ナデシコ(撫子)の花言葉は怖い?花言葉や育て方などをご紹介

ナデシコは、日本では古くから愛されてきた花です。薄いピンクの五枚の花弁と、花弁の先がふわふわとした不思議な形が特徴的で、花の期間もかなり長く楽しめます。秋の七草の一つでもあるナデシコ。春の七草とは違い、見て楽しむ秋の七草の一つに数えられているのであれば、その見た目の可憐さは折り紙付きですね。

日本だけではなく西洋にも似た種類が分布しているナデシコ。そんな知っているようで知らないナデシコのあれこれについてご紹介いたします。 

ナデシコ(撫子)の色ごとの花言葉

ふわふわとした花びらから繊細さやはかなさといったイメージを受けるナデシコ。一般的な花言葉は、「純愛」や「貞節」「無邪気」が当てられています。どれも女性や子供に似合う素直なかわいらしい言葉ですね。一方英語では「boldness」、大胆、という言葉が当てられています。同じ花でも国によってかなり感じている印象が変わるのは面白いですね。

また、色によっても花言葉が異なるので、詳しくご紹介します。

 

赤:純粋で燃えるような愛

赤いナデシコには、「純粋で燃えるような愛」という花言葉が込められています。オペラで有名なカルメンのドレスのように華やかな赤色をしていることが花言葉の由来です。日本でも海外から入ってきたこの花言葉が用いられています。

 

ピンク:純粋な愛、純愛

ナデシコの代表的な色でもあるピンクには「純粋な愛」「純愛」の花言葉が込められています。繊細で一途な愛を表している見た目が花言葉の由来です。また、ピンク色は柔らかい女性的な色として捉えられることが多いので、女性へのギフトにも向いています。 

白:器用、才能

日本だけでなく西洋でも愛されているナデシコ。学名には「ゼウスの花」といった意味が当てられています。ギリシャ神話における全知全能の神ゼウス。花言葉がどこからきたか、は実は定かではありませんが、ゼウスの花は器用で才能に満ちていることから、ゼウスをイメージさせる白に「器用」「才能」という花言葉が込められたという説があります。 

ナデシコ(撫子)の花言葉に怖い意味はある?

ナデシコの花言葉に怖い意味はありません。しかし日本では「やまとなでしこ」という言葉があることから、「強い女性」を連想させるため、どこかで「怖い」に繋がってしまったのでしょう。また、「やまとなでしこ」から連想する女性の姿が、長い黒髪であることから、「幽霊」が連想されたという説もあります。

これらはあくまで「連想」であり、真実ではないので安心してナデシコの花を贈ると良いでしょう。

ナデシコ(撫子)の基本情報

ナデシコ科
ナデシコ属
和名 カワラナデシコ
英名 Dianths、Gillyflower、Pink
学名 Dianthus superbus var.longicalycinus
原産地 東アジア

ナデシコはカワラナデシコの和名、またはナデシコ属の植物の総称として扱われます。今回はカワラナデシコについてのデータをまとめました。英名で使われているのはどちらもナデシコ属の総称、あるいは香りのある華やかな花全般を指す言葉でもあります。また、英名である「Pink」で一つのナデシコを指すこともあります。

日本語のナデシコは、花をかわいい子供に見立て「撫でたいくらいかわいい」、撫でし子、から変化したという説が有力です。

 

ナデシコ(撫子)の特徴

ナデシコは秋に咲くお花の中でも代表的な品種です。現在育てられている園芸種は数ヶ月に一度花を咲かせてくれる種類もあり、長く楽しめる花となっています。切り花として売られていることも多く、身近な花の一つです。ヨーロッパ原産のナデシコなどは、春に楽しめる種類もあります。

あまり集中して見ることはありませんが、細く尖った葉をしているのも特徴的です。ナデシコ属は広いため葉の形も違う物もありますが、日本のナデシコは細く柔らかい、けれど尖った葉の形をしており、花を邪魔しない緑も美しさの一端を担っています。

 

ナデシコ(撫子)はいつの誕生花?

ナデシコの誕生花は以下の通りです。

  • 7月14日
  • 7月22日
  • 7月28日

ナデシコの誕生花は、夏に差し掛かった7月が中心になっています。細かくナデシコの品種を分けると、誕生花として決められている日は、4月25日や6月10日、5月29日が追加されます。 

ナデシコ(撫子)の種類

ナデシコの品種改良は江戸時代から盛んに行われており、現在は300を越える品種が流通しています。実は母の日に定番のカーネーションも、ナデシコから作られたお花なんです。そんな今もどんどん増え続けているナデシコの種類ですが、ここでは代表的な何種類かをご紹介します。 

定番の「カワラナデシコ(ヤマトナデシコ)」

ヤマトナデシコ、という言葉は元々中国から来た「カラナデシコ」と区別するために呼ばれるようになった名前で、学術的にはカワラナデシコの名が使われます。そんな定番のカワラナデシコはピンクや白のかわいらしいお花が特徴的です。その名の通り川原に生えていたためカワラ、という文字が付けられました。このカワラナデシコの色は「撫子色」としても親しまれており、やはり一番ベーシックな色は淡く落ち着いたピンク色です。 

花色が豊富な「テルスター」

四季咲きのセキチクとヒゲナデシコの交配品種であるテルスター。カラーバリエーションが豊富なのが特徴で、「白」「赤」「ピンク」「花びらの淵だけが白い赤」など、さまざまなカラーバリエーションがあります。また、ヒゲナデシコの華やかさや強さと、一年間に何度も咲くことが出来るという特徴を兼ね備えたお花です。

花が終わったら地面から15㎝くらいのところでばっさりと切って、次の生長を待つことができます。また、枯れるまで放置しておけば種が採取できるので、一から育てることもできるでしょう。

開花時期の長い「セキチク(石竹)」

平安時代に中国から渡ってきた品種で、カワラナデシコをヤマトナデシコと呼び分けるようになったのがこの種類です。葉が竹の葉に似ていることが「セキチク(石竹)」の由来となります。ヤマトナデシコが細い花びらをしているのに比べ、一枚一枚が大きく、より華やかな印象を受けます。江戸時代にこの改良種「トコナツ」が流行ったことにより、ナデシコの品種改良が大きく進んだため、ナデシコを語る上では外すことの出来ない種類です。

ヨーロッパ原産の「ヒゲナデシコ」

ビジョナデシコやアメリカナデシコとも呼ばれる南ヨーロッパや、バルカン半島が原産地の植物です。花と花の間に蕾を守る苞、と呼ばれる葉が細く伸びており、ヒゲのように見えることからこの名前がつけられました。スイート ウィリアム(sweet William)と呼ばれることもあるようです。ヤマトナデシコと異なり華やかな色と一輪一輪ではなく、密集して咲くのが特徴的で、春に咲いてくれる種類です。

江戸時代から人気「伊勢ナデシコ」

伊勢ナデシコは、セキチクが渡来してから、場所が変わるうちに変異したとも言われるミステリアスな品種です。見た目は、柳のように花びらが長く垂れ下がっています。。大阪撫子や御所撫子とも呼ばれます。花びらはまっすぐ下に垂れ下がるため、自力で開くことができずに髪を梳かすように爪楊枝などで整えてやる必要があります。

園芸品種の交配親「タツタナデシコ」

タツタナデシコはヨーロッパ原産の種類です。蛇の目のように中心の色が違っていたり、バニラのように甘い香りがする特徴があります。春に咲いてくれるタツタナデシコは、日本にも根付いているほど強い種で、園芸品種の親としても使われます。先程も少し述べましたが、タツタナデシコはカーネーションを生み出した品種なんです。色も豊富で、ピンクで中心が濃い赤であったり、白や赤いタツタナデシコもあります。 

ナデシコ(撫子)の育て方

ナデシコは丈夫で育てやすい植物なので、初心者でもおすすめです。しかし、高温多湿には弱いので、なるべく注意して育てる必要があるでしょう。ほかにも、上手に育てるために注意していかなければいけないポイントがあるので、詳しくご紹介します。 

植え付け

ナデシコはしっかりと根を張る植物なので、なるべく広い場所に植え付けをしてあげると良いです。地植えが向いていますが、鉢植えでも育てることができます。鉢には鉢底石を四分の一ほど入れて、枯れた下草を取ってあげてから、土と一緒に入れてあげてください。地植えの場合は、育てられる数の目安は品種によって異なるので注意が必要です。基本的には大きく育った時に株同士がぶつからないよう、最低20㎝は間を開けて植えてあげましょう。 

置き場所

ナデシコは日光を好み湿気を嫌う植物です。そのため、良く日が当たる風通しの良い場所で育ててあげるとよいでしょう。地植えの場合は、水はけのよい土を選ぶのが良いかもしれません。ナデシコは寒さにある程度強いですが、暑い時期の湿度や気温には弱いです。木のように時間が経てば強くなるわけではなく、古株になるほど衰えていくので、一年間しか楽しむことができない品種もあります。1年を通して育てていく上で環境はどんどん変わっていくので、ナデシコにとって好条件を保てない場合は、鉢植えを使って季節ごとに場所を変えていくことをおすすめします。

水やり

多少の乾燥には強いので、基本は土が乾いたら鉢底から水が溢れるほどたっぷりやるのが良いです。葉や花に水がかからないように地面の近くから水をやるようにしましょう。

湿度が高いと枯れてしまうことがあるので、土の表面が乾いてからでも大丈夫です。しかし、品種によっては乾きすぎると、下についた葉が枯れてきてしまう場合もあるので注意しましょう。

 用土・肥料

土はできるだけ水はけが良いものを使いましょう。自分で配合するなら、赤玉土:腐葉土が7:3になるように混ぜたものに、山砂や鹿沼土を3割ほど混ぜたものがおすすめです。購入する場合は草花用の培養土で構いません。

肥料は、遅効性の置き肥あげると花をたくさんさかせてくれます。月3回ほどの液肥でも大丈夫です。四季咲きの品種は、肥料が切れてしまうと花がつきづらくなるので、こまめに肥料を与えましょう。

 植え替え

ナデシコは細かい根っこがびっしりと張るので、1年に1度の植え替えがおすすめです。植え替えに適した時期は、3〜5月か9〜10月の涼しい時期が良いでしょう。根っこをほぐしてあげて一回り大きな鉢と新しい土に植え直します。

とはいえ、何年も植え替えを繰り返しながら育てると、ナデシコはどんどん弱ってしまいます。植え替えにこだわらずに、毎年新しいナデシコを育てていくのも良いでしょう。

夏越し

ナデシコは高温多湿が苦手な植物です。そのため、夏の間は風通しの良い日陰においてあげるのが良いでしょう。完全な日陰に置いてしまうと育ちが悪くなるので、明るい半日陰が好ましいです。また、水やりのタイミングも重要です。日中にあげてしまうと、直射日光で土の中が蒸されてしまい、根が弱ってしまう原因になります。鉢の表面が乾いたタイミングで朝か夕方以降の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。

鉢の場合はアスファルトの上に直接置くのではなく、スノコやレンガの上にワンクッション置いてあげると、アスファルトの暑さを回避できるので良いです。

酷暑で弱ってしまい秋に開花できないこともありますが、大切にしてあげればまた春に花を咲かせてくれますよ。また、五月以降に切り戻しを行うことで、風通しを良く夏越しさせてあげることもできるでしょう。

冬越し

ナデシコは冬になると、冬眠期に入って生長を止めます。緑の葉のまま眠ってしまうので、冬でもきれいな見た目を楽しむことが可能です。また、気温が高くなれば元気になるので、冬の間は水と肥料を控えめにあげながら、のんびりと見守ってあげてください。鉢で育てている場合は、春になったら植え替えをしてあげると良いでしょう。

ちょっとした霜や冷たい風程度でしたら問題ありませんが、株が小さなままの場合は霜や風が避けられる場所においてあげた方が安心です。 

ナデシコ(撫子)を育てる際に注意すべき病害虫

ナデシコを育てていく上で注意したいポイントは以下の通りです。

  • 病気
  • 害虫

それぞれを詳しく解説します。

病気

ナデシコは「立枯病」にかかりやすいです。立枯病は土から感染する病気で、根っこや地面の近くの茎から感染します。最初に根っこがやられてしまうため、しおれてきてしまい、徐々に下葉、茎と茶色く変色する症状が見られます。

病気の原因は細菌です。防除方法として、春・秋の植え付け前に土壌消毒をすることが効果的ですが、色々な植物が植わっている庭では難しいかも知れません。同じ土を使わないといったことで、ある程度避けることもできます。病気になってしまったナデシコは、挿入に処分するのが効果的です。

害虫

ナデシコに付きやすい代表的な虫は「アブラムシ」と「ヨトウムシ」です。

アブラムシは、若芽や茎に取り付いて植物の汁を吸う虫で、水分をとられた植物は弱ってしまいます。また、ウイルス病を媒介する場合もあり、ほかの植物も病気になってしまう可能性も考えられるでしょう。アブラムシはたくさん増える特徴を持っているため、見つけ次第の早めの対策が必要です。

粘着力の弱いテープで取り除いたり、歯ブラシなどを利用し優しく取り除くのが良いでしょう。市販のアブラムシ用の殺虫剤や忌避剤もあるので、それを利用するのも良いかも知れません。化学薬品を使うのが嫌な場合は木酢液やニームオイルを使用するのもおすすめです。

ヨトウムシは、葉っぱを食べる芋虫です。小さな頃は密集して葉の裏にいますが、大きくなるにつれ夜に行動するようになり厄介な害虫と言えるでしょう。食欲が旺盛のため、数日で葉っぱが食い荒らされてしまうこともあります。1ヶ月ほどでサナギになり、土の中で過ごした後出てくるのが蛾というのも忌避感が増すようです。

まとまっているうちに駆除できるのが一番ですが、大きくなってしまってからの場合は、被害を受けている植物の根元の土に埋まっていることが多いので掘り起こして駆除しましょう。殺虫剤を利用するのもおすすめです。

ナデシコ(撫子)を贈るのにおすすめのシーン

鉢のナデシコは母の日の贈り物に、ガーデニング好きの方への感謝のために贈るのがおすすめです。鉢に一株植わっている慎ましいものなら、カワラナデシコ、大きな鉢に寄せ植えしてあるようなものならヒゲナデシコが良いでしょう。ガーデニングが好きな人に送るのであれば、テルスターやタツタナデシコもおすすめです。

切り花もありますので、花言葉を参考にしながら色々なシーンに贈ると良いでしょう。

まとめ

古くから沢山の人に愛されているナデシコ。品種改良など手を加えられている種類も多く、日本の気候でも育てやすいです。ただし、夏の多湿にだけは気をつけてあげましょう。

自分で育てることもできますが、贈り物としてもふさわしいです。ぜひ大切な人へ送ってみてくださいね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?