。

お盆で飾る花の選び方

お盆では線香やロウソク、食べ物など、五供(ごく)を意識したお供えを添えて供養するのが基本です。

その中には花も含まれていますが、お盆で飾る花はどのようなものを選べば良いのかと迷っている方もいるのではないでしょうか。

ここでは、お盆で飾る花のおすすめの選び方を2つ紹介します。

故人の好きな花や色で選ぶ

お盆で飾る花を選ぶ際、故人の好みを尊重することが大切です。故人が好きだった花や色を供えると、故人を偲ぶ気持ちが込められます。お供えものとして一般的でない花だったとしても、故人が好きだった花なら供えても良いでしょう。

ただし、お供えするに関するマナーは地域や宗派によって異なることがあるため、気になる場合は一度確認しておくことをおすすめします。

全体のバランスを考えて選ぶ

お盆の期間中に仏壇へ花を供える際は全体のバランスを意識し、左右対称に飾ることが一般的です。色合いはもちろんのこと、花の種類や大きさのバランスにも気を配りましょう。

たとえば、大ぶりの花と小さな花を組み合わせれば大小のアクセントが生まれ、全体のバランスが整います。鮮やかな色に控えめな色を添えると、色合いの対比が美しくなります。

お供えの花は1種類の花を選ぶだけでなく、複数の種類を組み合わせると豊かな表情が生まれます。バランスの良い花の調和は、故人への感謝の気持ちを込めるに相応しい飾りつけになるでしょう。

お盆に向かない花の特徴

上記ではお盆で飾る花の選び方について解説しましたが、お盆には向かない花も存在します。

特に注意したいのが以下の3点です。

  • 縁起の悪い意味を持つ花
  • 毒を持っている花
  • 香りが強すぎる花

 

ここでは、避けるべき花の特徴を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

縁起の悪い意味を持つ花

お盆の時期に花を供えるときは、縁起の悪い意味を持つ花は避けてください。たとえば、ツバキは花が散りながら枯れるのではなく花全体が首から落ちるため、縁起が悪く不吉といわれています。

また、黒色のカーネーションは「欲望」、黒色のユリは「復讐」「呪い」の花言葉を持っており、お盆には向きません。

地域によって風習は異なりますが、お盆ではできるだけ縁起の良い花を選ぶのが無難です。

毒を持っている花

お盆に供える花として、毒を持つ植物は避けることをおすすめします。スズランやスノーフレーク、スイートピーなどは人気の高い花ですが毒性を持っています。毒を持つ花を飾ってしまうと、故人に毒を盛るようなイメージにつながってしまい良くありません。

お盆でお供えする花は、無毒であることを前提に穏やかな印象を与えられる種類を選ぶようにしましょう。

香りが強すぎる花

香りが強すぎる花も、お盆にお供えする花には向きません。

花に限ったことではありませんが、香りの好みは人によって異なり、何を良い匂いと感じるかは個々で違います。好きではない香りにも関わらず、匂いが強すぎると人を不快にさせる可能性があり、場合によっては気分を悪くさせてしまう可能性もあります。

お供えする花は、故人への感謝や供養の気持ちを表すものなので、香りの強すぎない花を選んで気持ちの良いお盆になるように心がけましょう。

お盆におすすめの花6選

お盆に飾る花として、以下の6種類がおすすめです。

  • キンセンカ
  • 胡蝶蘭
  • トルコキキョウ
  • ユリ
  • リンドウ

 

それぞれの花の特徴を詳しく見ていきましょう。

菊は、古くから邪気を払う力があると信じられており、仏教行事や供養の際に使用されている花です。清潔な印象を与える様から、「高貴」「清浄」「真実の愛」などの花言葉を持っており、故人に対する敬意と純粋な気持ちを表せるでしょう。

菊は夏の暑さに強く、比較的長持ちするため、お盆の季節にぴったりな花です。花びらは散りにくいので、周囲を汚す心配はいりません。お盆のお供えに適した特徴を持っていることから、お盆の定番の花として人々に親しまれています。

キンセンカ

キンセンカは、鮮やかな黄色やオレンジ色と大きな花びらが特徴的な花です。インパクトを与える色合いながらも、上品な華やかさと温かみを与えてくれます。

キンセンカの花言葉は「慈愛」「別れの悲しみ」などであり、故人への深い愛情が別れの悲しみを深くするという意味が込められています。故人に対する思いをキンセンカに託し、お供えすることで供養の心を表せるでしょう。

胡蝶蘭

お祝いのシーンで贈られることが多い胡蝶蘭ですが、お盆の花としても活躍してくれます。比較的丈夫で長く楽しむことができ、花粉の落ちにくいのが特徴です。

切り花にしても1~2週間程度咲いているため、お盆の期間中でもきれいな花を楽しめるでしょう。花言葉も「幸福が飛んでくる」といった前向きな意味を持っています。

胡蝶蘭を仏壇に飾れば見た人の気持ちを落ち着かせ、晴れやかな気持ちにさせてくれるかもしれません。

トルコキキョウ

トルコキキョウは、清楚な美しさと優雅さを象徴する花としてお盆の供花に最適です。夏の暑さにも比較的強く長持ちしやすいため、花束やアレンジメントで活用されています。

トルコキキョウの花言葉は「清々しい美しさ」「優美」などであり、見た目にマッチした意味合いを持っています。女性を象徴するような花言葉が多いため、故人が女性の場合はトルコキキョウがおすすめです。

ユリ

ユリは純粋なイメージを与えつつ、豪華さも兼ね備えている花です。お盆のお供えとして飾れば存在感を放ち、一気に華やかになるでしょう。

ユリには「純潔」「無垢」など、清らかな印象を持つ花言葉が多く、お盆に向いている花として人気があります。

ただし、ユリは花粉が多い植物であるため、そのまま飾ると周りが汚れてしまうかもしれません。ユリを飾る場合は、事前に花粉を取っておくことをおすすめします。

リンドウ

リンドウは、清楚な印象を与える青色が特徴的な花です。上向きに咲く尖った花びらは、悲しみの中でも前を向いて歩くような強い意志を表しています。

リンドウの花言葉も「あなたの悲しみに寄り添う」であり、故人を偲ぶお盆に相応しい意味を持ちます。

淡い色合いながらも存在感があるリンドウは、菊やキンセンカなどと合わせると全体の雰囲気が引き締まってまとまります。

お盆で花をお供えする際のマナー

お盆で花をお供えするとき、押さえておくべきマナーが存在します。

さまざまなマナーがありますが、中でも注意したいマナーは以下の4つです。

  • 一束の花は奇数にする
  • トゲがある場合は取り除く
  • 新盆(初盆)の場合は白色の花にする

 

ここでは、マナーについて具体的に解説するので、お盆で花を飾るときに役立ててください。

一束の花は奇数にする

お盆の際、お供えする花束は奇数が良いとされています。その理由としては、奇数は偶数から一つ余った数だと考えられ、古くから縁起の良い数字といわれていることに由来しています。

また、古代中国では割り切れない奇数は陽数、割り切れる偶数は陰数とする風習があることにも関係しており、お供えには奇数が良いとされてきました。

一束の花束を飾る際は3本や5本、7本などの奇数が適切とされています。花器のサイズが分からない場合は、少ない本数を選ぶと安心です。

トゲがある場合は取り除く

バラや茨の花など、トゲのある花をお供えする際は、事前にトゲを丁寧に取り除いておくことが大切です。トゲは不浄とされることが多く、仏様を攻撃するものとしてタブーになっています。

また、トゲのある花は見た人を不快な気分にさせる可能性もあります。故人の好みの花であってもトゲは取り除き、清らかな姿で供えましょう。

新盆(初盆)の場合は白色の花にする

新盆(初盆)とは、故人の四十九日後に初めて迎えるお盆のことをいいます。初盆の際は、供えるお花を白色のものに統一するのがマナーです。

白は清らかさや純粋さを象徴し、故人への敬意を表します。混在させる色があると、供養の気持ちが乱れてしまうので避けてください。

また、初盆では手厚く供養することが一般的なので、供養の規模に合わせた白い花を選びましょう。故人への思いを込めて、丁重に花を選ぶことが大切です。

お盆の花に関するよくある質問

お盆にお供えする花の選び方やマナーなどを解説してきましたが、飾る期間などについて疑問に感じている方はいるでしょう。

ここでは、お盆の花に関するよくある質問を2つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

お盆の花はいつからいつまで飾れると良い?

お盆の花は、お盆当日に他のお供えものと合わせて飾ると良いでしょう。その際は、左右対称になるように飾るのが大切です。

片付けに関しては、お盆が終わった日の夜や翌日に行うのが一般的です。ただし、地域や宗派によって異なる場合があるので注意してください。

お供えの花は造花でも良い?

お盆にお供えする生花は命のはかなさを象徴する供物とされており、仏教の教えの一つである諸行無常を表すことから、生花であることが大切だといわれています。

しかし、近年では故人を偲ぶ気持ちがあれば造花でも良いとされることが多くなり、生花をお供えすべきといった決まりはなくなりつつあります。

お盆で花をお供えする際に大切なのは故人を思う気持ちなので、生花や造花などにとらわれず、故人が好きだった花を選ぶようにしましょう。

お盆で飾る花を購入する方法

お盆で飾る花をどこで買えば良いのかと迷う方は多いのではないでしょうか。

主な購入方法として、以下の2つが挙げられます。

  • 花屋
  • 通販サイト

 

最後に、それぞれの購入方法について詳しく解説します。

花屋

一般的な購入先として、花屋をイメージする方は多いでしょう。花屋は駅前や商業施設の中にあることが多く、仕事帰りや用事を済ませたあとなどでも気軽に立ち寄れるのが魅力の一つです。

また、お盆で使用できる花は地域によって異なる場合が多く、分からないことがあれば店員に聞けるのもメリットです。故人の好きだった花をお供えする花に取り入れたいなどを考えている場合は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

通販サイト

通販サイトでも、お盆の花を購入することが可能です。通販サイトは空いたちょっとした時間でも花を選ぶことができ、気軽に購入できる点がメリットとして挙げられます。

また、幅広い花を取り扱っているため、故人が好きだった花を見つけやすいのも特徴です。季節の花はもちろんのこと、花屋では見かけないような珍しい品種なども発見できる可能性があるので、一風変わった花をお盆に飾りたいと考えている場合は通販サイトの利用がおすすめです。

まとめ

東京のお盆は一般的な8月とは異なり、7月に行われます。その理由は、明治時代に新暦になったことが大きな要因として挙げられます。

お盆で供える花を選ぶ際は故人の好みを尊重し、縁起の良い花を選びましょう。お盆の時期におすすめの菊やキンセンカ、ユリなどを飾ると良いでしょう。

また、マナーとして花束は奇数本で左右対称に飾ることが大切です。

ぜひ本記事を参考に、故人に対して感謝や供養の気持ちを込めた花をお盆で飾ってみてはいかがでしょうか。

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