ヒイラギの花言葉は「あなたを守る」育て方や魔除けとしての由来も紹介

正月飾りや節分の飾り、そしてもちろんクリスマスツリーなど、柊(ヒイラギ)は冬を象徴する植物というイメージがありますよね。

実は正月飾りに用いられるのはモクセイ科の「ヒイラギ」、クリスマスツリーはモチノキ科の「セイヨウヒイラギ」で異なる種類の植物です。

しかしどちらも日本、西洋共に古くから魔除けの力があると信じられている聖なる木となっていますよ。

今回は日本原産の「ヒイラギ」についての花言葉や名前の由来、育て方などをご紹介します。

ヒイラギの花言葉

ヒイラギの花言葉は「用心深さ」「あなたを守る」「保護」「剛直」「先見の明」「歓迎」です。

「用心深さ」はトゲのあるヒイラギの葉には触る時に用心深く、気を付けて触らないといけないことから付いたといわれています。その触れると痛い葉は古くから何かを守ることを連想させ、さらにヒイラギは邪を追い払う魔除けの木として考えられていました。そこから「あなたを守る」「保護」などの言葉が付いたのでしょう。

「剛直」は幹が非常に堅いことから、さらにヒイラギの葉のトゲが古木になっていくとだんだんと丸くなっていくことから、将来は変わっていく姿に先のことを見通す様を連想し、そこから「先見の明」という花言葉になりました。

「歓迎」は冬のはじめに咲かせる花の、人を迎え入れるような甘い芳香から付いたといわれています。

ちなみにセイヨウヒイラギ全般の花言葉も「defense(防衛、防御)」で日本語の「あなたを守る」「保護」と近しいものがありますね。魔除けの木として家回りや玄関に飾っていたことから付いた「domestic happiness(家庭の幸せ)」というものもあります。 

ヒイラギの花言葉に怖い意味はある?

ヒイラギは古くから魔除けとして用いられてきた縁起のいい木です。その花言葉にも、人や家を守る言葉や賢明さについての言葉が多くついており、怖い意味は特にありません。「あなたを守る」や「保護」「歓迎」といった花言葉を取ってみても、家庭の庭木、もしくは公園など公共の場の植栽として植えるのにぴったりの木だといえるでしょう。

ヒイラギの基本情報

科・属 モクセイ科モクセイ属
和名 ヒイラギ(柊)
英名 Holly・Chinese-holly
学名 Osmanthus heterophyllus
原産地 日本、台湾など東アジア

原産地は福島以西の本州、四国、九州、沖縄や台湾などで、山地に自生しています。雌株と雄株があり、雌株は晩秋から冬のはじめに甘い香りのする白い花をつけ、夏には黒紫色の実をつけますよ。

葉はギザギザ型でトゲがありますが、老木になっていくとだんだんこのトゲは丸くなって、最後には楕円形の葉になっていきます。開花時期は11〜12月、樹高は4〜10mほどです。

ヒイラギの名前の由来

ヒイラギの漢字は木へんに冬と書きます。冬のはじめに甘い香りのする花を咲かせ、お正月や節分など冬の行事にも用いられる柊はまさに冬を代表する木。そのため、このような漢字で書くようになったといわれています。

また、ヒリヒリ痛むという意味の「ひいらぐ」という古語から変化し「ひいらぎ」という名前になりました。

ちなみにセイヨウヒイラギは英語でHollyといい、キリストが処刑される際につけていたとされるいばらの冠に似ている形であることから、キリストのトゲとも呼ばれます。

ヒイラギが魔除けとされる由来

日本では伝統的に先の尖ったもの、匂いの強いものなどが魔除けや厄除けとして用いられてきました。ヒイラギはギザギザとした葉の形状や冬でも濃い常緑の緑の葉を茂らせている力強い様子から、魔除けに用いられやすかったと考えられます。

そして先の尖ったもの、匂いの強いものを組み合わせたものが、節分飾りに使われている「柊鰯(ヒイラギイワシ)」です。焼いた魚の匂いと煙、さらにヒイラギの尖った葉で、魔の中でも特に鬼を追い払うために誕生した風習だといわれています。

ヒイラギの特徴

常緑の小高木で、古くから魔除けに用いられています。肉厚で光沢のある、深い緑の葉が美しく、縁起のいい植物であることから庭木、公園の植栽に人気です。

魔を追い払う意味があること、さらに実際に触ると痛いトゲがあることから、昔から防犯用の生垣としても用いられてきました。

平安時代には、家の北東にヒイラギの木を、南西にはナンテンの木を植えることで厄除けになると考えられ、よく植えられていたといわれています。正月飾り、節分飾りにも用いられるなど日本文化に関わりが深く、オニヒイラギなどは姿からも和風な印象を強く与える木です。

ヒイラギとセイヨウヒイラギ(西洋柊)の違い

クリスマスツリーに用いられるセイヨウヒイラギはモチノキ科モチノキ属で、モクセイ科モクセイ属のヒイラギとは異なった植物です。

しかし葉の形や色は一見よく似ています。大きな違いは、ヒイラギは黒紫色の実をつけ、セイヨウヒイラギは赤い実をつけることです。

また、葉のつき方もヒイラギは対生(枝の節ごとに2枚ずつ葉をつけること)でセイヨウヒイラギは互生(枝の節ごとに1枚ずつ葉をつけること)です。さらに、セイヨウヒイラギは薄黄色の花を咲かせ、ヒイラギと違ってあまり香りはありません。

ヒイラギはいつの誕生花? 

ヒイラギは2月3日、11月8日、12月7日、12月8日、12月24日、12月25日の誕生花です。

誕生花は古代ギリシャ・ローマ時代に起源をもち、花や植物に神々の神性や神秘的な力が宿ると考えられていたことからはじまっています。

魔除けの木、聖なる木であるヒイラギが誕生花の人は神秘的な人、霊的な感性のある人、または花言葉のような用心深く、先見の明のあるような賢明な人が多いのかもしれません。

ヒイラギは庭に植えてはいけない?その理由とは

ヒイラギを庭に植えてはいけないという意見を聞くことがありますが、それは主にヒイラギの葉にトゲがあり触ると危ないこと、さらにセイヨウヒイラギの実に毒性があることが理由です。

しかしヒイラギは家から魔を追い払う縁起のいい植物とされ、古くから庭木、または生垣として用いられてきました。生垣として使われる際は、触れると危ないそのトゲを活かして防犯目的として使われることもあります。

現在でも庭木や公園などの植栽として一定の人気がありますよ。危険性についても、触れると痛いものの、怪我をしてしまうほどではありません。葉に触れる際に注意すれば、植えても問題はないでしょう。セイヨウヒイラギと違い、ヒイラギの実には毒性がないので安心です。

ヒイラギの代表的な種類

ヒイラギといえばこれを思い浮かべる、緑色の美しい正月飾りのヒイラギはオニヒイラギです。家庭のお庭のカラーリーフや公園や施設の植栽などによく使われるキフクリンヒイラギ、華やかなゴシキヒイラギや葉の丸いマルバヒイラギなど、品種ごとにそれぞれに異なった趣をもっていますよ。

ここからは、ヒイラギの代表的な種類をご紹介します。 

オニヒイラギ

ヒイラギの代表的な品種で、正月飾りのヒイラギによく使われるのがこのオニヒイラギです。花の色は白、または淡いクリーム色で、若木の時には明るい黄緑色の葉をしており、年を経ると濃い緑色になっていきます。開花時期は11月〜12月、樹高は0.8〜2mほどです。

キフクリンヒイラギ 

キフクリンヒイラギ は、葉にクリーム色に近い、黄色い縁取りが入ります。緑一色の他のヒイラギと違い、生垣などに使用するとかなり鮮やかで華やかな印象です。

オニヒイラギなどと比べて純和風のイメージが強くないため、洋風の住宅の庭木、施設の植栽などによく利用されています。

ゴシキヒイラギ(五色ヒイラギ) 

クリーム色、または黄緑色の斑が葉に入っている品種です。

若い葉は赤みを帯びており、成長につれてだんだんと葉の色が変わっていきます。冬場も葉は赤みを帯び、他のヒイラギの品種と同じく11〜12月頃に白い花を咲かせます。華やかなカラーリーフとしても楽しめるでしょう。 

シマヒイラギ 

葉の大きさや形などはオニヒイラギとよく似ています。葉にクリーム色、または黄緑色の覆輪と斑が入っています。やはり新芽の時はやや赤みがかった葉の色をしています。

11〜12月頃に白い花を咲かせ、樹高は1.5mほどです。葉の色から、庭木や生垣などにするとかなり明るい印象になります。 

マルバヒイラギ 

古木になって葉にトゲがなくなったものから品種改良で作り出された園芸種で、若木の頃から名前の通り、トゲのない丸い葉であることが特徴です。

葉は肉厚で、色はヒイラギらしい光沢のある緑です。トゲがないことから柔らかな印象を演出したい時に庭木として利用されています。丸い葉の優しい印象に、白い花を咲かせる様子がとても可憐です。

キッコウヒイラギ(亀甲柊) 

キッコウヒイラギも葉にトゲがないように品種改良された園芸種です。葉の形が亀の甲羅の形のように見え、また葉脈が角ばっていることから甲羅の模様のように見えることが特徴です。葉色は単色の緑で、斑などは入っていません。葉が輪生状につき、青紫色の実をつけます。

ヒイラギの育て方

ヒイラギは丈夫で管理しやすい木です。日なた、日陰、半日陰などの日当たりや土壌の質をあまり問わずに、幅広い条件下でもよく育ちますよ。

しかし乾燥には弱いため、ほどよく湿った土壌、冬の乾いた風の当たらない環境で育てましょう。

成長速度はゆっくりで樹形は自然とまとまるので、剪定の必要もそれほどありません。東北地方などの寒冷地では寒さ対策が必要となります。

置き場所や水やりの頻度など、詳しい育て方について見ていきましょう。 

用土・肥料

水はけがよく、適度に湿った土を用意します。土に湿り気がないとうまく育ちません。さらに肥沃な土を好むため、たい肥や腐葉土を混ぜて腐植質な土を作りましょう。

地植えの場合、肥料はあまり必要としません。冬の終わりの2月、もしくは夏頃に緩効性の化成肥料を与えるか、有機肥料を与えてもいいでしょう。

置き場所 

乾燥や冬の乾いた風に弱いため、冬に寒風が吹きつけない場所に植えます。しかし風通しが悪く蒸れると葉が痛むため、他の季節には適度に風の通る場所が望ましいです。

耐陰性がありますが、元々は日当たりを好みます。半日陰の場が最も適しているでしょう。乾燥に弱いので、日が当たって乾燥するような場所だとうまく育ちません。夏の直射日光による土壌の乾燥には注意が必要です。

水やり 

地植えの場合は根付いて以降は根からしっかりと水分を吸い上げるため、基本的には自然雨に任せます。根付くまではしっかりと水やりをしましょう。

夏場は乾燥しやすいため、乾燥していたらたっぷりと水を与えます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら水やりをしてください。

植え付け・植え替え 

小さな苗のうちは寒さに弱いため、植え付けは暖かくなってきた4月下旬〜5月頃に行います。庭木として地植えで植える場合、腐葉土を混ぜ肥沃な土を作っておきましょう。

苗よりも1回りから2回り大きな穴を掘り、底はシャベルなどで耕しておきます。元肥として緩効性肥料を混ぜ込んでもいいでしょう。腐葉土や元肥などを混ぜ込んだ土を少し穴に戻し、その上に苗を置いて残りの土を被せます。その際は、やや浅めに植えるようにしてください。

そして、たっぷりと水を与えます。鉢植えの場合も、1回りから2回り大きな鉢を用意し、腐植質の多い土と必要に応じて元肥を入れて植え付けをしましょう。

剪定 

ヒイラギは放任して育てても自然と綺麗な樹形になります。混みあいすぎて蒸れるような場合は、枝を間引きましょう。

芽吹く前の3〜4月の春か、秋の10月頃に行います。開花後の12月に軽い剪定を行う場合もありますよ。なお、真冬の剪定は避けてください。

冬の間、ヒイラギを綺麗な形で保ちたいなら冬のはじめまでに剪定を行っておきましょう。

春の剪定では、伸びすぎて飛び出した枝や混みあっている枝を切ります。秋は夏に伸びすぎた枝を少し整える程度の剪定を行いましょう。

しかし、ヒイラギは成長が遅いため、それほど頻繁に剪定をする必要はありません。目安としては年に2回です。芽が出やすく、丈夫で刈り込みによく耐えるため、大きく刈り込んで生垣にすることもできます。

夏の管理方法 

高温の真夏は、ヒイラギは一旦成長を止めます。夏は乾燥しやすいため、水切れに注意しましょう。朝晩の2回たっぷりと水を与えてください。

ヒイラギは夏の高温乾燥が苦手です。土が乾いていないかよく様子を確認して水を与えましょう。

夏の直射日光で葉焼けすることがあるため、半日陰、明るい日陰などで管理します。

冬の管理方法 

ヒイラギの耐寒気温は0℃です。耐寒性があり、関東以南の冬なら問題なく越冬できるでしょう。寒冷地では霜を避けるために半屋内やムロで管理します。

冬場の乾いた風には弱いため、植える時には冬に寒風が吹きつける場を避けて植えてください。冬に一定の寒さに当たると葉が紅葉することがあります。 

増やし方

 挿し木と種で増やします。挿し木の場合は6〜7月の夏に、健康な枝を10cm〜15cm前後切り口が斜めになるように切り、上葉4〜5枚を残して下葉を取り除きます。

そして切った枝の切り口を1〜2時間水につけて水揚げしましょう。

用意した赤玉土や挿し木用の用土に切り口部分を下に枝の3分の1程度土に埋まるようにして植え付けます。植え付けたらたっぷりと水やりをして、湿度が高めに保てるように日陰で管理してください。鉢植えの場合はビニールで包んで湿度を保ってもいいでしょう。

種まきの場合は種から苗床を作りますが、きちんとした苗床に育つまでに2年はかかるため、挿し木がおすすめです。

注意すべき病害虫 

ヒイラギはテントウノミハムシやイモムシによる葉の食害が起こりやすいです。冬の間もヒイラギの木や落ち葉の中で越冬するので、よく対策をして防除、駆除しましょう。

病気では菌によって起こる炭そ病などに注意が必要です。

それぞれの対処法について見ていきましょう。

害虫 

テントウノミハムシ、イモムシがつくと葉を食べてしまいます。テントウノミハムシはテントウムシに似た虫で、ヒイラギによく発生します。5月頃に成虫が、6月からは幼虫が葉を食べ、秋まで続きます。葉を食べられると褐色になり枯れてしまうため、イモムシはピンセットで駆除しましょう。

テントウノミハムシは薬剤で防除・駆除し、秋と冬には落葉の中で越冬することがあるため、落葉は掃除します。

また、枝が混みあい風通しが悪くなるとカイガラムシが発生することも。混みあった枝は剪定しましょう。

病気 

カビによる炭そ病、褐斑病が発生します。

春から秋の湿度の高い季節になりやすく、どちらも葉に褐色の斑点ができ、病気が進行すると灰白色の斑点になっていきます。

予防としては蒸れを防ぐために、混みあった枝の剪定を行い、風通しをよくすることです。放っておくと大きく広がってしまうため、罹患した枝や葉は剪定して取り除き、蔓延を防ぎましょう。

まとめ

ヒイラギは育てやすく、縁起のいい木として日本の文化の中でも長く親しまれてきた植物です。葉に触ると確かに痛いですが、怪我をしてしまうほどではありません。お子さんやペットのいる家庭でも、扱いに気をつければ庭木として育てることが可能ですよ。

和風の印象が強いですが、品種によっては華やかな洋風の雰囲気に仕立てることもできます。幅広い条件下で育つため、一般家庭の庭木としても取り入れやすいのがヒイラギ。お庭にあるだけで、正月や節分などの季節行事の雰囲気も盛り上げてくれるでしょう。

家を守るシンボルツリーとして、ぜひヒイラギを育ててみてはいかがでしょうか。

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