【クワズイモの育て方】植え付けからトラブルの対処法まで解説

クワズイモという植物をご存じでしょうか?イモの先端部分がシュッと土から顔を出して、そこからいくつもの枝を伸ばし、大きな葉を広げる植物です。こうした様子は、どの植物にもない特徴で、何とも可愛らしい感じがします。

また、南国風インテリアの一部としてだけではなく、ボタニカルな雰囲気にベストマッチな植物としても人気を集めています。

そんなクワズイモは、コツを押さえて上手に育ててあげれば、増やしたり花を咲かせたりすることも可能な観葉植物です。

本記事ではクワズイモの育て方や、よくあるトラブルと対処法など詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてくださいね。

クワズイモとは?

植物名 クワズイモ
学名 Alocasia odora
別名 ロカシア、アローカシア
科名 サトイモ科
属名 クワズイモ属
原産地 中国、台湾、インド~東南アジア、日本南部、オーストラリア
分類 多年草
樹高 10~200cm

クワズイモは中国や台湾、インドなど亜熱帯地域を原産とする植物です。育成適温は25℃前後と温かい環境を好み、寒さには弱い特徴があります。

日本は冬の時期に寒さが厳しくなる地方もありますが、屋内であれば環境を整えやすく、元気に育てることが可能です。クワズイモの大きな葉を広げる姿はインパクトがあり、お部屋をおしゃれに見せるインテリアアイテムとしても一役買ってくれるため、人気のある観葉植物の一つとなっています。

【クワズイモの育て方】用土

ここからはクワズイモの育て方について詳しく解説していきます。

まずは用土について。クワズイモが観葉植物として元気に育つためには、適した用土の準備が欠かせません。

  • クワズイモに適した用土とは
  • プランターサイズと用土の量

この2点について見ていきましょう。

クワズイモに適した用土とは

クワズイモに適した用土は、通気性や排水性に優れる土として知られる赤玉土と腐葉土を、7:3で混ぜ合わせたものです。どちらの土も観葉植物の土づくりによく使われる種類で、身近にあるお店で手軽に購入できます。

もっと簡単な方法を探している方には、観葉植物用の培養土と記載されている用土を選ぶ方法がおすすめです。プランターにそのまま入れるだけなので、簡単に準備を終えられます。

プランターサイズと用土の量

上記でクワズイモに適した用土を紹介しましたが、購入時に注意したいのが土の量です。2Lや5Lなどさまざまな量で販売されているため、プランターのサイズに合わせて必要な分量を購入しましょう。

以下にプランターサイズと用土の量を紹介しますので、一つの目安にしてください。

プランターサイズ/直径サイズ

(厚みのある鉢の場合は内径で計算)

用土の量

(※鉢の上縁を2cmあけて土を入れた場合)

3号/9cm 0.25L
4号/12cm 0.6L
5号/15cm 1.2L
6号/18cm 2.1L
7号/21cm 3.3L
8号/24cm 5.1L
9号/27cm 7.3L
10号/30cm 8.4L
11号/33cm 10L
12号/36cm 14L

植え付け前の水はけ対策がポイント

クワズイモの用土には通気性や排水性に優れる土を準備してあげますが、そのままプランターに入れるのでは適した環境を作れません。ポイントは、用土を入れる前に水はけがよくなる対策を鉢に施しておくこと。プランターの底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を敷き詰めてから用土を入れましょう。この手順を踏むことで鉢内の水はけがよくなり、土の特性も保ちやすくなります。

【クワズイモの育て方】植え付け

クワズイモを育てるにあたって、まずはどのクワズイモを購入するかを自分で選ばなくてはいけません。また、購入後には新しい環境に向かい入れるための植え付けという重要な作業も待っています。

出だしでつまずいてしまわないよう、ここからは以下の3つのポイントを取り上げてクワズイモの育て方を解説していきましょう。

  • 苗の選び方
  • 植え付けの適期
  • 植え付け時の注意点

苗の選び方

クワズイモの苗を選ぶときは、以下のポイントに注目してください。

  • 根や茎がしっかりしている
  • クワズイモ全体に傷がない
  • 鉢の底から根先が見えている
  • ハリツヤのあるみずみずしい葉をつけている
  • 病気や害虫の兆候がない

健康なクワズイモを選ぶことで、環境の変化への順応力も高く、元気に育て始めることができます。

植え付けの適期

植え付けの適期は5月~6月です。この時期はクワズイモの成長が最も盛んになるタイミングなので、環境の変化への順応力が高く、植え付けがクワズイモに大きなダメージを与える心配がありません。この点から言えば、クワズイモの苗は植え付けの適期に合わせて購入するのがおすすめです。

もし植え付けの作業に不安がある場合は、そのまま置いて飾れる鉢付きのクワズイモを選ぶとよいでしょう。鉢付きであれば植え付けの適期を気にせず迎え入れることができ、用土や根をいじることなく環境に順応させることができます。

植え付け時の注意点

クワズイモを育てるにあたり、「元気な苗を選ぶ」「適期に植え付けを行う」といった点以外の、植え付けに関連する注意点をピックアップしておきます。

  • 鉢は、クワズイモの根の成長を促せる大きさのものを選ぶ
  • 樹液に毒があるため、素手でふれないようにする
  • 根を傷つけないようにする
  • 水はけ対策を施した鉢に、クワズイモに適した用土で植え付ける
  • 鉢の底から水が流れ出るほどたっぷりと水をやる
  • 新しい環境に順応させるために明るい日陰で過ごさせる
  • 新芽が1~2枚開いてきたら、明るい場所に少しずつ移動して慣らしていく

準備が整ったら、いよいよ剪定の開始となります。

【クワズイモの育て方】日当たりと温度管理 

クワズイモは、日当たりのよい温かい環境を好みます。この点から「窓際」が適した場所であることが想像できるかもしれませんが、単純に窓際に置けば良いというわけではありません。窓際は直射日光が当たったり冷気によって冷えやすかったりと、注意が必要な場所でもあるためです。

ここでは、クワズイモに適した置き場所について以下の3点を紹介しておきます。

  • クワズイモの好む日当たり
  • 直射日光を避ける工夫
  • 冬の温度管理のポイント

クワズイモの好む日当たり

クワズイモの好む日当たりは、窓から光が差し込む明るい場所です。日光を好むため、家の中でも長時間日が差し込む窓辺を選ぶとよいでしょう。午前中に日が差し込んで午後から日陰になる半日影の場所でも育ちますが、葉の色が黄色や茶色に変色してしまう場合は日照不足の可能性があり、あまりクワズイモには向かない場所と判断できるかもしれません。

この置き場所についての注意点は、直射日光が当たりやすいことです。クワズイモは日光を好みますが、強い日差しが当たり続けるのは厳禁です。葉焼けの原因となるため、以下の方法で日光をやわらかくしてあげましょう。

 

直射日光を避ける工夫

直射日光を避けるためには、レースのカーテンを利用するのが効果的です。一枚あるだけで日差しがやわらかくなり、クワズイモが好むちょうどよい明るさを維持できます。もしレースのカーテンをあけておきたい場合は、直射日光があたらない場所にクワズイモを移動させましょう。キャスター付きの台にのせておけば、クワズイモの好む日当たりに簡単に移動させることが可能です。

冬の温度管理のポイント

クワズイモは温かい環境を好み、寒さにはそこまで強くありません。温度でいえば5℃程度まで耐えることができますが、冬は昼夜の寒暖差が大きく、夜は特に冷え込みます。そのため、以下のような工夫を取り入れながら温度管理をしてあげましょう。

  • 窓辺から離す
  • 発砲スチロールや気泡緩衝材などを用いて防寒をする
  • 鉢カバーなどで二重鉢にして保温する

【クワズイモの育て方】水やり

クワズイモの水やりについて、注意すべきポイントは以下の2つです。

  • 土の表面が乾いたら水をやる
  • 乾燥と過湿を避ける

それぞれについて解説しておきます。

土の表面が乾いたら水やりしよう

クワズイモの水やりは、土の表面が乾いたタイミングで鉢底から水が出てくるくらいにたっぷりと与えます。注意すべきポイントは、土の表面が乾いているかどうか。目で確認するだけではなく、手で触れて実際の湿り具合を確認してから水を与えるようにしてください。

また、多湿を好む植物であるため、葉水(霧吹きで葉に水を吹きかけること)も毎日忘れずに行ってあげましょう。

休眠期に入るクワズイモの水やりは、徐々に回数を減らしていきます。

冬場は、成長が鈍くなるため、1~2週間に一度の水やり頻度で構いません。土の表面がしっかり乾いたことを確認し、2~3日後にたっぷりと水を与えてください。葉水に関しては、冬の間も毎日継続して行ってあげましょう。

 乾燥と過湿を避ける

クワズイモは多湿を好む植物なので、乾燥すると元気がなくなってしまいます。そのため、葉水に関しては1年を通して毎日行い、クワズイモが乾燥しない環境を作ってあげましょう。

水やりに関しては頻度に注意が必要で、多湿を好む植物とはいえ、水をやりすぎると過湿で根腐れを起こしてしまいます。大事に育てているクワズイモが枯れてしまわないよう、上記に紹介した水のやり方を守り、適した環境を整えてあげましょう。

【クワズイモの育て方】肥料

クワズイモを健康に、大きく育てるためには肥料が必要です。その肥料について以下の3つのポイントを解説しておきましょう。

  • クワズイモに適した肥料とは?
  • 肥料を与えるタイミング
  • 肥料の量と注意点

ここからは、クワズイモを育成する際の肥料について解説していきます。

 

クワズイモに適した肥料とは?

クワズイモの肥料には、観葉植物用として市販されているものを選ぶのがおすすめです。野菜用の有機肥料でも代用できますが、虫が発生しやすく不快に感じやすいかもしれません。

観葉植物用の肥料には大きく分けて2種類あり、ゆっくりと効く緩効性肥料と、即効性のある液体肥料があります。緩効性肥料を使う場合は、2カ月に1回の頻度で土の上に置くか、浅く埋め込んでください。液体肥料を使う場合は、10日に1回の頻度で水やりの際に与えます。

肥料を与えるタイミング

肥料を与えるタイミングは、クワズイモが生育期となる春から秋にかけてです。休眠期となる冬は基本的に肥料を与えませんが、地域の気候や部屋の環境によって新芽が出てきている場合は与えても構いません。液体肥料をやや薄目に調整し、2週間に1回の頻度で与えてあげましょう。

肥料の量と注意点

肥料はクワズイモを元気に育てるために与えるわけですが、使い方を間違えると逆効果で、弱らせたり枯らしたりする原因となることもあります。そこで守ってほしいのが以下のポイントです。

  • 規定量を守る
  • タイミングを守る
  • 休眠期には与えない
  • 植え替え直後には与えない

植え替え時の肥料に関しては、与えないのが正解です。環境(用土)が変わることでクワズイモの根がダメージを受けているため、10日~2週間ほど休ませてから肥料を与え始める点に注意してください。

【クワズイモの育て方】植え替え

ここでは、クワズイモが大きく生長してきたときの、植え替えを必要としているサイン、植え替えの適期、手順について紹介していきましょう。

 植え替えが必要なサイン

クワズイモは、2年に1度のペースで植え替えが必要な植物です。このペースを目安として植え替えを行いますが、以下に紹介する特徴も植え替えが必要なサインとなります。

  • 鉢の底から根が見えている
  • 水やりをしても土が水を吸収しない
  • 葉がしおれ気味
  • 成長が停滞している
  • 鉢の大きさに対してクワズイモが大きすぎる

植え替えの適期と手順

上記に記したようなサインに気づいたら植え替えを検討する必要があります。クワズイモの場合、植え替えに適している時期は生育が活発となる5月~6月なので、この適期を待って植え替えをしてあげましょう。

植え替えの手順については以下を参考にしてみてくださいね。

 

①植え替えをする鉢の底へ、鉢底石を入れます。

※空気や余分な水分の通り道が必要なので、ギュウギュウに敷き詰めないようにしましょう。また、鉢底の穴から石が出てしまう場合は、予めネットシートを置きましょう。

②鉢底石の上に、自分で配合した土(赤玉土7:腐葉土3)もしくは市販の観葉植物用の培養土を入れます。

③根を傷めないように、古い鉢からクワズイモを出し、先程の②の上へ静かに置きます。

※このときに、株元が鉢の縁より上ですと、土の量が多い証拠ですので適宜減らしてください。

目安として、株元と鉢の縁の間が、人差し指の第一関節くらい空いていれば大丈夫です。

④回りの隙間に、土を入れます。

⑤たっぷりと水をあげて完了です。

※新しい土の環境に慣れさせるため、液体肥料または株元の肥料はまだ与えないでください。与えても良い期日は、約10日~2週間後です。

【クワズイモの育て方】増やし方

クワズイモは、挿し木と株分けで増やすことが可能です。それぞれの方法を解説しますので、クワズイモを増やす際の参考にしてください。

挿し木

必ず、手袋ときれいな刃物を使うことを守るようにしてください。

挿し木のやり方は以下になります。

①クワズイモの茎を観察し、太く茶色くなっているものを選んで剪定します。

②茶色い部分を5㎝~10㎝の長さに、きれいな刃物でカットします。

③切り口を乾燥させるために、明るい日影で2日置きます。 

④2日後に、肥料を含んでいない真新しい鹿沼土または赤玉土を小鉢に入れて、そこに挿します。

※不安な場合は、挿し木用の土も販売されています。

⑤日影で、根が出るまで水やりをしながら管理してください。

※水やりは土が湿る程度です。霧吹きが役に立ちます。また、根が出るまでは早くて1カ月かかります。根が出ているかの確認は、力を入れずに引いてみると、抜けそうにない手応えがあります。

⑥新芽が出てきたら、新しい鉢に植え替えをしてあげてください。

※上記で解説したような通常の植え替えと同じ方法です。 

株分け

挿し木と同様に、必ず手袋ときれいな刃物を使ってください。 

①植え替えの際に、子株を切り離します。

※他の株を傷つけないように注意してください。

②小鉢に、土(赤玉土7:腐葉土3と肥料を混ぜ合わせたもの)または観葉植物用の培養土を入れます。 

③工程②に子株を入れ、残りの土を足します。霧吹きなどで土を湿らせましょう。

④10日~2週間ほど日影で管理します。この間は、土が完全に乾いたら霧吹きで土を湿らせてください。

⑤新芽が出てきたら、3週間かけて、徐々に半日影に移動させて育てます。

※徐々にというのは、例えば、「最初は1時間だけ半日影に、何日かしたらもう少し長く半日影に」といった具合のことです。

 

【クワズイモの育て方】病害虫対策

クワズイモを育てるにあたって、病害虫による被害に悩まされる可能性があります。この点に関して、育てる前にできる対策は以下の3つです。

  • よくつく害虫を把握しておくこと
  • 予防と初期対応を把握しておくこと
  • 侵された場合の対処法を把握しておくこと

それぞれについて解説しておきます。

クワズイモによくつく害虫とは

クワズイモで注意すべき害虫はハダニです。ハダニは梅雨明けから夏にかけて発生しやすく、葉の裏側に潜んで汁を吸い、葉緑素を減少させる厄介な害虫です。放置しているとハダニは大量発生し、クワズイモを弱らせ、最終的には枯れさせてしまいます。

病気の予防と初期対応

クワズイモで注意すべき病気は軟腐病です。軟腐病にかかるとクワズイモは軟化し、腐敗して独特な悪臭を放つようになります。この病気は急速に植物全体に広がり、最終的には枯れてしまいます。

軟腐病にかかるのは土壌中の病原菌が原因で、一度罹患すると基本的に直すことはできません。もし症状が見られた場合は、すぐに軟化している部分を切り落としましょう。

 

害虫や病気への家庭でできる対処法

ハダニや軟腐病がみられた場合に家庭でできる対処法は以下の通りです。

ハダニの対処法

  • 侵された葉はカットする
  • 葉の表と裏、付け根や茎を水で洗う
  • 2倍に薄めた牛乳、10倍に薄めた酢、殺虫剤などを噴霧する
  • 処置後は、再発生防止対策として葉水を欠かなさい点に注意する

軟腐病の対処法

  • 軟化してしまった部分を切り落とす
  • 病原菌が潜む用土を廃棄し、新しい用土を準備して植え替える
  • 症状が重い株は、周囲への伝染を予防するために処分する

【クワズイモの育て方】よくあるトラブルと対処法

最後に、クワズイモを育てるにあたってよくあるトラブルを3つ紹介します。対処法にも言及していますので、ぜひ参考にしてください。

葉が変色する原因と対処法

クワズイモの葉の色が変色する場合、日照不足が原因である可能性が高いです。クワズイモの置き場所が玄関や寝室、階段の踊り場などである場合は、日当たりの良い場所に移動して日光浴させてあげましょう。

ただし、直射日光を当てるのは避けてください。葉焼けを起こす原因となってしまいます。また、突然明るい場所に置くのにも注意が必要で、変化がストレスとならないよう徐々に明るい場所に移動させるのがおすすめです。

葉や茎が徒長する原因と対処法

クワズイモの葉が大きくなりすぎる、茎が長くヒョロヒョロに伸びすぎるなどの「徒長」の症状は、日光不足が原因で起こるとされています。対処法は、クワズイモが好む日差しを十分に浴びせることです。急激な環境の変化に注意しつつ、明るい場所にクワズイモを移動させましょう。

根腐れを防ぐ管理方法

クワズイモが根腐れする原因は、水のやりすぎや水はけの悪さが考えられます。特に暑さが厳しくなる季節は毎日水やりをしたくなるものですが、あくまでも水やりを行うタイミングは土の表面が乾いたときです。このタイミングを守ることが、根腐れを防ぐためにできる対処法の一つです。

もう一つ注意点をあげるとすれば、季節に応じて水やり頻度を調節することです。春から秋にかけての生育期は適したタイミングにたっぷりと、休眠期は頻度を少なくする点に注意しながら管理してください。

まとめ

クワズイモは適した環境を整えてあげれば、日本の気候でも元気に育ち、増やしたり花を咲かせたりすることも可能です。今回は育て方を中心に解説してきましたが、守ることは基本的なことであり、これなら挑戦できそう!と感じた方も多いのではないでしょうか。クワズイモはグリーンがきれいでおしゃれ映えも抜群です。ぜひインテリアグリーンとして迎え入れてみませんか?

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