個性的な姿が多い柱サボテンの仲間たち|人気の種類や育て方

多肉植物の代表格でもあるサボテンは、知らない人がいないほどポピュラーな観葉植物です。乾燥に強いという育てやすさもあり、その人気はいまだに衰えていません。

サボテンの中でもどっしりとした幹に鋭い棘を持った「柱サボテン」は、西部劇に登場するような人型にも見えるユニークな形が特徴的ですが、とてもゆっくりと生長していくので、長く育てていくインテリアグリーンとしては特におすすめです。

今回は、サボテンの中でも「柱サボテン」に分類される種類の人気品種や育て方などについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

サボテンの基本情報

まずはサボテン科の植物全体の基本情報を見ていきましょう。

和名 仙人掌(サボテン・シャボテン)
英名 Cactus
学名 Cactaceae Juss

「柱サボテン」とは名称ではなく、サボテンの形の種類のことです。

柱状に育つサボテンを総称して 「柱サボテン」と呼びます。

柱サボテンの種類は、下記で詳しくご紹介していきます。

 

砂漠以外にも自生しているサボテン

「サボテンと言えばどこに生えている?」と質問したときに、ほとんどの人が「砂漠」と答えるでしょう。むしろ、砂漠以外に自生しているイメージがなかなかないのがサボテンです。

実はサボテンの自生環境には、砂漠を含めて、山脈地帯、沿岸部、熱帯雨林地帯と、大きく4つのエリアがあるのです。

 

サボテンの花言葉

サボテンには花が咲かないものと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、とても美しい花色の、赤やピンク、黄色といった鮮やかな色合いの花を咲かせてくれるものが多くあります。

ただしすべてのサボテンが簡単に花を咲かせてくれるわけではなく、咲くまでに数十年以上を要するものや、樹高が一定以上に達さなければ花をつけない、といった種類もあります。

そんなサボテンには、全体の花言葉として「枯れない愛」「困難に耐える」「温かい心」という素敵な花言葉が付けられているのです。

サボテンは何となく贈り物として不向きなイメージがあるかもしれませんが、素敵な花言葉たちは贈り物としても選びやすいでしょう。

水やりを頻繁にする必要がなくお世話が簡単なので、グリーンギフトにサボテンを贈ってみるのも素敵ですよ。

 

サボテンと多肉植物の違い

小さな鉢にぎゅっと寄せ植えをすると大変可愛らしい多肉植物は、近年のグリーンブームでさらに人気が高まっていますが、サボテンとの見分け方をご存じでしょうか。

サボテンと多肉植物との違いは、「棘座(しざ)」という器官の有無によって見分けます。

棘の付け根にある刺座は綿状の短枝です。「短枝」とは、枝が短縮して脇芽とほぼ同化しているような枝のことを指しています。

短枝は他の植物にも見られる器官ですが、サボテン科の短枝は毛に覆われていることが特徴で、短枝に付いた葉は刺として密集しているのです。

 

柱サボテンとは形の総称のこと

サボテンには、120種にも及ぶ属と、2,500種以上もの品種があると言われていて、さらに5つの亜科を持っています。

亜科には、ウチワサボテン、柱サボテン、コノハサボテン、マイフェニア、ブロスフェルディアというものがあり、今回ご紹介していく柱サボテンも、亜科に含まれています。

「柱サボテン」とはサボテンの品種名を表している名称ではなく、柱状の形に生長していくサボテンを総称する呼び名です。柱サボテンの中でも、さらにさまざまな種類やグループに分かれています。

 

サボテンの進化の歴史

サボテンは、自らを進化させていく中で、4種類の段階を踏んでいます。

最も原始的で原種に近いものは、「コノハサボテン」というものです。コノハサボテンの次に「ウチワサボテン」という形状になり、3つ目の進化形態が「柱サボテン」になります。最後の進化形態は、球状になった「タマサボテン」です。

 

柱サボテンとは、西部劇などのシーンで印象的に使われているイメージの、人型のような形状をしたものです。

ウチワサボテンから柱サボテンへ進化したことによって、ウチワサボテンよりも葉を多肉質にすることで、さらに水分を蓄えておけるようになったという利点があります。

さらに、折れやすかったウチワサボテンと比べて、柱状になることで折れにくくなりました。

 

柱サボテンの形状

柱サボテンは、品種の形状によって大きく6タイプに分けることができます。

  • 単幹タイプ
  • 単幹+分岐タイプ
  • 根元 or 途中分岐タイプ
  • 円柱型タイプ
  • 紐状タイプ
  • 群生タイプ

 

単幹タイプはひとつの幹で伸びていき、生長しても分岐しないタイプです。

分岐の位置などによっても、単幹+分岐タイプと根元か途中で分岐していくタイプに分けることができます。

 

円柱型のタイプは、株が円柱状に伸びていき上部で分かれ、西部劇などに登場するサボテンのイメージそのもののようなタイプになります。

 

紐状タイプには、下垂して地を這うように伸びていく、小ぶりなものが多いタイプです。

 

群生タイプは筒状の茎を持っており、根元で分かれて群生していきます。

 

柱サボテンの人気品種

柱サボテンの中でもこれだけ形状が違うのですから、バリエーションが豊富にあるのも納得ですよね。

続いては、柱サボテンの中でも特に人気がある品種について、いくつかご紹介していきたいと思います。

 

鬼面角

「鬼面角」は生長すると10メートル以上にも育つ柱サボテンです。生長につれて分岐していき、根元で分岐することもあるのが特徴です。

正式な名称は「ケレウス・ヒルメニアナス」という品種名ですが、流通数の少ない「ヤマカル柱」として鬼面角が販売されている場合もあります。

花径10センチほどにもなる大輪の花を咲かせますが、夜に咲いて一晩のうちに萎んでしまいます。

 

弁慶柱

「弁慶柱」は、一本の太い幹の上部で分岐をしていくタイプの柱サボテンです。

サボテンがイラストとして描かれるときには、だいたいが弁慶柱のようなフォルムで描かれていることが多いですよね。

自生地では12メートルを越すこともあり、夜になると白く美しい花を咲かせます。

 

金晃丸

「金晃丸」は緑色の株から、金色にも見える黄色い棘が生えているのが特徴的で、名前の由来にもなっています。

株が幼生のうちは、ころんとした丸いフォルムなので、球状タイプのサボテンと間違われやすいのですが、生長していくにつれて柱サボテンらしい形に変化していきます。

 

竜神木

台木としてもよく使われる「竜神木」は、生長がとても早い柱サボテンです。

枝を広げて伸ばしていき、5メートルほどにまで育ちます。

3月頃に白い花を咲かせ、花が咲き終わると濃赤色の甘い実を結実させますよ。

 

福禄寿

「福禄寿」には棘がなく、青緑色の株はこぶのようなぼこぼことした形をしています。

棘がないサボテンなので、小さなお子さまやペットを飼っているご家庭でも、安全面に配慮して育てられるでしょう。

 

翁丸

「翁丸」は、株が白い毛に覆われている柱サボテンです。この白い毛は、翁と名前に入っているように、翁の白い髭のようにも見えますね。

おじいちゃんのような落ち着いた姿を持つ翁丸ですが、とても美しく鮮やかなピンク色の花を咲かせます。

ふわふわでつい触ってみたくなりますが、白い毛の下には鋭い中心棘が隠れていますので、お手入れの際には指先などに刺さらないよう充分注意してくださいね。

 

柱サボテンの基本の育て方

さまざまな形状を持っている柱サボテンですが、一般的なサボテンとほとんど変わりません。

サボテンの基本的な育て方さえマスターすれば、どの柱サボテンも簡単に育てていくことができますよ。

ここからは、柱サボテンの基本的な育て方や管理方法、お手入れのコツなどを詳しくご紹介していきたいと思います。

 

置き場所

柱サボテンは、とにかく風通しの良さを意識して置き場所を決めてください。

また、日の当たる場所で管理することも大切です。日照不足になると株がひょろひょろとして頼りない姿になってしまい、弱っていく原因にもなります。

柱サボテンの自生地は温暖なので、耐寒性はそこまで強くありませんから、冬場は必ず室内で管理しましょう。

また、冬の夜間に窓辺に置いたままでいると、急激に気温が下がっていくので凍結する恐れもあります。日中は窓辺で日に当てて、夜間には部屋の奥へ移動させるよう注意してください。

 

水やり

柱サボテンの水やりのポイントとして、生育期と休眠期でメリハリのある水やりをするということが基本になります。

夏型の柱サボテンは、生育期である3〜9月までは土が乾いてから水やりをして、10〜2月の休眠期には、水やりの頻度を減らしていき乾燥気味に育ててください。

休眠期に水を与え過ぎてしまうと根腐れの原因になるので、ほとんど断水気味にして管理するくらいの心構えでも良いでしょう。

柱サボテンは、ウチワサボテンからの進化によって、多肉量が増しています。より水分を蓄えやすい形状ですので、1ヶ月ほど水やりを忘れてしまっても大丈夫なほどです。

 

柱サボテンの管理には、温度差のメリハリも重要です。自生地の砂漠などでは、日中は40度を越える暑さの一方で、夜間には15度を切るなどの極端な温度差の中で生きています。

日本の環境下ではそこまでの温度差が生じないため、夏の7〜8月頃は生育不良になりがちです。そのため、水やりを控えて半分休眠させるように育てていきます。

断水気味にして育てることで、株の耐寒性を上げるメリットもありますよ。

水やりの頻度を減らすことにより、樹液の濃度が高まるため、凍結などになりにくくなるのです。

 

用土

サボテンなどの多肉植物は、休眠期間が多いことから根腐れしやすい性質がありますので、市販されているサボテンや多肉植物用の土を使うことをおすすめします。

自分でブレンドして作る場合には、川砂5:赤玉土3:軽石小粒2の割合でブレンドしてみましょう。

また、土を使わずにハイドロカルチャーでも育てていくことも可能です。

 

植え替え

サボテンは種から育てていくこともできますが、すでに生長した苗での購入が多いですよね。鉢植えのサボテンは株の生長に合わせて、1〜2年を目安にして新しい鉢や土へ植え替えましょう。植え替えの適期は春頃になります。

柱サボテンは生長速度が比較的早いので、1年ごとに植え替えても構いません。

植え替え作業の際には、サボテンの棘が手に刺さらないよう、軍手などを着用してくださいね。

 

【植え替え手順】

  1. 植え替え作業前は水やりを控えて、乾燥状態にしておきましょう。
  2. 株を取り出して根に付いた土をやさしく落としましょう。
  3. 傷んでいる根や、黒ずんだ根があれば、清潔なハサミなどで切り取っておきます。
  4. 太い根以外の伸びた根は、5センチほど残してカットしてしまいましょう。
  5. 根を整理したら、株を日陰で4〜5日ほど乾燥させておきます。
  6. 株がよく乾いたら、新しい鉢土に植え替えましょう。

 

他の植物の植え替えとは違い、新しい鉢に移す前に乾燥させるのが特徴となっています。

これは、根の整理や鉢から取り出した際の傷口を完全に乾かすためです。

乾燥させずにそのまま植え替えるという方法もありますが、過湿や雑菌に弱いサボテンの植え替えは、注意を払って行いたいですね。

 

 

柱サボテンの増やし方

柱サボテンは、「株分け」や「挿し木」などの方法で株を増やしていくことができます。

種から育てる実生でも増やせますし、健康なサボテンを台木として使う、「接ぎ木」でも増やせるので、好きな方法で挑戦してみましょう。

株を増やすのも観葉植物を育てる楽しみのひとつですので、育て方に慣れてきた頃に、ぜひチャレンジしてみてください。

 

挿し木

柱サボテンは、成長していくにつれて子株を作ることがありますので、この子株を切り取って挿し木に使いましょう。

 

 【挿し木の手順】

  1. 親株の半分ほどまで成長した子株を、清潔な刃物などで切り取りましょう。
  2. 子株から発根するまでは、風通しの良い半日陰に置いて乾燥させます。
  3. 小さく発根してきたら、清潔な土に植え付けて水を与えてください。
  4. 水やりから2週間ほど経ったら、通常の管理方法へ移行していきます。

 

株分け(胴切り)

株分けによって柱サボテンを増やすと、親株にも新しく子株が出てきます。

柱サボテンをいくつも並べて楽しみたいときや、これから育ててみたいという方へのおすそ分けにもおすすめの方法です。

 

【株分けの手順】

  1. 切れ味の良い清潔な刃物などで、サボテンの柱上部をすっぱりカットしましょう。
  2. 切り口の周囲を、野菜を面取りするような要領で切り取っておきます。
  3. 切り口にティッシュを巻き付け、半日陰に置いて1ヶ月ほど乾燥させます。
  4. 1〜2ヶ月で発根するので、小さな根が見えたら新しい鉢に植え付けましょう。
  5. すぐに水やりはせずに、5日ほど空けてから水を与えてください。

 

元気をなくした株や、生長しすぎた株などは、株をすっぱりとカットする「胴切り」によって、株が回復することもあります。

その際も、この株分けの手順と同様の作業を行ってください。

 

接ぎ木

赤い斑模様の入る美しい「緋牡丹(ひぼたん)」は、流行したミニサボテンなので、ご存じの方も多いと思います。この緋牡丹は、実は継ぎ木でないと生長できないという性質があります。台木として、同じ柱サボテンの「三角柱」「竜神木」などが主に使われています。

「接ぎ木」での増やし方は、挿し木や株分けよりも難易度がかなり上がりますので、心して挑戦しましょう。その分、成功したときの喜びや達成感はきっとひとしおですよ。

成功率を少しでも上げるために、接ぎ木は春に行いましょう。

 

【接ぎ木の手順】

 

  1. 台木を上部から2〜3センチの位置で、水平になるよう刃物でカットします。
  2. 台木の切断面周辺が斜めになるよう、今度は肩口をカットしていきます。
  3. 接ぎたい穂木のサボテンを、株の下側で水平にカットしましょう。
  4. 台木同様に、切断面周辺が斜めになるようカットして調節します。
  5. 穂木を台木の上に乗せて、繊維束の位置が合うように、中心に合わせましょう。

※繊維束は切り口中心から同心円状に並んでいるため、中心を合わせていきます。

※台木と穂木の太さが異なる場合には、繊維束が1ヶ所でも合うようにしてください。

  1. 接着面が潰れないよう注意して、2つを糸などでゆるめに固定します。 
  2. 風通しの良い半日陰でしばらく乾燥させておくと、1週間ほどで接地します。
  3. 接着を確認できたら、固定していた糸を外しましょう。
  4. 土が乾燥していたら、接地面に水がつかないように水やりをして、以降は通常の管理方法で育てていきましょう。

 

病気や害虫は早めの対処で

柱サボテンには、春から秋頃にかけてカイガラムシやネジラミといった害虫が発生することがあります。

カイガラムシの排泄物を放置しておくと、「すす病」の二次被害も生まれてしまいますので、発見次第、すみやかに駆除しましょう。棘座に寄生している場合が多いので、よく観察してみてくださいね。

ネジラミや、カイガラムシの幼虫や卵などは殺虫剤で駆除できますが、成虫は固い殻で体を覆っているため、殺虫剤が浸透しにくいです。

柔らかい歯ブラシなどで擦り落とすようにして駆除すると上手くいきます。

 

まとめ

サボテンをイメージすると真っ先に浮かぶフォルムそのものである柱サボテン。

サボテンには豊富な種類がありますが、柱サボテンの中でもたくさんの種類に分かれています。存在感のある柱サボテンは大きく育っていきますので、育て甲斐や見応えがある品種です。育て方も簡単なので、植物を育てたいと思っている初心者の方にもおすすめですよ。

 

また、サボテン全体の花言葉には、「枯れない愛」といった情熱的な花言葉があります。

自宅用に購入するのはもちろん贈り物としても贈りやすい花言葉ですから、ぜひ可愛らしい柱サボテンを見つけて、グリーンギフトにチョイスしてみてくださいね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?