旬の枝もので作るインテリア。花屋で買える種類やお手入れ方法は?

インテリア雑誌やSNSなどでよく見かけるおしゃれなインテリアの写真には、よく枝ものの植物が飾られていますよね。

枝ものは、花瓶などにさっと挿すだけでナチュラルでおしゃれな空間を演出できます。

管理が難しそう……と思われがちですが、実はとても扱いやすく、メリットがたくさんあります。

今回は、枝ものの扱い方やお手入れ方法、人気の種類などをご紹介していきます。

枝ものを飾って、いつもと違う雰囲気を楽しんでみてください。

 

【枝もの】おすすめの飾り方

旬の切り花を飾ると、四季の移ろいをお部屋でも感じることができますよね。

草花はおうち時間を充実させてくれるうえで、とても大切な役割を果たしてくれます。

そして、切り花だけではなく、旬の枝ものも季節を感じられる重要なアイテムです。

枝もの素材をおしゃれに飾れば、お部屋のインテリアがワンランク上になるだけではなく、上質なリラックス空間が生まれますよ。

まずは、枝もののおすすめの飾り方についてご紹介します。

 

家族が集まる場所に飾る

大きな枝ものなどは、大きなフラワーベースに挿して床置きしても、存分に存在感を発揮してくれます。

リビングや寝室など、家族が集まる場所に飾ることで、リラックスタイムを演出してくれるでしょう。

ダイニングテーブルの上に置くと、いつもの夕食が特別感のあるディナー空間に様変わりします。枝ものはさっぱりとしたフォルムで清潔感もありますから、食事の席に置くのも抵抗がありませんね。

椅子の横に無造作に置いてみたり、壁に掛けているタペストリーなどと合わせてみたり、高さのある枝ものだからこそ、飾り方の幅も広がるでしょう。

 

いくつかに分けて飾る

いくつも枝分かれしているようなボリューミーな枝ものを購入したら、いくつかに切り分けてあちこちに飾るのもおすすめです。

一本あたりが小ぶりになることで、可愛らしさが生まれます。花器の大きさに合わせて枝をカットして、棚の上や卓上、トイレや洗面所など、家のあちこちに分けて飾ってみましょう。

 

いちばん人気の枝もの「ドウダンツツジ」

インテリア空間をおしゃれに飾ってくれる枝ものの中でも、いちばん人気のあるのが「ドウダンツツジ」です。

公園などにも植えられているので、馴染み深い植物でもありますね。

夏の枝ものを代表するドウダンツツジは、春から夏にかけて多く出回り、暑さで切り花が日持ちしにくい夏でも、爽やかさを演出してくれますよ。

 

コスパが良く長持ちする

ドウダンツツジは繊細でみずみずしい葉をつけた枝が、動きをつけて広がっていく様子が美しく、デザイン性に大変優れています。しかし、人気の理由はビジュアルだけではありません。

ドウダンツツジは、枝ものの中でも特に長持ちするのです。しっかりお手入れをして生育環境を整えていれば、2週間から1ヶ月持つことも。切り花や他の枝ものと比べるとかなりコストパフォーマンスが良いため、根強い人気を誇っています。

 

購入時期で日持ちが変わる

ただし、枝の購入時期によって、日持ちは異なってきますので注意が必要です。

まだ葉が柔らかい春先は、1週間ほどで萎れてきてしまうこともあります。

ドウダンツツジは6月以降から日持ちが長くなってきますので、6〜8月頃に購入した枝は、2週間以上美しい姿を楽しむことができるでしょう。

秋に差し掛かって葉が赤く色づく頃になると、また日持ちが悪くなってきます。紅葉しているドウダンツツジはとても美しいのですが、切り枝として管理していると3日ほどで落葉してしまうことも。

 

花器の水が汚れづらい

一部の枝ものは、花瓶などに活けていると水がとても汚れやすいものもありますが、ドウダンツツジは汚れにくいことが特徴です。

汚れにくいということは、つまり雑菌が繁殖しづらいということなので、臭いも発生しづらいです。

毎日の水替えの手間が不要であることも、ドウダンツツジが人気の理由のひとつでしょう。

 

春・夏の枝もの

上記でご紹介したドウダンツツジ以外にも、魅力的な枝ものはたくさんあります。

特に、春から夏に旬を迎える枝ものは爽やかで涼しげな彩りを持つものが多いです。

次は、春から夏にかけて出回る、花器にシンプルに活けるだけでもおしゃれに飾れる、みずみずしい枝ものをご紹介しましょう。

 

ユキヤナギ

科・属 バラ科・シモツケ属
和名 雪柳(ゆきやなぎ)
英名 Thunberg’s meadowsweet
学名 Spiraea thunbergii
原産地 中国

「ユキヤナギ」は、公園や道端などで一度は見かけたことのある植物ではないでしょうか。 枝垂れた細い枝先に、白い小花をたっぷりと咲かせる春のお花です。

近づくとほのかに良い香りがするので、卓上など香りを楽しみやすい場所に飾ると良いでしょう。

ユキヤナギの仲間に「コデマリ」という品種があり、こちらも春に咲く花木です。

ユキヤナギは弓なりに花をつけていきますが、コデマリは名前のとおり、手鞠のように小花を球状に集めて咲かせます。

どちらも清楚で可憐な印象のある枝ものなので、ナチュラルな空間作りにおすすめです。

 

オリーブ

科・属 モクセイ科・オリーブ属
和名 オリーブ
英名 Olive
学名 Olea europaea
原産地 地中海地方、中近東、北アフリカ

「オリーブ」は5〜10月頃に多く出回ります。スタイリッシュな樹形で観葉植物としても人気のあるオリーブは、切り枝にしてもおしゃれに飾ることができますよ。

1本だけでシンプルに飾るのも素敵ですし、いくつか束ねて飾るのもおすすめです。どんなテイストのお部屋にも馴染んでくれますよ。

 

アジサイ 

科・属 アジサイ科・アジサイ属
和名 紫陽花(あじさい)
英名 Hydrangea
学名 Hydrangea macrophylla
原産地 日本

近年では母の日のフラワーギフトとして鉢植えで見かける機会が増えた「アジサイ」ですが、切り花や枝ものとしても人気があります。

最近は輸入されるアジサイも増えたので、年間を通して入手できるようになってきていますが、やはり旬の梅雨の時期に購入するのがコストパフォーマンス良く、品質の良い枝を入手できるでしょう。

大輪のものは一輪の切り花で店先に並んでいますが、アジサイの旬である梅雨になると、一本の枝にいくつか花が咲いている枝ものも並び出します。

他の枝ものとの相性も良いので、好みの組み合わせで飾ってみてはいかがでしょうか。

 

カエデ 

科・属 ムクロジ科・カエデ属
和名 槭、槭樹、楓、鶏冠木、蛙手
英名 Maple
学名 Acer
原産地 アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ

「カエデ」は、葉が蛙の手の形に似ているため、蛙手(かえで)と呼ばれるようになりました。

葉に深い切れ込みがあるのが「モミジ」、浅い切れ込みのものを「カエデ」と区別して呼ばれていますが、どちらも植物学的には同じ仲間です。

日本に自生している大半のカエデは、「イタヤカエデ」や「イロハカエデ」になります。

 

紅葉の時期のイメージが強い「カエデ」ですが、夏に見るカエデはみずみずしい緑色が美しく、陽に透けると清涼感があって大変涼やかです。

紅く色づく艶やかな時期とはまた違った印象なので、秋の姿に慣れている方は新鮮な感覚を味わうことができますよ。太陽に透かしたときの透明感は、心まで清々しくなるようです。

 

秋・冬の枝もの

春と夏の枝ものは花が咲き、涼やかなグリーンが印象的なものが多い印象でしたが、秋以降に旬を迎える枝ものは、花よりも「実もの」が増えてきます。赤、黄、橙など、温かみのある実がついた枝ものは、華やかな花ものとはまた違った魅力を味わえますよ。

冬の枝ものはもともと乾燥気味の葉が多いので、ドライにしてスワッグなどを作って楽しめる種類も多いのが特徴です。

ユーカリ

科・属 フトモモ科・ユーカリ属
和名 ユーカリ
英名 Eucalyptus
学名 Eucalyptus
原産地 オーストラリア、タスマニア島、ニュージーランド

シルバーがかった葉がアンティーク感を漂わせ、ドライグリーンとしても人気の高いユーカリは、通年流通していますが涼しくなる秋口から1月頃が多く流通しています。

この時期はまだ生花が少なく春を待ち侘びる時期なので、枝もののユーカリがあるとお部屋が華やかになりますね。

ユーカリはとても良い香りがしますので、何本か購入してまとめて飾り、香りを存分に楽しむのもおすすめです。

枝をフレッシュなまま吊るしておけば、きれいなドライになるので、スワッグとして飾る楽しみ方もできます。ただし、新芽や若い葉が多い初夏のうちにドライにすると、あまりきれいなドライにはなりませんので、ドライ用のユーカリは葉が生長した夏以降に購入しましょう。

丸く厚めの葉を持つ「銀世界」や、笹の葉のようにほっそりとした「笹葉ユーカリ」「ニッコリー」といった品種は、生花店でよく見かけます。

葉を楽しむ以外にも、つぼみを鑑賞する「ユーカリ・ポポラス(ポポラスベリー)」という品種も人気があります。こちらはやや大きなハート型の葉が魅力的で、ベリーと呼ばれているように、実のように見える可愛らしいつぼみが特徴のユーカリです。

つぼみのあるものは「ポポラスベリー」、つぼみのないものは「ユーカリ・ポポラス」「ポポラスリーフ」などの名称で流通していますが、どれも同じ種類です。

 

ヒュウガミズキ

科・属 マンサク科・トサミズキ属
和名 日向水木(ひゅうがみずき)
英名 buttercup winter-hazel
学名 Corylopsis pauciflora
原産地 日本

年末頃から2月頃まで多く流通する「ヒュウガミズキ」は、ハート型の葉がチャーミングな枝ものです。切り花としては「ヒメミズキ」の名称で流通する場合もあります。

お正月の花材としても使用頻度が高く、長く日持ちするのも特徴です。

2月頃になると、淡い黄色の小花がついた枝ものとして多く店先に並びます。枝にたくさん小花が咲き、枝つきも美しいため、一枝だけ買っても満足感がありますよ。

訪れる春を待ち侘びながら、ヒュウガミズキの花を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

アオモジ 

科・属 クスノキ科・ハマビワ属
和名 青文字(あおもじ)、生姜木(しょうがのき)、胡椒木(こしょうのき)、算盤木(そろばんのき)
英名 May chang
学名 Litsea cubeba
原産地 日本、台湾、中国、インドネシア

黄緑色の小ぶりなつぼみが特徴的な「アオモジ」は、先ほどご紹介したヒュウガミズキと同じく、年末から2月頃にかけて出回る枝ものです。小さい粒のようなつぼみがたくさんついている姿は、実がたくさんついているようにも見えますね。

このつぼみを潰してみると、すっきりとした爽やかな香りがします。アオモジの香りは柑橘系でレモンにも似ていて、アロマとしても用いられる人気の香りです。精油としては「メイチャン」「リッツェアクベバ」という名称で販売されています。

つぼみの色は青緑色をしていますが、徐々に黄緑色に変化していくと、苞がはじけるようにしていくつかの花が開いていきます。

 

コットンフラワー

科・属 アオイ科・ワタ属
和名 綿(めん)、綿花(めんか)
英名 cotton flower
学名 Gossypium
原産地 熱帯アフリカ

ふわふわとした綿が顔を覗かせる「コットンフラワー」は、コットン素材の衣類の原材料として使われています。すらりと伸びた枝に5個ほどの実がついており、基本的には生花の状態ではなく、乾燥させたドライの状態で販売されています。

コットンフラワーの花は、アオイ科の仲間であるフヨウやムクゲに似た華やかな花姿で、夏に開花してから秋に実を作り、熟した実がはじけると白い綿毛が現れてきます。これが花のようにも見えるので、和名で「綿花」と呼ばれるようになりました。

 

コットンフラワーの実の種類は、白とブラウン系が流通しています。白と茶色のものが天然の色合いですが、染色されたものも出回っています。希少な色ではグリーン系のコットンフラワーも存在します。

茶色いコットンフラワーをさりげなく飾っておくだけでも、とても温かみを感じさせるナチュラルなインテリアが完成しますね。

綿雪をイメージさせるコットンフラワーは、クリスマスシーズンの飾り物としてとても人気があります。枝ものとして飾るのも良いですが、実だけを摘み取って瓶などに入れて飾るのもおしゃれですよ。

ミツマタ

科・属 ジンチョウゲ科・ミツマタ属
和名 三椏(みつまた)
英名 Oriental paperbush
学名 Edgeworthia chrysantha
原産地 中国、ヒマラヤ

「ミツマタ」は、黄色いポンポンとした丸い花を密集して咲かせます。花からはジンチョウゲ科らしい良い匂いが漂い、やや甘酸っぱい香りです。

この花に見える部分は、萼(がく)が変化したもので、正確には花弁ではありません。どの株も、必ず枝が3つに分かれていることが「三椏(みつまた)」という名前の由来です。

切り花として流通しているものは、乾燥させたドライの状態で販売されています。

皮を剥いたものは「ナチュラル」と呼ばれ、その状態の枝を漂白したものは「晒し」と呼ばれています。漂白された晒しを、金や銀などに染色した枝も多く見かけます。

ドライの状態で販売されているミツマタは、水替えなども要りませんのでインテリアとして長く楽しめるでしょう。

 

ネコヤナギ 

科・属 ヤナギ科・ヤナギ属
和名 猫柳(ねこやなぎ)
英名 Rosegold pussy willow
学名 Salix gracilistyla
原産地 日本

「ネコヤナギ」は銀色のふさふさと揺れる穂が、猫のしっぽのように可愛らしいフォルムで、秋の終わり頃から春にまで店先に並びます。乾燥を苦手とする植物なので、よく水辺に自生しています。

ネコヤナギの特徴的な穂はシルバーがかった色以外にも、ピンクや金色、灰色、黒なども存在しており、品種によって穂の色のバリエーションを楽しめるのも魅力です。

ネコヤナギの種類のひとつでもある「アカメヤナギ」は、赤い皮が穂を覆っていて、つやつやとしているのが特徴的です。年が明ける頃になるとアカメヤナギも皮が剥けて、花穂のみの姿になるので、ネコヤナギの名称で販売されます。

しなやかな枝を持つネコヤナギはリース用の材料として扱いやすいので、お正月のリースなどにもよく使われます。

 

枝もののお手入れ方法

花屋さんで枝ものを購入してきたら、一手間加えてから飾ることで、より長持ちさせることができます。

最後に、枝もののお手入れ方法について見ていきましょう。

 

余分な葉や枝をカットする

枝ものを購入してきたら、まずは余分な枝や葉、花などを剪定しておきましょう。

特に、花器に入れたときに水に浸かる下のほうの葉や枝は取り除いておきましょう。そうすると衛生的に良く、枝が長持ちしてくれます。

先が折れている葉や不格好な枝も、あらかじめ剪定してから飾ることをおすすめします。

 

根元を割る

飾りたい長さに合わせて、枝の長さを調節しましょう。

だいたいの長さを決めてカットしたら、切り口の部分を斜めにカットしておきます。切り口を大きくすることで水を吸いやすくするためです。

切り花の茎と違い、枝ものは硬くてなかなか水を吸収しにくいので、購入後の処理が必要なのです。

斜めにカットしたら、次は茎先を半分に切り分けるようにして、切り込みを入れます。太い枝ものは十字に切り込みを入れましょう。この手間を加えるだけで、買ってきた枝ものがきれいな状態で長持ちしてくれますよ。

枝ものは切り花と比べると、枝が硬いため花バサミや枝切りハサミなど、園芸用のものを使用すると良いでしょう。

また、枝先の水を吸収しやすくするには、根元の表面を削ぐのも効果的です。ナイフなどの刃物で、野菜の皮を剥くようにするイメージで行うと上手く削れますよ。

ドウダンツツジやカエデなどの枝ものは水を吸い上げにくいので、根元を割る前に表面を削いでおくのも効果的です。

 

置き場所

枝ものは、風通しが良い、直射日光や強すぎる日光が当たらない所に飾って楽しみましょう。完全な日陰ではなく、適度に明るい場所だと長持ちしやすいです。

また、風当たりが強い場所や、冷暖房の近く、エアコンの風が直接当たるような場所も避けて置いてください。乾燥によって水分が蒸発してしまい、持ちが短くなってしまいます。

 

水の量と水換え

枝ものを花器に生けるときは、なるべく枝と水の触れる面積が少なくなるよう、少なめに入れておくと水を清潔に保ちやすくなります。ただし、大ぶりの枝ものを飾るときには、水の量が少なすぎると器が安定せずに転倒してしまう可能性もあるため、水の量で適宜調整してください。枝ものは水の減りが早いので、多く入れても問題ありません。

切り花などにも用いる延命剤や鮮度保持剤を使用すると、持ちが長くなります。つぼみがついている枝ものなどは、開花には多くのエネルギーを必要としますので、薬剤によって栄養を助けてあげると花が咲きやすいでしょう。

水が汚れにくい枝ものですが、菌は繁殖するので2〜3日に1回のペースで水換えを行なってください。夏季の高温になる時期は特に雑菌の繁殖しやすい時期ですので、目視で水が汚れているようならこまめに取り替えましょう。

雑菌が増えていくと枝の切り口から水を吸収する力がだんだん弱くなっていってしまうので、水を清潔に保つことが何よりも大切です。

 

こまめに葉を剪定する

葉が乾燥してシワシワになっていたり、パリパリしていたりしたら、その葉がついている枝を剪定して切り落としましょう。他のまだ元気な枝へ栄養を行き渡らせやすくすることで、枝全体の長持ちに繋がります。

毎日観察して、終わってしまいそうな葉を見つけたら、こまめな剪定を行いましょう。

 

まとめ

今回は、お花屋さんで買える枝ものについて、人気の種類やおすすめの種類、お手入れ方法や飾り方のコツをご紹介してきました。

長持ちしやすい枝ものは、さっと飾るだけでおしゃれなインテリア作りが叶います。

シンプルに単体で飾るのも良いですし、お花と一緒に飾ることで違った表情が生まれますよ。

旬の枝ものをお部屋に取り入れて、室内でも四季の移ろいを感じてみてくださいね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?