洋ランの女王・カトレアで作るゴージャスな花束

洋ランの女王として、ランの中でも古くから不動の人気を誇るカトレアの花。

絢爛豪華という言葉がぴったりな花姿はゴージャスで、花束やアレンジメントの花材としても人気が高いお花です。

今回は、特別なシーンに贈る花束にぜひ取り入れたいカトレアについて、花の特徴や花言葉、人気の品種などをご紹介していきます。

 

カトレアの基本情報 

科・属 ラン科・カトレア属
和名 日の出蘭(ひのでらん)
英名 Cattleya
学名 Cattleya
原産地 中南米

 

ランの種類は、原産地によって「東洋ラン」「洋ラン」に分けることができます。東洋ランは、高級なフラワーギフトとして鉢植えで流通している「胡蝶蘭(こちょうらん)」が最も有名です。そして、洋ランに分類される中で最も人気があり、有名でもあるランがカトレアになります。

 

カトレアは洋ランの女王

「洋ランの女王」として名高いカトレアは、デンドロビウム、シンビジウム、パフィオペディルムと並ぶ「四大洋ラン」のひとつです。

古来よりヨーロッパの貴族たちから愛されていた高級品であるカトレアの花は、現代においても格調高いエレガントな雰囲気をまとうお花として高い人気を誇ります。

胡蝶蘭は、自生地では樹木や岩肌などに根を絡ませて育つ「着生植物」ですが、カトレアもこの胡蝶蘭と同様に、着生して育つ着生ランです。

 

カトレアの花

カトレアの花は、花弁が2枚と萼片が3枚、それに唇弁があわさって形成されており、色鮮やかな花色が多いことが特徴です。カトレアの品種によっても開花時期はまちまちですが、日本の環境では主に秋から冬の間に、1年に1度開花する品種が主に流通しているものになります。

開花している期間は2週間から3週間で、開花期間の長い他の種類のランと比較すれば短めではありますが、それでも十分に美しさを堪能できるでしょう。

原産国でもある中南米地方、コスタリカやコロンビア、ブラジルなどの国花としても指定されています。

 

近縁種も多いカトレア

ラン科の花はたくさんの種類がありますが、その中でもカトレアは生産数が多く、カトレアだけでも80種類以上の野生種があり、近縁に属する品種も多く存在しています。

これらの近縁属は近縁同士で掛け合わせることにより、新たな品種を生み出すことも可能です。園芸品種においては、こうして近縁同士から派生した新しい品種も含めて、カトレア類としてまとめて呼ばれていますよ。

カトレアの品種は、大輪の花を咲かせる大型の「大輪系」、扱いやすいミディサイズの「中輪系」、コンパクトなサイズ感の「ミニカトレア」、花茎が長く生長していく存在感があるタイプの4種類に分けられます。

大輪のカトレアでは、「リンコレリオカトレア マック ホームズ ニューベリー」が有名です。夏から秋に開花して、柑橘系の甘い花の香りを楽しめます。

中輪系のタイプでは「カトレアミニパープルセルレア ブルースカイ」がおすすめです。生育環境が良く、きちんとお世話していると、年に2回も花を咲かせてくれる機会があります。

ミニカトレアの品種では、朱色の花を持っている「カトレア コクシネア」が人気です。花茎の長いタイプでは「ブラソカトレア メモリア ビタ リー ライムライト」があり、花びらは明るいライムグリーンをしている少し珍しいカトレアです。

ライムグリーンの花びらにはさりげなくリップカラーとしてピンク色が入っており、2色のカラーの対比が楽しめる品種になります。

 

カトレアの名前の由来

カトレアは、カトレアの花の栽培に成功した植物愛好家の名前にちなんで名付けられました。

18世紀頃にブラジルで発見されたカトレアは、園芸愛好家のウィリアム・カトレーによって栽培され、19世紀初頭に世界で初めて開花に成功しました。このカトレーの名前にちなんで、カトレアと名付けられたのです。

その当時、カトレアは発送された植物を梱包するものとして使われており、梱包材として使用されていたカトレアに興味を持ったウィリアムが、栽培に着手したのだと言われています。

 

和名の由来

カトレア中国語では「卡特蘭」と表記されていますが、日本では漢字の当て字はされず、カタカナでカトレアと表記されており、和名では「日の出蘭(ひのでらん)」と名付けられています。

19世紀初頭に栽培に成功したカトレアは、日本には明治時代にやってきました。日の出のような美しさを持つランであることから、植物学者の牧野富太郎が「日の出蘭」と命名したと言われています。

 

カトレアの花言葉

カトレアは、「優美な貴婦人」「魔力」「成熟した大人の魅力」という花言葉を持っています。カトレアの背の高い花の姿にふさわしい、エレガントな花言葉ばかりですね。

カトレアを女性に例えるのならば、やはり無垢で可愛らしい少女というよりも、成熟した魅力あふれる貴婦人、というイメージがありますよね。

「魔力」の花言葉は、美しい花の姿と甘く良い香りを持つカトレアの魅力に由来している花言葉なので、特に怖い意味合いの花言葉ではないようです。

英語圏においてもカトレアの花言葉は「mature charm(成熟した魅力)」とあります。日本での花言葉は、英語でのカトレアの花言葉を訳したものなのですね。

 

色別にあるカトレアの花言葉

人気が高いお花や色が豊富にあるお花には、色別にも花言葉が付けられています。

カトレア全般の花言葉は、先ほどご紹介した「優美な貴婦人」「魔力」「成熟した大人の魅力」でしたが、次は色別にある花言葉についても見ていきましょう。

 

【色別のカトレアの花言葉一覧】

赤・桃 「成熟した大人の魅力」
「優美な女性」「あなたは美しい」
「魅惑的」「魔力」
「魅力」「気品」「優美」

 

赤・ピンク色「成熟した大人の魅力」

ピンク色のカトレアは多く存在していますが、赤色のカトレアは少ないため、花言葉は赤色とピンク色で同様の言葉を持ちます。赤・ピンク色のカトレアが持つ花言葉は「成熟した大人の魅力」です。カトレア全般の花言葉と重複していますが、ピンク系のカトレアこそ、華やかで美しさが一際輝く女性らしさを感じられる、「大人の色」ではないでしょうか。

この花言葉から、ピンク系のカトレアは母の日の贈り物や、敬老の日のフラワーギフトとしてもおすすめです。特に敬老の日は、いつまでも若々しくありたいという思いから、あまり年配者扱いされたくないという方も多くいらっしゃいます。あえて花言葉で「成熟した大人の魅力」と表現すると喜ばれるでしょう。

 

ピンク色のカトレアでは、「チェリム・リムウッド」というやや小ぶりな品種がおすすめです。育て方が比較的簡単な品種ですので、鉢植えでプレゼントしても喜ばれますよ。

淡くやさしいピンク色のカトレアでしたら、「ワルケリアナ・ネムセンプレ」がおすすめです。

ピンク色は好きだけれど、濃いめのピンクには気が引けてしまう…という控えめなカラーが好きな方も、パステル調にも近いワルケリアナ・ネムセンプレでしたら喜んでくださるでしょう。

 

紫色「優美な女性」「あなたは美しい」

カトレアの定番ともいえる紫色には、「優美な女性」「あなたは美しい」の花言葉があります。

「あなたは美しい」の花言葉は、美しい女性のシンボルともいえるカトレアにはぴったりな花言葉ですね。

紫色は、古来より高貴な色とされており、染料としての希少さも相まって、高い身分の人が身に着ける色でした。現代においてもそのイメージは引き継がれており、尊敬の念を込めて目上の方や年配の方へ贈るフラワーギフトとしても、紫色の花は多く選ばれています。 

紫色のカトレアをプレゼントに選ぶのでしたら、「ワルケリアナ・セルレア・エドワード」という品種に高い人気があります。サイズ感はコンパクトなのですが、花色が薄紫色をしていて、控えめながらも華やかさを失わない品種です。あまり大きすぎるサイズも贈りづらいですし、受け取られた方も飾る場所に困ってしまいますから、扱いやすいサイズ感であることもギフトに選ばれる理由のひとつでしょう。

さらに、ワルケリアナ・セルレア・エドワードは香りが大変良い品種で、年代や性別を問わず、お花を愛する方々にプレゼントとして選ばれています。

 

白色「純粋な愛」「魅惑的」「魔力」

白いカトレアには、「純粋な愛」「魅惑的」「魔力」の花言葉が付けられています。

この「魅惑的」とは、美しさや魅力で人を惹きつけるという意味です。確かに、カトレアの美しさや香り、高貴な佇まいには、惹きつけられる魅力が存在しています。しかしそんな抗えない魅力を持ちつつも、白いカトレアには清楚な雰囲気やピュアな印象さえありますから、「純粋な愛」の花言葉もしっくりきますね。

「魔力」にも、同じく人を惑わせるという意味合いがありますが、妖しげな意味やネガティブな意味合いではなく、惑わされるほどの花の美しさや魅力を持っていることに由来しているという認識で良いでしょう。

 

黄色「魅力」「気品」「優美」

黄色いカトレアには、「魅力」「気品」「優美」の花言葉があります。

ピンク系や紫のカトレアよりも、少しカジュアルで元気な印象を受ける黄色いカトレアは、かしこまりすぎずに気軽に贈りたい、ちょっとした感謝の気持ちを表すシーンのフラワーギフトとしてもおすすめです。

 

カトレアの花束を贈ろう!

ここまでは、カトレアの特徴や花言葉についてご紹介してきました。

フラワーギフトを贈る際に気にかかるのは、やはり花言葉ですよね。カトレアの花言葉には、そこまで悪い意味の言葉はなく、相手によってはマイナスに捉えられがちなものもありますが、メッセージカードなどに書き添えれば誤解は生じないでしょう。

華やかなカトレアの花は、誕生日などのお祝いシーンを彩るフラワーギフトとして多く選ばれているお花です。

しかし、お花には旬の時期が付き物。カトレアの花束をプレゼントとして贈りたいと思っても、お店に並んでいないと困ってしまいます。カトレアの花が主に流通していて入手しやすいのは、いったいいつ頃なのでしょうか。

 

カトレアの花はほぼ通年入手できる

カトレアの花はとても人気が高い花材であることから、品種改良が盛んに行われ、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きと、各季節に開花を迎えるカトレアが存在します。したがって、四季のうちのどの季節でもカトレアの花を入手できるのです。

開花時期は品種によって違いが生じますが、最も流通数が多く旬だといえる時期は10月から翌年2月にかけての冬季になります。

もし贈りたいカトレアの種類をあらかじめ決めている場合には、前もって生花店などに問い合わせておき、在庫があるかどうか、仕入れが可能かどうかを確認しておけば安心です。

 

カトレアと同じラン科の花と花言葉

カトレアと同じラン科に属する草花には、他にもフラワーギフトシーンに活躍している花がたくさんあります。

ラン科の花は華やかで豪華な姿ものが多いので、お祝いシーンにはぴったりなのです。

最後に、ギフトシーンにおすすめのラン科の人気品種をご紹介しましょう。

 

胡蝶蘭 

科・属 ラン科・ファレノプシス属
和名 胡蝶蘭(こちょうらん)
英名 Phalaenopsis, Moth Orchid
学名 Phalaenopsis aphrodite
原産地 東南アジア
花言葉 「幸福が飛んでくる」

高級なフラワーギフトとして、冠婚葬祭をはじめビジネスシーンなどのフォーマルな場面でも活躍する万能なお花が「胡蝶蘭」です。

冒頭でも触れたように、カトレアは洋ランの中で最もポピュラーな品種ですが、東洋ランでは胡蝶蘭が最も人気のある品種になります。

純白の花びらは、肉厚であるからこそ、その白さが際立ちエレガントな印象を受けます。美しく整列した大輪の花はまさしく絢爛豪華で、その場に胡蝶蘭があるとどうしても目を奪われてしまいますね。

大きな鉢植えの印象が強い胡蝶蘭ですが、扱いやすいサイズ感のミディサイズなども販売されています。サイズが小さくなると色のバリエーションも増えますので、贈り物にはおすすめですよ。

 

胡蝶蘭を贈りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

胡蝶蘭を贈るときの8つのマナーとは?NGな行いも徹底解説!

 

オンシジウム 

科・属 ラン科・オンシジウム属
和名 雀蘭(すずめらん)、群雀蘭(むれすずめらん)
英名 Oncidium, Butterfly orchid, Dancing lady orchid
学名 Oncidium spp.
原産地 中南米
花言葉 「一緒に踊って」「可憐」「気立てのよさ」「清楚」

 フリルのように波打つ花びらが魅力的な「オンシジウム」は、和名では「雀蘭(すずめらん)」「群雀蘭(むれすずめらん)」とも呼ばれ、たわわに咲かせた花がにぎやかな雰囲気を感じさせるフレッシュなお花です。

ひとつひとつの花は小ぶりながらも、とても良い甘い香りが漂います。

英名では「Dancing lady orchid(踊る女性のラン)」とも呼ばれていることから、花言葉には「一緒に踊って」という素敵な言葉があります。

 

シンビジウム

科・属 ラン科・シンビジウム属
和名 シンビジウム
英名 Cymbidium
学名 Cymbidium
原産地 インド、タイ、中国、フィリピン、インドネシアなど
花言葉 「飾らない心」「素朴」「誠実な愛情」「深窓の麗人」

 半着生タイプの「シンビジウム」は、着生も地生もできる器用な品種です。洋ランは比較的はっきりとした濃い色合いの品種が多い中で、シンビジウムはやさしげな淡いパステル調のカラーが可愛らしいお花です。

耐寒性に優れており、日本の寒さでも育ってくれるため、冬にはシンビジウムの鉢植えが人気です。

シンビジウムは、花びらを正面から見ると丸く窪んでおり、それが舟底の形に似ているために、ギリシャ語の「Kymbe(舟)」と「eidos(形)」が組み合わさって名付けられました。

 

デンドロビウム 

科・属 ラン科・デンドロビウム属
和名 デンドロビウム
英名 Dendrobium
学名 Dendrobium
原産地 アジア、オーストラリア、ニュージーランド
花言葉 「華やかな魅力」「わがままな美人」「お似合いのふたり」「魅惑」「有能」

 着生ランの仲間である「デンドロビウム」は、同じ着生ランである胡蝶蘭の花の形によく似た花を咲かせます。

蝶が羽を広げたような花姿は、胡蝶蘭よりも鮮やかな花色で彩られており、どことなく色気を感じさせるお花です。そのため、花言葉は「華やかな魅力」「わがままな美人」「魅惑」などを持っています。

「わがままな美人」の花言葉は、英語での「selfish beauty」を訳したものであり、驕慢と思えるほどの花の美しさにちなんでいると言われています。

 

まとめ

今回は、洋ランの女王として君臨するカトレアの花言葉や人気の品種について、花束などのフワラーギフトを贈るうえで参考になりそうな情報をまとめてみました。

魅力たっぷりの余裕を持った大人の女性を連想させるカトレアの花は、とても良い香りを持っており見た目もゴージャスなので、お祝い事のシーンにおすすめです。

持っている花言葉から、やはり女性に贈ると喜ばれるお花でしょう。母の日や敬老の日、誕生日など、ご自分の家族の特別な日に贈る花にも、ぜひカトレアを選んでみてはいかがでしょうか。

 

大切なあの人にお花を送ってみませんか?