コーヒーの木で自家製コーヒーに挑戦!基本の育て方やお手入れ方法

「コーヒーの木」という観葉植物をご存じでしょうか。

名前のとおりにコーヒー豆ができる品種で、比較的育てやすいと言われる初心者向けの観葉植物です。葉にはつやがあって、インテリアグリーンとしてもかなり観賞価値の高い品種です。

今回は、そんなコーヒーの木の基本的な育て方からお手入れ方法、品種などについてご紹介します。

 

コーヒーの木の基本情報

まずはコーヒーの木の基本情報を見ていきましょう。

科・属 アカネ科・コーヒーノキ属
和名 コーヒーの木、アラビカコーヒーの木
英名 Arabian Coffee
学名 Coffea arabica
原産地 エチオピア、熱帯アフリカ、マダガスカル周辺

コーヒーの木の特徴

コーヒーの木はエチオピアを原産地としており、熱帯アフリカ、マダガスカル周辺などにも自生する植物です。

コーヒーの木の自生環境に適しているのは北緯25度から南緯25度までの地域だとされており、この一帯は「コーヒーベルト」と呼ばれています。

自生環境では8メートルにも生長しますが、生産地では人が収穫や手入れがしやすいように剪定され、樹高3メートルほどで管理されているようです。 

常緑のコーヒーの木は、つやつやとした葉を一年中茂らせてくれるので、インテリアグリーンとしても大変人気があり、観葉植物の中でも定番と呼べる品種となっています。

そのネーミングから、コーヒーカップの形をした鉢で店頭に並んでいる様子もよく見かけますね。

観賞用として流通しているコーヒーの木は、飲料用のコーヒー豆が収穫できるコーヒーの木と同じ品種です。

その中でも最も多く流通している品種はアラビカ種で、飲料用としても全体の約7割を占めています。

 

コーヒーの木の花

コーヒーの木は、葉の付け根辺りに白く小さな花を集めて咲かせ、花が終わると赤い実が結実します。花はジャスミンの花に似た形をしていて可憐な印象です。

5〜6月頃に開花して、2日ほどで花が落ちてしまうため、コーヒーの木の開花は貴重な瞬間です。

花が終わると緑の実ができて、緑色から黄色、黄色から赤色へと徐々に成熟していき、完熟に近づくと紫色を帯びていきます。この赤い実はサクランボのようにも見えて、実際に食べてみると甘みもあるので、「チェリービーンズ」や「コーヒーチェリー」とも呼ばれています。

果肉の中には、ラクビーボールを割ったような形状の2つの種子が入っています。品種によっては黄色い実もありますが、赤い実も黄色い実も、焙煎したときの味には違いがほとんどありません。

コーヒーがお好きな方は、ぜひ収穫した豆を使って、ご自宅でお手製のコーヒーを味わってみてくださいね。

 

コーヒーの木の種類

コーヒーの木は先ほど触れたアラビカ種以外にも品種がありますが、アラビカ以外は観賞用としてはほとんど流通していません。

アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種はコーヒーの木の3大原種と言われており、品種改良によって約40種類以上もの品種が誕生しました。

流通しているアラビカ種の多くはエチオピアが原産ですが、ごく稀にブルーマウンテン種が流通していることもあるので、気になる方は探してみてください。

 

アラビカ種

アラビカ種は、観賞用としても飲料用としても最も流通数の多い品種です。世界の中でも栽培量がいちばん多い品種でもあります。

アラビカ種の中でも、ティピカ種、ブルボン種、スマトラ種などの種類に分かれています。

栽培されている土地や生産地の標高などによって、コーヒーにしたときの味や香りに違いが生まれるのが特徴です。

アラビカ種は主に高地で栽培されており、豆が収穫できるまでには5年以上を要するため栽培条件としては厳しいものがありますが、3原種の中でいちばん味がおいしく高品質であるため、最も流通量が多いのです。

 

ロブスタ種

カネフォラとも呼ばれているロブスタ種は、コンゴを原産地とする品種です。

コーヒー豆の味の特徴としては、苦みや酸味が強く、少量の豆からでも多く抽出できるため、缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料として多く使用されています。全体の生産量としては、アラビカ種が7割だとすると、ロブスタ種は3割ほどです。

アラビカ種と比較すると生長スピードが早いことも特徴で、低地で育ち、高温や湿潤な土地にも適応し、病害虫にも強いタフさを持っています。

 

リベリカ種

リベリカ種は西アフリカを原産地とする品種です。全体の生産量として占める割合は大変少なく、日本では馴染みのない品種となっています。

コーヒーの木がかかりやすい「サビ病」にかかりやすいことや、10メートル以上にまで生長するため収穫が困難であること、豆の大きさが均等ではないので焙煎が難しいこと、自然交配しやすい品種であるといった点から、多く栽培が行われていません。豆の品質についても、アラビカ種と比べると劣ります。

アラビカ種を接ぎ木で繁殖させていくときに、台木として用いられることが多いです。

 

コーヒーの木の花言葉や風水効果

私たちの生活に馴染み深いコーヒーが作られるコーヒーの木ですが、どんな花言葉を持っているのか気になりませんか?

また、観葉植物にはそれぞれの葉の形や木の形状にちなんだ風水効果が期待できますが、コーヒーの木にはどのような風水効果を持っているのでしょうか。

ここからは、コーヒーの木の花言葉や風水効果についてご紹介していきます。

 

花言葉「一緒に休みましょう」

コーヒーの木の花言葉は、「一緒に休みましょう」です。

カフェインを含んでいるコーヒーは、これから仕事を頑張りたいときやシャキッとしたいときにも飲まれていますが、一息つきたいときや仕事の合間のブレイクタイムなどにもぴったりな飲み物です。焙煎豆の香ばしい香りと味わいが、リラックスタイムのお供に最高ですよね。

落ち着いた雰囲気のある喫茶店などで、じっくり丁寧に淹れられたコーヒーを味わうのは至福のひとときとも言えます。

 

風水面ではリラックスの効果が

ほっと一息つける時間のお供として楽しまれるコーヒーらしく、コーヒーの木の風水効果としてはリラックス効果が期待できるようです。

コーヒーの木のように丸みのある葉の植物には、気の流れや気持ちを穏やかに落ち着かせてくれる風水効果があります。また、葉が下向きに生えている観葉植物は「陰の気」を持っていますので、人が集まるリビングや、リラックスタイムを過ごす寝室などに置くことで、気を穏やかにする効果が期待できますよ。

また、コーヒーの木はたくさんの赤い実を群生させることから、子宝を授かるシンボルだとも考えられており、東北の方角に飾ることで男の子を、南の方角に飾ることで女の子を授かりやすくなると言われています。

 

コーヒーの木の基本的な育て方

一年中美しい葉を楽しめて、花を楽しんだ後は豆を収穫して自家製のコーヒーも楽しめるコーヒーの木。コーヒーも植物もどちらもお好きな方は、一度は育ててみたい観葉植物ですよね。

そんなコーヒーの木ですが、育て方は意外と簡単で初心者向きの植物でもあります。

基本的なポイントをしっかり抑え、コーヒーの木を元気に育てて、お手製のコーヒーを味わってみましょう。

 

置き場所

コーヒーの木は日本の寒さには弱く地植えには向いていません。鉢植えで育てるのがおすすめです。

コーヒーの木は生長するにつれて、だんだんと耐陰性が弱くなっていく性質がありますので、直射日光を避けた日当たりの良い場所で管理します。強すぎる日光を浴びると、葉焼けを起こしたり枯れてしまったりするので、窓際で管理する際にはレースカーテン越しやブラインド越しになるよう注意してください。

特に、店頭で販売されていた鉢植えは、暗い場所で管理されていた時期が長いため、急に日光に当てると葉焼けを起こす可能性が高いです。2〜3週間ほど掛けてゆっくりと日光に慣らしていきましょう。

寒さには弱いので、冬場は必ず室内で管理するようにします。また、暑すぎる環境も苦手なので、真夏の間は遮光をしたり半日陰になるような場所に置いたりして暑さ対策をしましょう。

水やり

コーヒーの木の水やりは、生育期の間は土の表面が乾いたことを確認してから、水を与えます。鉢底から水が流れ出てくるまで、たっぷりと与えるのがポイントです。

 

また、水やりの際には受け皿に溜まっている水をこまめに捨てて、清潔に保つよう注意しましょう。そのまま水を溜めておくと、雑菌が繁殖して虫が寄ってきたり、鉢内の土が蒸れて根がダメージを受けたり、最悪の場合には根腐れを起こしてしまう可能性もあります。

 

夏は連日の水やりが必要になる場合もありますが、株が休眠期を迎える冬には、春から秋の間よりも乾燥気味に育てるよう意識してください。

土が乾いたことを確認してから、2〜3日後に水を与えるようにするとちょうど良いでしょう。秋の終わり頃から株を乾燥気味に育てることによって、樹液の濃度が高まって耐寒性を高められる効果もあります。

冬季の室内では暖房器具を使用するため湿度が低くなっているので、霧吹きなどで葉に水をかける葉水を行い、葉からも水分を吸収させるようにすると、葉が活き活きとしてくれるのでおすすめです。

 

肥料

コーヒーの木には、春から秋の生育期の間に緩効性の肥料を与えましょう。

ただし、猛暑日が続く真夏の間は生育が遅くなるため、肥料を控えるのがベターです。

休眠期にあたる冬には肥料は不要です。養分過多によって根詰まりを起こす原因になりますので、冬越しの前に必ず肥料を取り除いておきます。

室内で管理している場合には、有機肥料を使うと肥料の匂いで虫が寄ってきてしまいますので、化成肥料を使いましょう。

 

剪定

コーヒーの木の生長スピードは比較的ゆっくりで、アラビカ種は特にのんびりと生長していくので、頻繁な剪定作業は要りません。枝が混み合ってきた場合や、樹形が崩れてきたと感じたら剪定で整えておきましょう。

剪定の適期は、5〜6月の夏を迎える前がベストです。剪定や植え替えなどの作業は、株にかなりの負担が掛かります。真夏や真冬など株の成長がゆるやかになる時期は避けて、作業後にしっかり回復できるよう早い時期に済ませましょう。

 

植え替え

ゆっくりと生長していくコーヒーの木ですが、同じ鉢で長年育て続けると、根が鉢内で生長しすぎて詰まってしまったり、土の養分が足りなくなってしまったりして生育環境が悪くなってしまいます。

ひと回り大きな鉢と新しい土を用意して、2年に1回のペースで植え替えを行いましょう。

2年が経過していなくても、下の葉が落葉して株の上のほうにだけ葉が付いているような状態のときは、根詰まりを起こしているサインなので早めに植え替えてあげてください。

植え替え作業も、剪定と同様に生育期の間に済ませるのが適期です。

植え替え作業の前は、水やりの頻度を減らして鉢土を乾燥させておくと、作業がしやすくなりますよ。

 

【植え替えの手順】

  1. 株を鉢から抜き出し、根についている土をやさしくほぐして落とします。
  2. 黒ずんだ根や傷んでいる根は、清潔なハサミなどでカットして根を整理します。
  3. 新しい鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷き、3分の1ほど土を入れておきます。
  4. 中心に株を置いて、周りを埋めるように土を足していきます。
  5. 細かい隙間も埋めるように土を足して株を安定させましょう。
  6. たっぷりと水を与えたら、風通しの良い明るい日陰でしばらく管理します。

 

これ以上株を大きくしたくないという場合には、枝と幹を同じくらいの割合で剪定で減らして、株をコンパクトにしておくと良いでしょう。

また、植え替える鉢のサイズはひと回り大きなものではなく、同じくらいのサイズか少し小さいサイズの鉢を用意しておきます。

 

コーヒーの木の増やし方

株を増やしていくのは観葉植物を育てていく楽しみのひとつですよね。

コーヒーの木は「挿し木」「株分け」「種まき」の方法で増やすことができます。

株が増えれば、それだけできる実も増えるので、コーヒー豆がたくさん収穫できる楽しみがありますよ。

それではさっそく、それぞれの増やし方について手順をご説明していきましょう。

挿し木

挿し木の場合には、剪定や植え替えのタイミングで切り落とした枝を使うのがおすすめです。種の収穫や株分けができるまで生長を待たずとも手軽に挑戦できる方法となっています。

発根促進剤や殺菌剤などを使うと、より成功率が高まりますよ。

 

【挿し木の手順】

  1. 10cmほどの挿し穂を用意しましょう。
  2. 枝の切り口をV字にカットして、具油水面を増やし、土に挿しやすくします。
  3. 葉は2〜3枚だけ残して残りはすべて取り除いておきましょう。
  4. 残した葉を半分にカットして、水分の蒸散を防ぎます。
  5. 水を入れた容器に挿し穂の切り口を数時間ほど浸けておきましょう。
  6. 切り口部分に発根促進剤などを塗布したら、用意した土に枝を挿します。
  7. たっぷりと水を与え、風通しの良い日陰で1〜2ヶ月ほど発根を待ちましょう。
  8. 発根を確認できたら、鉢に植え替えて通常どおりにお世話していきます。

 

株分け

株分けで増やしたい場合には、植え替え作業と並行して株分けを行うことをおすすめします。同時に行うことで、株への負担が少なく済むためです。

 

【株分けの手順】

  1. 途中までは植え替え作業と同様の手順で行います。
  2. 根が整理できたら、幹を2本ずつくらいになるように株を分けましょう。
  3. 植え付け用の鉢に株を置き、周りに土を足していき株を安定させます。
  4. たっぷりと水やりをしたら、約1週間ほどは日陰で管理して株を休ませます。
  5. 以降は、通常どおりにお世話をしていきましょう。

種まき

種まきによる実生で増やしていく場合には、挿し木や株分けとは異なり、一から育てていくことになりますので、長い時間が必要になります。実生から育てた株が果実を付けるまでには、アラビカ種だと5年ほど掛かりますので、長い目で育てていきましょう。

自分で採集した種を蒔くと発芽しやすいのですが、出荷されている生豆などから発芽させるのはかなり難しいです。また、煎られた豆からは発芽しませんので、誤って植えないようにしてくださいね。

 

【種まきの手順】

  1. 熟している果実を選んで皮を剥き、種子を取り出しましょう。
  2. よく種を洗ったら、種子と同じくらいの深さの穴を掘り、植え付けます。
  3. 管理温度が15度前後になるよう注意しつつ、発芽まで数ヶ月ほど待ちます。
  4. 子葉が開ききったら、鉢に植え替えて育てていきましょう。

まとめ

今回は、私たちが普段から口にする機会の多い、コーヒー豆のできるコーヒーの木について、植物の特徴や育て方、お手入れ方法などをご紹介してきました。

一年中つややかな葉を茂らせてくれるコーヒーの木は、インテリアグリーンとしてぴったりな観葉植物です。

コーヒー好きの方は、自分で収穫したコーヒー豆でコーヒーを淹れるという魅力的な楽しみ方もありますね。

育て方もそこまで難しくはありませんので、自家製コーヒーを楽しめるくらいにどんどん株を増やしてみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?