4月にはどんな花が咲く?見頃の樹木や草花を紹介

桜前線が日本列島を渡り、各地に春の訪れを感じさせる4月。春らしさを感じさせる定番の花以外にも、さまざまな花が街中を彩ります。

この記事では、4月に咲く花の種類を、樹木・草花・野草の3つのカテゴリに分けてご紹介していきます。街中で多く見かける樹木の名前や、生花店に並ぶ花など、4月に咲く花の名前が分かるようになりますよ。

 

4月が見頃の樹木

4月は樹木も美しい花を咲かせる季節です。桜が代表的な樹木ですが、他にも見逃せない魅力的な樹木があります。

まずは、4月に見頃を迎える樹木から紹介していきましょう。

公園の中や街路樹など、道行く中であちこちに見かけるおなじみの樹木をピックアップしてみました。

 

サクラ

科・属 バラ科・サクラ属
和名 桜(さくら)
英名 Cherry blossom
学名 Cerasus
原産地 日本、中国、ヨーロッパ他
花言葉 「精神美」「優美な女性」「純潔」「私を忘れないで」

日本を代表する樹木のひとつであるサクラは、日本の文化や美意識を象徴する存在として愛されています。戦国時代には、数多の武将たちから美しいサクラを嗜むことが高貴な趣味だとされていました。

3月から4月にかけて、桜前線とともに日本全国を春色に彩っていきます。日本の各地に多くのサクラの品種があり、春には多くの人々が花見に出かけ、春の訪れを喜びながら花の美しさを堪能しています。

ドウダンツツジ

科・属 ツツジ科・ドウダンツツジ属
和名 灯台躑躅、満点星躑躅(どうだんつつじ)
英名 Enkianthus, Dodan-tsutsuji
学名 Enkianthus perulatus
原産地 日本
花言葉 「上品」「節制」「返礼」「素直な告白」

鮮やかな色彩の花を咲かせるドウダンツツジは、多くの人々に愛される樹木です。

4月から5月にかけて、鮮やかなピンク色や淡い朱色の花が枝いっぱいに咲き誇ります。小さく細かい花弁が総状花序に密集して咲き、約2週間の花期で春の庭を華やかに彩ります。ドウダンツツジは日本の古典文学にも登場する植物で、和歌や古典演劇などに頻繁に登場しています。

 

ハナミズキ

科・属 ミズキ科・サンシュユ属(ヤマボウシ属)
和名 花水木(はなみずき)
英名 Flowering dogwood
学名 Cornus florida
原産地 北アメリカ
花言葉 「返礼」「永続性」「私の思いを受けてください」

4月に美しい花を咲かせるハナミズキの花は、淡いピンク色の花弁に白い中心部があり、その組み合わせが優雅で美しい印象を与えています。花びらの縁はレースのように細かく波打っていて、花径5〜8cmほどの花が枝先に集まって咲きます。

漢字では「花水木」と表記しますが、これは花が咲くミズキ科の樹木であることから名付けられました。古くから庭園や公園で観賞用に栽培され、日本の伝統的な風景を形作る樹木として愛されています。その優美な姿と、淡く憂いのある姿から、詩や文学、絵画などにも多く登場する、文学人やアーティストにも愛される樹木です。

 

モクレン

科・属 モクレン科・モクレン属
和名 木蓮(もくれん)
英名 Mulan magnolia
学名 Magnolia liliiflora, Magnolia quinquepeta
原産地 中国
花言葉 「自然への愛」「崇高」「持続性」

モクレンはモクレン科の落葉高木で、4月頃にピンクや白い花を咲かせます。中国から渡来して江戸時代に広まりました。

木蓮の花は、5枚の花弁を持つ特徴的な形状で、花弁が開く前に花芽が紅色に染まります。花の中心には、黄色い雄蕊と蜜腺があり、春の虫たちが美味しい蜜を吸おうと花に集まってきます。散り際の姿も美しく、庭木や公園の樹木としても人気です。

古い日本では武士や貴族の庭園に植えられ、華やかさと高貴さを象徴する木として親しまれてきました。多くの文学作品や絵画などにも登場しています。

 

モッコウバラ

科・属 バラ科・バラ属
和名 木香薔薇(もっこうばら)
英名 banksia rose
学名 Rosa banksiae
原産地 中国
花言葉 「純潔」「初恋」「素朴な美」

モッコウバラは、バラ科のつる性植物です。4月になると淡い黄色や白色の花を咲かせ、美しい香りを放ちます。

香り豊かな花や、つるが伸びるのがとても速く、1日で30cm以上成長することもあるほどです。花期が長く、4月から5月まで1ヶ月以上咲き続けるのもモッコウバラの魅力のひとつです。

その香りの良さと花期の長さから、庭や公園などに好んで栽培されている植物です。つる性の特徴を活かして、壁面や柱に這わせ、ガーデンを美しく彩る役割も果たします。

 

ユキヤナギ

科・属 バラ科・シモツケ属
和名 雪柳(ゆきやなぎ)
英名 Thunberg’s meadowsweet
学名 Spiraea thunbergii
原産地 中国
花言葉 「愛嬌」「愛らしさ」

ユキヤナギは、ヤナギ科ユキヤナギ属の落葉高木で、4月頃に白い花を咲かせます。比較的育てやすく栽培しやすいことから、庭木や街路樹として植えられることが多く、花が咲く季節には、滝のように垂れる美しい白い花を見られます。

細かな鋸歯状の葉も美しく、秋には黄色や赤色に色づいて通年楽しめるのも魅力です。ユキヤナギは、古くから和歌や俳句の題材としても愛されており、春の訪れを告げる花としても親しまれています。

 

4月が見頃の草花

4月は春の訪れを告げる花々が色鮮やかに咲き誇る季節です。桜やチューリップ、藤など有名な花々が多く知られていますが、実はそれ以外にも魅力的な草花が数多く存在します。

淡い色が美しいハナニラや、繊細で儚げなルピナス、野性味溢れるカラスノエンドウなど、個性豊かな花々が4月には見頃を迎えますよ。

また、春の陽気に誘われて勢いよく伸びるホトケノザや、芝生のように美しく広がる芝桜など、見た目も楽しめる草花も魅力的です。

 

シバザクラ

科・属 ハナシノブ科・フロックス属
和名 芝桜(しばざくら)
英名 moss phlox
学名 Phlox subulata
原産地 北アメリカ
花言葉 「合意」「一致」「忍耐」「希望」

シバザクラは4月から5月にかけて、地面を覆うようにして紅や白、ピンクなどの色鮮やかな花を咲かせます。日本では主に関東地方から四国地方にかけて自生しています。

芝生のように地面を覆って咲く花の姿と、花の形がサクラに似ている様子から名付けられました。

シバザクラは丈夫な性質で手入れが簡単であるため、庭のグランドカバーや、公園、斜面の緑化などのさまざまな場所で栽培されています。シバザクラの群生地は絶景で、咲く時期が桜と重なることから「地面の桜」とも呼ばれ、桜とともに日本の春の風物詩のひとつです。

 

ナデシコ

科・属 ナデシコ科・ナデシコ属
和名 撫子(なでしこ)
英名 Dianths, Gillyflower
学名 Dianthus superbus
原産地 アジア、ヨーロッパ、北米、アフリカ
花言葉 「清純」「愛情」「無邪気」「深い思いやり」「若さ」「純潔」

ナデシコは、ユリ科ナデシコ属に属する多年草で、4月から6月頃にかけて花を咲かせます。咲き方は一重咲きや八重咲き、花色は淡いピンク色や白色を中心に、赤や紫、黄色などのさまざまな色があります。

古くから日本では「女性の象徴」とされ、歌や文学作品にも多く登場します。付けられている花言葉も「清純」「愛情」「深い思いやり」「若さ」「純潔」など、どことなく女性らしさを感じさせますね。

ナデシコは、食べられる花「エディブルフラワー」として、ビタミンやミネラル、カルシウムなどが豊富に含まれる栄養豊富な食材でもあります。

 

菜の花

科・属 アブラナ科・アブラナ属
和名 菜の花・菜花(なのはな)、花菜(はなな)、菜花(なばな)
英名 Turnip rape, Chinese colza
学名 Brassica napus, Brassica rapa var.nippo-oleifera
原産地 地中海沿岸、東アジア、北ヨーロッパ
花言葉 「快活」「明るさ」

菜の花(なのはな)は、春の季節に黄色い花を咲かせ、田畑や路傍などを明るいイエローで眩しく彩ります。花は4枚の花弁と4本の雄しべからなり、花径は2cm程度の小さな花が密集しています。茎や葉も淡い緑色が美しく、春らしい豊かな景色を演出します。

食用としても栄養価が高く、サラダや天ぷら、炒め物などに利用されます。ハチやチョウなどの昆虫たちにとっても大切な花です。

春の風物詩として欠かせない存在である菜の花は、数多くの歌や作品にも登場しますが、中でも江戸時代の歌人・松尾芭蕉が「菜の花や月は東に日は西に」と詠んだ句は有名です。

 

ポピー

科・属 ケシ科・ケシ属
和名 雛罌粟・雛芥子(ひなげし)、虞美人草(ぐびじんそう)
英名 Papaver
学名 Papaver rhoeas
原産地 北アメリカ
花言葉 「思いやり」「慰め」「いたわり」「陽気で優しい」「恋の予感」

ポピーは春から初夏にかけて、野原や畑などで見ることができます。赤やピンク、白、オレンジなどの色鮮やかな花を咲かせ、カラフルで美しい姿が魅力です。

また、ポピーには鎮痛効果があるとされ、古くから痛みや不眠症などの治療に用いられてきました。種子からはオピオイド系の鎮痛剤・モルヒネが抽出されます。カリフォルニア州ではポピーが州花とされ、毎年4月6日はポピーの日として祝われています。

 

ルピナス

科・属 マメ科・ハウチワマメ属
和名 登藤(のぼりふじ)、逆さ藤(さかさふじ)、立ち藤(たちふじ)、葉団扇豆(はうちわまめ)
英名 Lupine
学名 Lupinus
原産地 北アメリカ西部
花言葉 「想像力」「いつも幸せ」「あなたは私の安らぎ」「貪欲」

ルピナスは、マメ科の多年草で、春から夏にかけて花を咲かせます。特徴的な蝶形の花が群生する様子は、見る人を魅了します。ルピナスはさまざまな花色があり、ピンクや赤、紫、青、白などバリエーションが豊富です。

花が咲き終わった後には、豆のような実をつけます。花が終わった後に花茎を切り戻しておくと、秋にも再び花を咲かせてくれますよ。庭先やベランダでも育てられるので、さまざまな花色のルピナスの栽培を楽しんでみてはいかがでしょうか。 

 

4月が見頃の野草

4月は野原や道端に咲く野草や、雑草でさえも美しく感じられる季節です。一見するとただの雑草ですが、よく観察すると美しい花々を咲かせてます。

人間の手を借りずに、自然の中で力強く生きる植物たちからは、生き抜くたくましさや生命力を感じますね。植物の生命力が一段と強まって、自然の美しさを感じられるのが4月の魅力です。

 

オオイヌノフグリ

科・属 オオバコ科・クワガタソウ属
和名 瑠璃唐草(るりからくさ)
英名 Veronica persica
学名 Veronica persica
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「忠実」「信頼」「清らか」

オオイヌノフグリは、春から初夏にかけて可愛らしい青色の小花を咲かせます。草原や山地などに自生し、花の色は青の他にも白やピンク、紫などがあります。

花は鐘型で先が尖った形をしていて、ネモフィラをミニチュアサイズにしたような花の形です。中央には淡い色合いの斑点があり、そこから淡い色の線が走ります。葉は細長く、互い違いに生えていて、根茎には滋養や強壮作用があるため、古くから薬用植物としても使われました。かゆみや肝臓の病気、咳に対しても効能があり、民間療法にも利用されてきました。

 

カラスノエンドウ

科・属 マメ科・ソラマメ属
和名 烏野豌豆(からすのえんどう)
英名 garden vetch
学名 Vicia sativa
原産地 地中海沿岸
花言葉 「小さな恋人たち」「喜びの訪れ」「未来の幸せ」

カラスノエンドウは、春から初夏にかけて、青紫や白、ピンク色などの多彩な花を、道端や公園、山地などに咲かせます。花の形が独特で、細長く伸びた筒状の部分があり、その中に5つの花弁が覆い被さっています。

花弁は細長く先が尖って、花の中央には黄色い斑点があります。花が咲き終わるとエンドウ豆のような種子を付け、鞘が真っ黒に熟します。この真っ黒い状態がカラス色のようなので、カラスノエンドウと名付けられました。 

日本全国に分布しているカラスノエンドウには、葉や根にイソフラボンが含まれており、女性の美容や健康にも役立つとされ、漢方薬やサプリメントの原料にもなっています。

 

スミレ

科・属 スミレ科・スミレ属
和名 菫(すみれ)、相撲取草(すもうとりくさ)
英名 Violet
学名 Viora mandshurica
原産地 温帯~暖帯
花言葉 「誠実」「謙虚」「小さな幸せ」

スミレは春から初夏にかけて、紫色の美しい小さな花を咲かせます。日本やヨーロッパ、北アメリカなど、世界中の温帯地域に広く自生しており、淡紫色の優美な花姿や爽やかな香りで多くの人々に親しまれています。

花の色には、淡い紫色から濃い紫色まで豊富な色合いがあります。花の形は、5枚の花弁がくるりと反り返って、中央に黄色い斑点があります。ほのかに甘く、爽やかな香りがあるお花です。

スミレは優雅で清楚なイメージから、古くから雅な花として愛されてきました。和歌や俳句などの文学作品にも登場し、春の季語としても知られています。

また、薬用として抗炎症作用や利尿作用などを持つことも有名です。

 

ハナニラ

科・属 ネギ科・ハナニラ属
和名 花韮(はなにら)
英名 Spring starflower
学名 Ipheion uniflorum
原産地 南アメリカ
花言葉 「悲しい別れ」「耐える愛」

ハナニラは、6枚の花弁が放射状に広がっています。花弁は白色で、中央に淡いピンク色の模様が入っているものもあります。花弁の中央には、黄色い葯や赤い柱頭が並び、美しい色合いです。

葉は細長い形状で、茎に互い違いについています。葉は深緑色で、葉脈がくっきりと浮き出ていて、ネギの仲間である「韮(ニラ)」のような葉をつけて花を咲かせることから、「花韮(はなにら)」と名付けられました。

葉や花茎、根茎などは、食用や薬用としても使えます。また、花が白く清楚なイメージがあり、英語圏では、星形の花を春先に咲かせることから、「Spring starflower(スプリング スターフラワー)」という素敵な名前で呼ばれています。

 

ホトケノザ

科・属 シソ科・オドリコソウ属
和名 仏の座(ほとけのざ)、三階草(さんがいぐさ)
英名 henbit
学名 Lamium amplexicaule
原産地 ユーラシア大陸
花言葉 「調和」「輝く心」

ホトケノザは、春になると日本各地で白やピンク色の可憐な花を咲かせます。花弁が5枚に分かれ、線形で細長い形状をしています。花の中央には、黄色い管状の花弁が集まった筒状花があり、雄しべが5本、雌しべが1本ついています。花径は約2cmで、白色やピンク色の花が多く、中には赤や紫色のものもあります。

葉は広卵形で縁が粗く、上部が切れ込んでいます。草丈は30〜50cmほどで、茎が立ち上がって花をつけます。花の下にある葉が、仏教において仏様が座る台座に似ていることから、「仏の座(ほとけのざ)」と名付けられました。他にも、葉が段状に付いている姿から「三階草(さんがいぐさ)」の和名も持っています。

 

まとめ

今回は、4月に見頃を迎える樹木や草花について、それぞれの特長や花言葉などをご紹介してきました。

ぽかぽかと暖かい日和が増えて、散歩の足取りも軽くなる4月には、ぜひ街中や公園のあちこちの草花や樹木に目を向けて歩いてみてください。

「よく見かけるけれど何て名前の花だったかな?」と思い出せない人は、この記事を読んでから街を歩けば、花の姿と名前が一致して、散歩がますます楽しくなるかもしれませんよ。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?