ゴールドクレストを挿し木で増やす方法・初心者にもわかりやすく解説

針のように細かい葉が結集した常緑針葉樹のゴールドクレストは、一般的には「コニファー」と呼ばれています。

ゴールドクレストはカリフォルニアやメキシコが原産の植物で、日本でも鉢植えやシンボルツリーとして親しまれていますよ。

適切に育てれば1年中美しい葉を鑑賞できる点も魅力です。では、この植物は自分で増やすことは可能なのでしょうか?

この記事では、ゴールドクレストの基本データから挿し木で簡単に増やす方法・失敗しないコツなどを解説していきます。

 

ゴールドクレストの基礎データは?

ゴールドクレストは、ヒノキ科のイトスギ属に分類されている植物です。

北アメリカを中心にメキシコにかけて見かけることが多く、別名「モントレーサイプレス」「モントレーヒノキ」とも呼ばれています。

また、園芸店などではコニファーと呼ばれていることもあるでしょう。「コニファー」とは、本来は針葉樹全体を指しています。しかし最もメジャーで日本人に親しまれていることから、コニファーと言えばゴールドクレストというような印象になったようです。

まずは、ゴールドクレストの基本情報を見ていきましょう。

 

ゴールドクレストの特徴

ゴールドクレストは明るい葉色が華やかで、樹形も美しいので幅広い年代の方に人気がある植物です。

山椒のようなフルーティーな芳香があり、その成分には抗菌作用や脱臭効果もあるといわれています。また、針葉樹ならではの細かな葉っぱを持っていますが、葉の色は季節ごとに異なり、春は新芽が出て黄色っぽく冬は橙色に変化するのも魅力です。

ゴールドクレストの花言葉は「まっすぐ生きる」「不変」になります。これはこの植物の幹がまっすぐ上に向かって伸びていくことを意味しているのでしょう。

スタイリッシュなので、部屋のインテリアとして置くのも素敵ですね。

 

代表的な品種

ここではゴールドクレストの代表的な品種を紹介しますので、購入する際の参考にしてください。

 

①ハッピー

ハッピーは淡い黄緑色の斑が入った品種になります。

この品種は平成9年に静岡県榛原郡の育成者の温室によって発見されたゴールドクレストの枝代わりです。

鉢植えに向いている品種といわれています。

 

②スリムゴールド

スリムゴールドはスレンダーな樹形が特徴です。

大きくなっても樹形が乱れないので、庭のシンボルツリーにも向いています。

またゴールドクレストの中では比較的丈夫な品種なので、育てやすいのもセールスポイントです。

 

③オーレア

オーレアは生長が遅いので、あまり大きくさせたくない方におすすめの品種です。

葉っぱは黄金色ですが、冬になり寒さに当たると白っぽく変化するのも不思議な魅力と言えるでしょう。

また、耐寒性にも優れているので、冬でも屋外で育てることができます。

 

栽培の方法は?

ゴールドクレストは美しいフォルムと生き生きとした葉っぱが魅力的な植物です。

クリスマスツリーのような円錐型をしているので、冬になるとモミの木の代わりとして飾りつけに活用されることもあります。

耐寒性には優れていますが蒸し暑い夏や梅雨時の湿気には弱いので、主に寄せ植えや観葉植物として親しまれることが多いでしょう。

ここではゴールドクレストの栽培方法を簡単に紹介します。

 

・温度管理

ゴールドクレストを栽培する上で1番大事なのは、温度管理になります。特に極端に暑い夏と極寒には注意が必要なのです。そのため梅雨に入る前には蒸れを防止するために剪定して、通気性を良くするようにしてください。

また、冬場も0℃以下になる場合は鉢植えにして、冬は室内で管理するようにしましょう。

 

・水やり

乾燥には強い植物なので、それほど神経質になる必要はありません。

しかし水分不足が重なると、葉先が茶色くなることがあります。茶色に変色した葉は、どんなにお手入れしても元通りにはならないので注意しましょう。

またゴールドクレストは湿気に弱いため、季節に関係なく表面の土が乾いてから水やりをしてください。

水が多過ぎると根腐れを起こすので、冬は控えめに与えるようにしましょう。

地植えの場合は基本的には水やりは必要ありません。もし心配なときは、霧吹きなどで葉水を与えると良いでしょう。

 

・肥料

植物を丈夫に育てる場合は、肥料も大切なポイントになります。

鉢植え・地植えに関係なく3月と6月の2回、株元に緩効性肥料を与えるのがおすすめです。

液体肥料でも良いのですが、使用方法を守り与え過ぎには注意しましょう。

地植えで大きく育てたい場合は、冬前まで(10月くらいまで)2か月に1度の割合で緩効性肥料をあげてください。

 

挿し木をする前にここをチェック

植物を増やす方法はいくつかありますが、コニファーの場合は「挿し木」で増やすのが主流です。

しかしゴールドクレストは挿し木をしても発根しにくい植物なので、たくさんの挿し穂を用意しておくと良いでしょう。

本数が少ないと全滅と言う可能性も少なくないので注意してください。

ここからは、挿し木をする前に準備しておいた方が良いものについて紹介します。

 

必要な物

・挿し穂(なるべく多めに)

・ポット(プラスチック製・またはペットボトルの底の部分を利用しても良い)

・土(赤玉土やバーミキュライトなどの他、挿し芽種まきの専用の土もおすすめ)

・割りばしや細い棒(穴を開ける際に必要)

・発根促進剤

・剪定ハサミ(チタン製)

 

挿し穂の準備

剪定の時期と被る場合は、その中から挿し穂を準備すると良いでしょう。そのときは、若くて生命力がありそうな丈夫な枝をチョイスしてください。使用する枝は最低10cmくらいの長さが必要です。

下準備としては、挿し穂にするときに土に隠れる部分の葉っぱはきれいに取り除いておきましょう。

 

ペットボトルを簡易ポットにするときの注意点

ペットボトルの底の部分を使い、簡易的にポットの替わりにすることもできます。

作り方はとても簡単で、ペットボトルをカッターで切るだけですが、切り口が鋭くなっているのでお子さんがいる方は注意しましょう。

また、容器の底にはキリなどを使って排水用の穴を空けておいてください。

 

発根促進剤ってなに?

発根促進剤には大きく分けてジェルタイプ・液体タイプ・粉末タイプがあります。

その中で挿し木や挿し穂に効果があるといわれているのは粉末タイプの「ルートン」です。

こちらは植物ホルモン剤で、挿し木の発根率を上げてくれるでしょう。

また液体タイプの「メネデール」は、植物に必要なイオンの力で発根を活性化させます。

発根促進剤を使用することで、ゴールドクレストの発根率は抜群に上がりますよ。

 

ゴールドクレストを挿し木で増やすコツ

ゴールドクレストは蒸れに弱いので、日本の梅雨には馴染みにくい植物です。

そのため、注意しないと枯らしてしまうことも少なくありません。

また、お手入れをしないと葉っぱの内側が茶色に変色してしまって、取り返しがつかないこともあるようです。

したがって、梅雨に入る前に混み合った葉っぱの剪定をしてあげてください。

剪定した葉は、挿し木にして増やすことができますよ。ここでは挿し木をするプロセスや適切な時期について解説します。

 

挿し木に適切な時期

高温多湿には弱いゴールドクレストなので、夏の盛りに挿し木をするのは向いていません。

穏やかな気候の4月〜6月、それが無理な場合は10月頃が適しています。

剪定した葉をそのまま挿し木として使用するときは、最低10cm以上の枝が必要です。

また、剪定する際に金属のハサミを使うと、切り口から変色することがあります。したがって、できるだけ手で摘み取るようにしてください。

どうしても使用する際には必ずチタン製のハサミを使いましょう。チタン製は少し価格が高いですが、錆びにくく長く愛用できるのでおすすめです。

 

挿し木の手順

① 挿し穂に使う枝を最低10cm以上切り落とします。(剪定した枝でも良いです)

ゴールドクレストはデリケートな植物なので、失敗を防ぐために数本用意しましょう。

② 水を入れた容器に挿し穂を2時間ほど浸します。これは水揚げを促すためです。

③ ポットに用土を入れて、充分に湿らせておきましょう。

(挿し木を済ませた後に水を与えると、発根促進剤が流れてしまう危険があります)

④ 割りばしなどを使って、用土に小さな穴を空けて置きます。

そのまま差し込むと、発根促進剤が落ちて効果がなくなってしまう可能性があるからです。

⑤ 水揚げを済ませた挿し穂の切り口に発根促進剤をつけていきましょう。

ルートンを使う場合、粉末をそのまま施す方法と水で練りペースト状にして塗る方法があります。どちらにしても粉末は別の容器に移して使うと、固まることがなく安心です。またつけ過ぎには十分に気をつけてください。

⑥ ④であらかじめ空けてあった穴に挿し穂を傷めないようにそっと挿して、土を寄せて完成です。順調に育つと約1か月〜3か月ほどで根が生えて来ますが、それ以上時間がかかることもあるので気長に待ちましょう。

 

挿し木/注意するポイントは?

ゴールドクレストを挿し木で増やす場合、何よりも気をつけたいのは用土です。挿し床に使用する土は、必ず新しいものを使うようにしてください。

その理由は古い土や庭の土などを利用した場合、害虫や病原菌が潜んでいる可能性があるからです。

切り取った枝は傷んでおり菌が発生しやすい状態になっているので注意しましょう。

さらに古い土は、排水性や保水性にも問題が生じているかもしれないので使うのは控えてください。

 

挿し木の後の管理の方法は?

挿し木をした後の植物はとてもデリケートなので、より良い環境の中で育てる必要があります。

ゴールドクレストは発根するまで約1か月以上かかるので、その間は乾燥させないように注意しましょう。表土が乾燥したら、水やりをするようにしてください。霧吹きなどを使うと効果的です。

乾燥が気になる時は、園芸用のビニールシートを活用する方法もあります。

その他、挿し木をした後のゴールドクレストの管理方法をチェックしていきましょう。

 

窓際などの明るい室内に置く

挿し木をした後のゴールドクレストは、窓際などの明るい室内で育てるのがおすすめです。

太陽の光が大好きな植物ですが、挿し木後は弱っているので直射日光は避けるようにしましょう。明るい日の入る室内で育てるのが安全安心です。

挿し穂が風や雨などで動いてしまうと、発根率が落ちてしまうので注意してください。

 

植え替えのタイミングは?

発根が確認できたら、少しずつ日光に慣れさせていき、生長したら植え替えを行います。

植え替えに最適な時期は、生長期の4月〜6月、または過ごしやすい9月〜10月がおすすめです。

また、植物を抜くときに根が傷つく可能性があるため、落ち着くまでは単独で植えておくと安心ですよ。

土は市販の観葉植物専用の培養土で問題ありません。また根が確認できるまでは肥料を与えるのは避けてください。

 

冷暖房には注意しよう

挿し木をしたばかりのゴールドクレストを室内に置く場合は、冷暖房の直風が当たらないように注意してください。

特に熱風などに当たると、乾燥しやすくなるので風よけは必須です。

このような極端な温度変化は、植物には大きな負担になるので注意しましょう。

 

ゴールドクレストを枯らさない秘訣

ゴールドクレストは、さまざまな楽しみ方ができる人気の観葉植物です。

しかし日本の気候には調和しにくく、枯れやすいのが最大の悩みでしょう。

では、ゴールドクレストを丈夫に育てるには、日頃どんな点に気をつければ良いのでしょうか。

ここではその秘訣を紹介していきます。

 

ゴールドクレストの弱点を知ろう

ゴールドクレストが枯れてしまう原因は1つではありません。

いくつか考えられる要素がありますので、チェックしてみましょう。

 

・湿気に弱い

ゴールドクレストは地中海性気候の植物なので、日本の気候には馴染みにくいという特徴があります。特に湿気には弱いので、梅雨時の蒸し暑さでは弱体化してしまうのです。

その対策として、梅雨に入る前に剪定をすることが有効となります。樹形的にもこんもりしているため、外側は元気に見えても内側が枯れてしまうことがあるでしょう。

したがって、ゴールドクレストは鉢植えで育てた方が管理しやすい可能性があります。鉢植えなら、湿気の多い時期や真夏には涼しい場所に移動させることができるからです。

 

乾燥に弱い

ゴールドクレストは根が浅いため、水分や栄養分を吸収しにくいと言う弱みがあります。そのため、乾燥するとすぐに衰弱してしまうのです。

潤いが不足すると枯れるのも早いので、夏季は特に注意して手入れをしてください。

また、乾燥が進行した葉っぱは茶色になり枯れてしまうので、気づいたら早めに手で摘み取ってあげましょう。対策としては霧吹きなどを利用して、葉水を与えるのが効果的です。

 

・泥はねにも注意

デリケートな植物の場合は、水やりの際の泥はねにも気をつけましょう。

土地の中にはカビの菌が潜んでいることがあるため、それが葉や茎に付着して病気を触発することがあるのです。

また雨の季節も泥はねが起こる危険があります。これを防ぐには、根元に自然原料のマルチング材を使うのが効果的です。特に木を粉々にして作られたウッドチップなどがおすすめですよ。

 

・寒さ対策

地中海性気候は、冬温暖なため0℃以下になると耐えられない可能性があります。

したがって寒冷地にお住いの場合は、鉢植えにしておいて、夏は屋外で冬は室内で管理するのがおすすめです。

また、冬は極力水やりを控えるのも、丈夫に育てる秘訣になります。水を与えることによって土が冷えてしまわないように、水やりの時間帯も温かい時間に行ってください。

 

病害虫対策

ゴールドクレストを枯らさないために、害虫対策も忘れないようにしましょう。

 

・赤さび病

ゴールドクレストがかかりやすい病気は「さび病」になります。さび病の初期症状は、葉っぱの裏側などに現われた黄色っぽい斑点です。病気が進むとこの斑点が大きくなり、赤っぽく変化することから「赤さび病」とも呼ばれています。

そのまま放置すると症状が進行して植物が枯れてしまうので、早めに対処することが大切です。

発生時期は5月〜6月に多くなります。原因は糸状菌というカビの種類なので、見つけたらすぐにその部分を摘み取るようにしましょう。

また、市販の殺菌剤を使用することも対策の1つです。

 

・ハダニ

ハダニとはダニの一種で、生きている葉っぱや実を餌にしています。ハダニの被害にあった場合の初期症状は、葉の表面にできる小さな白い点々です。

しかしこの症状は葉の裏側から始まるため、見逃してしまうことも多いでしょう。

風通しが悪く高温多湿になると害虫が発生しやすくなるため、夏場は特に注意してください。葉の裏側までこまめに葉水を与えることで、被害を最小限に抑えることができます。

 

まとめ

今回は、ゴールドクレストの管理方法や挿し木の方法、挿し木後の管理方法などをご紹介しました。

美しい樹形を持つゴールドクレストは、シンボルツリーやインテリアとしても人気の観葉植物です。日本の気候にはなかなか馴染まないデリケートな植物ですが、挿し木で増やすことができるので、ぜひ挑戦してみませんか?

大切なあの人にお花を送ってみませんか?