セロームの育て方~準備や育て方のポイント・病害虫対策など~

 

セロームは葉に切れ込みが入ったおしゃれな観葉植物。

ブラジルやパラグアイなどの南米や中米が原産で、インテリアやギフトとしても人気です。ギリシャ語で「愛の木」という意味があり、自由に育つことから風水で恋愛運と勝負運に効果があるといわれています。

今回は、育てやすく魅力的なセロームの育て方のコツや種類・特徴、お手入れ方法などを紹介します。

 

セロームの特徴・基本データ

 

セロームはフィロデンドロン属サトイモ科の多年草で、中米・南米原産の観葉植物です。切れ込みが入った葉の形のものが一般的ですが、ハート型のものもあります。

「となりのトトロ」でトトロが持っていたのも、同じサトイモ科の葉っぱです。

南米原産なので、耐暑性にすぐれており、加えて耐陰性もあります。残念ながら耐寒性は弱いので、冬越しがポイントになる植物といえます。

草丈は10㎝位のものから人より大きなものになると2m位になるものもあり、幹が長く伸びる傾向があります。

セロームは大きくなると、葉が剥がれ落ちて幹に丸い目のような形のものが出来、根元部分の辺りからは気根という根が出てくるのが特徴です。

花を咲かせることは珍しく、めったに見ることができませんが、花が咲いたら真っ白いめしべに緑色の花弁が周りを覆っています。花言葉は「用心深い人」。

丈夫で育てやすいので、初心者さんにもおすすめです。

 

セロームの種類と品種

 

セロームの種類は観葉植物の中でも非常に多く、世界で700種類以上もあるといわれています。流通量も多く、入手しやすい品種も多いです。

値段は人工植物も含めて、500円位の手頃なものから7万円位まであります。

セロームは勝負運、恋愛運UPに効果が期待できる縁起の良い観葉植物でもあり、存在感もあって丈夫なのでインテリアとしても人気です。

ここでは、たくさん種類のあるセロームの中でもメジャーで人気のある品種を3つ紹介していきますので是非チェックしてみて下さいね。

フィロデンドロン・セローム

 

フィロデンドロン・セロームは、ギリシャ語で「愛する樹木」という意味です。草丈は数十cmのものから、1m以上のものまであります。乾燥には強く耐陰性もありますが、耐寒性は弱めです。

葉の切れ込みが深く、大きな人の手のような形をしています。

葉は光沢のあるきれいな緑色で、中には幹から気根が数本出てくることがあり、樹液が皮膚などに付くとかゆみが出たりするので注意が必要です。

室内で育てる場合は、日当たりが良く、風通しの良い場所に置きましょう。

 

フィロデンドロン・オキシカルディウム

 

葉っぱがハートの形をしたフィロデンドロン・オキシカルディウムは、切れ込みがあるセロームとはまた違った可愛さが人気の品種です。

ハートの形が恋愛運アップにも効果が期待できそうです。

原産は熱帯アジアで、緑色のものが主流ですが、ライトグリーンのものや、ポトスのような黄色の斑が入った種もあります。

鉢植えのものは10~20cm程のコンパクトなサイズが多く、大きなものになると1m位まで大きくなるものもあります。

 

フィロデンドロン・クッカバラ

 

フィロデンデロン・セロームと葉っぱの形は似ていますが、フィロデンデロン・セロームよりひと回り小さく、葉数の多い南米原産の品種です。

濃いグリーンのものが主流ですが、この品種もライトグリーンや黄色っぽい斑入りのものもあります。

幹から気根を沢山出す品種で、草丈は鉢植えのもので20~30cm位のものが多く、大きなものになると1m位のものもあります。

クッカバラには「壮大な心」という意味の花言葉があります。

 

セロームを育てるまでの準備

 

セロームは鉢植えで育てる方が育てやすいですが、5℃以上の気温がある地域であれば庭に地植えしても大丈夫です。

そこで今回は、鉢植えでセロームを育てる場合と庭などに直接育てる場合とでそれぞれどのような準備が必要か紹介していきます。

使用する用土はどういったものがいいのか等、参考にして下さい。

 

鉢で育てるための準備

 

セロームを鉢で育てるのに必要なものは、「セロームの種or苗」「植木鉢」「用土」「スコップ」です。また、排水性を高めるために鉢底石を用意します。植木鉢は通気性の良いものを選びましょう。

植木鉢に入れる土は、水はけの良い「観葉植物用の土」を選びます。腐葉土や軽石を少し混ぜてもいいでしょう。

種から鉢に植える場合は、水に少し浸けておいてから種を植えます。時期は5~6月頃がおすすめ。苗を植える場合も同じ時期が良いでしょう。

鉢底石を植木鉢の底に敷いてから土を入れ、穴を開けて植えたら土を被せて固めます。

セロームは根詰まりを起こしやすいので、2年に1回程度(5~7月頃)植え替えが必要です。

 

庭などに直接育てるための準備

 

庭植えなどの地植えの場合は、5℃以上を保てる環境であれば冬越しも可能です。

霜の降りない場所や凍って湿るような場所は避けます。地植えにすると、鉢植えよりも伸び伸びと成長します。

耐陰性もあるので、日陰でもOKです。夏は直射日光を避けましょう。

寒さで葉が痛んだりするので冬は室内に移してもいいかもしれません。

簡易的なビニールハウスを設置してもいいですね。

土は鉢植えと同じように通気性や排水性のよい土を選び、5~6月位に苗か種を植えます。

 

セロームの育て方の基本情報

次は、セロームの育て方についてです。植え付けの仕方や水やりの仕方、肥料のあげ方など、初心者にも分かりやすいように項目別に解説していきます。

セロームは冬越しなどの育て方のポイントを押さえておくことで、長く育てていくことも、増やしていくこともできますのでよかったら是非参考にしてみて下さいね!

 

植え付けの仕方

 

通気性の良い植木鉢の中に鉢底石を敷き、その上に水はけの良い用土(観葉植物用の土など)を入れ、種をまくor苗を植え付け、さらに土を被せます。植え付けに理想的なのは5~6月です。

根詰まりを起こさないように、なるべく均一に種まきor苗を配置して下さい。

日陰で育てても良いですが、日光不足になると徒長を起こしたりするので、できるだけ日当たりの良い場所に植えます。直射日光は当たらないようにしましょう。そして風通しの良い場所がおすすめです。

地植えの場合は、雪や霜が下りるような環境だと枯れてしまう可能性があるので、冬だけは室内に移動させるといいかもしれません。

 

水やりの仕方

 

セロームの水やりの仕方は、春~秋にかけては土が乾いたら水やりをします。

鉢の底から水が流れ出る位まで水を与えましょう。

葉っぱにもホコリがたまらないように、それから害虫予防のために霧吹きなどで葉水をしてあげる必要があります。

ただ、過湿は厳禁で、水の与えすぎは根腐れの原因になるので受け皿に水が溜まらないように注意が必要です。

冬の時期(12~3月)になったら1~2週間に1回程度(土が乾いてから数日経った位)にとどめましょう。やや乾燥気味で大丈夫です。葉水もそれ位の頻度で与えてあげて下さい。

 

肥料のあげかた

 

セロームの場合、春から秋(4~10月)にかけての生長期に緩効性の肥料(化成肥料)の置き肥を使います。与える周期は2ヶ月に1回位です。液体肥料なら水で薄めたものを10日~2週間に1回位(1ヶ月に2~3回)の頻度で与えると良いでしょう。

あまり大きくしたくない場合は、肥料は少なくてOK。

与えたらその分、根が成長するので、根詰まりを起こさないよう注意も必要です。

冬の間(12~3月)は植物も弱っているので、肥料を与えると肥料焼けなどを起こすなど、かえって逆効果。なので、冬場は肥料を与えなくても大丈夫です。

 

剪定の仕方

 

セロームの場合、風通しを良くしたりギュウギュウに密集したりするのを解消する為、剪定でスッキリときれいな形に整えてあげて下さい。

必ず剪定をしなければいけないわけではありませんが、病害虫を防ぐ意味でも推奨します。地上に伸びてくる気根もスッキリと。

カットする時は、剪定ばさみを使って剪定してあげましょう。

時期としては、春から秋の生長期に行います。セロームの場合、切るのは茎の根元から。

切った時にサトイモ科の植物は白い樹液が出るので、くれぐれも触らないようにしましょう。皮膚に触れると痒みがでてきますので手袋などは付けた方がいいですね。

 

冬越しさせる方法

 

セロームを冬越しさせる為には、室内で5℃以上を保つようにします。

そしてできるだけ明るい場所に置いてあげて下さい。

温度の低い窓際や暖房の風が直接当たる場所には置かないようにしましょう。

地植えもできるので、この場合も5℃以上を保ちましょう。

直射日光は避けますが、日には当ててあげた方が越冬できます。

セロームの場合は冬場だけ室内に移動させるのもおすすめです。

冬の間は水やりを控え、1~2週間に一度程度(土が乾いてから数日経った頃)にしましょう。過湿状態になると根腐れします。

 

挿し木での増やし方

 

セロームを挿し木で増やす場合、気根が出ていたら気根は切ってしまわずにそのまま残して挿し木します。切る時はきれいな剪定ばさみを使いましょう。

時期は生長期の春から秋(5~8月)までがいいでしょう。剪定の時期と同じぐらいです。冬はおすすめしません。

切った茎の切り口は1時間ほど水に浸けておきます。

新しい鉢の底に鉢底石を敷き、その上に通気性と水はけの良い用土(観葉植物用の土など)を入れて、そこに挿し木を植え付けます。

挿し木してから1週間程~3週間程で芽が出てきますので、日に当ててあげましょう。

 

セロームの育て方のポイント

セロームの植え付けの仕方や水やり、肥料のあげ方、冬越しの方法、増やし方などを紹介してきましたが、今度は「置き場所」、「苗の選び方」、「植え替え時期の方法」について見ていきましょう。

気を付けたらいいポイント等、育て方のコツをバッチリ押さえてセロームを長持ちさせていって下さい。

 

置き場所

 

セロームは日当たりが良く、風通しの良い場所に置きましょう。耐陰性もありますが、できるかぎり明るい場所で育て、直射日光は避けて下さい。

日当たりが悪いとひょろひょろ伸びきった徒長を起こしてしまいますし、直射日光が当たると葉焼けしてしまいます。

地植えで直射日光が当たりそうな場合は、遮光ネットも有効です。

冬は気温が低くなりがちな窓際に置くと弱ってしまうので、窓際ではない場所がいいでしょう。室温はできるだけ5℃以上を保って下さい。

エアコンの風が直接当たるのもセロームをダメにしてしまうので、当たらないように注意が必要です。

 

苗の選び方

 

セロームの苗を購入する時には、葉の色つやがよく、枝の状態などもよいものを選びましょう。

株がぐらぐらしていないものか、害虫やカビが付いていないか、枯れかかった部分がないかなどもチェックします。

となると、通販ではなく直接お店に出向いて選ぶ方が納得しやすいかもしれませんが、入手しにくい希少品種の場合はその限りではありません。

室内で育てるのであれば、セロームは品種によって形状やサイズも異なるので、

置く場所やインテリアとの兼ね合いで選ぶといいでしょう。

女性ならコンパクトで可愛らしいフィロデンドロン・オキシカルディウムなどもおすすめです。

 

植え替えの方法

 

セロームの植え替えは、初夏から夏(5~7月)にかけての生長期に行います。年中暖かい室内であれば冬の寒い時期以外いつでもいいでしょう。

セロームは根が成長して鉢全体に回ってくると根詰まりを起こし、成長が悪くなってしまうので、2年に1回は植え替えが必要です。

植え替える鉢はひと回り大きめのものを選び、鉢底には鉢底石を敷き、その上に新しく水はけのよい用土(観葉植物用の土)を準備します。軽石を混ぜるのもおすすめです。

土の表面が乾いたらたっぷり水を与え、明るい場所で育てましょう。

 

セロームにつく害虫・病気とその対処法

 

次は、セロームが被害に遭いやすい害虫や病気(カイガラムシ・アブラムシ・うどんこ病・炭疽病)の症状や対処法について見ていきます。

セロームは丈夫で育てやすい植物ですが、もしもの時の為に気にかけておくことで予め対策ができます。

害虫に関しては、購入する時にもしっかりチェックしておくと良いですね。

 

カイガラムシ

セロームが被害に遭いやすい害虫のひとつがカイガラムシです。

カイガラムシは体長2~3㎜位の白っぽい虫で、草花に寄生し、吸汁します。

茎の部分に発生する傾向がありますが、日頃から霧吹きで葉水をしてあげていれば、被害を防ぐことができます。

購入の際にチェックしておく事も大事です。寄生すると、貝殻のように硬くなり、薬剤が効かなくなってしまうので成虫になってしまう前に早急に駆除する必要があります。

駆除方法は、薬剤のほか、布やティッシュを濡らしてから拭く方法や歯ブラシや爪楊枝などで落とす方法があります。

 

アブラムシ

アブラムシもセロームに付く害虫のひとつです。体長は1~3mm位で、種類も様々。

アブラムシは葉や新芽などに付いて吸汁し、その排泄物がアリを寄せ付けてしまったり、すす病やウイルスの原因になってしまいます。

駆除方法としては、殺虫剤などの薬剤が一番効果的です。また、水で洗い流したり、濡らした布やティッシュで拭き取ったり、粘着テープでくっつけるなどの方法も有効です。

発生を防ぐための事前策は、風通しを良くすること、チッ素の多い肥料を与えないこと、定期的に葉水を行うこと、防虫網を設置することです。

 

うどんこ病

うどんこ病は、ウドンコカビが寄生し、葉っぱなどの表面がうどんの粉をふいたように白っぽくなり、生育不良や枯れにつながる病気です。

病気になると症状が進むのが早いので、日頃から葉水を行っておく等、病気にならないよう気を付けておきましょう。

その他の予防策としては、風通しをよくしたり、チッ素の多い肥料を与えないようにすること等が有効です。

薬剤を散布したり、重曹水や酢を希釈した液体スプレーを吹きかけてもいいでしょう。

もしセロームがうどんこ病にかかってしまったら、罹ってしまった部分は全て早急に切り取って下さい。

 

炭疽病

 

炭疽病(たんそびょう)も感染すると厄介な病気です。

炭疽病は、カビが原因で草花や果物などに発生する病気で、茶色や黒っぽい斑点が出てきて、放っておくと全体に広がり枯れてしまいます。

炭疽病になってしまった場合は、他の株への感染を防ぐためにも、病気に罹ってしまった箇所は切り取って破棄し、病気が拡大しないように薬剤を散布しておきましょう。

炭疽病を事前に予防するには、剪定するなどして風通しをよくすること、土の水はけを良くすること、高温多湿を避けることが有効です。

 

まとめ

 

青々とした葉っぱに生命力を感じるセロームはインテリアとしても映えますし、丈夫で育てやすいので初心者さんにもおすすめです。

「愛の木」という意味があり、縁起も良いので、ギフトとしても喜ばれます。

長持ちさせられるかは、冬越しや植え替えなどがポイント。

普段は見られない花を咲かせることもあるかもしれませんので、今から育ててみたいと思う方は是非チャレンジしてみて下さいね。

 

大切なあの人にお花を送ってみませんか?