5月1日のメーデーはスズランを贈り合う愛の日

5月1日は、世界中で「メーデー」として知られる祝日。

この日には、労働者たちが権利と団結を訴え、デモ行進や集会が行われることが一般的です。

また、この日にはスズランの花を贈る習慣があり、メーデーの象徴的な花として、繊細な花姿と甘い香りが魅力のスズランの花が親しまれています。

この記事では、メーデーとスズランの関係について詳しく解説し、スズランの特徴や魅力についてもご紹介します。

5月1日はメーデー

「メーデー(May Day)」とは、直訳すると「5月の日」です。

日本では祝日に制定されていませんが、世界では5月1日は国際労働者の祝日であり、国際労働者の団結と労働者の権利が祝われています。

そもそも5月の初めの日がメーデーとして定着したのは、19世紀末に行われた労働者たちによるストライキがきっかけです。

まずは「メーデー(May Day)」について、詳しく見ていきましょう。

労働者のストライキから生まれたメーデー

メーデーの元になるストライキが誕生したのは、イギリスの産業革命がアメリカへも影響して、大きく産業界が揺れ動いた頃でした。

産業革命の真っ只中のアメリカの労働者は、1日のうちの12〜14時間という大変長い時間を労働時間として拘束されていました。この過酷な労働環境を改善するために、シカゴでは約4万人の労働者によって、8時間労働を求める大規模なストライキが行われたのです。

8時間は仕事のために、8時間は休息のために、残りの8時間は好きなことのために、というスローガンのもと、労働者たちは訴え続けましたが、すぐには受け入れられずストライキは続きます。

1890年になると、アメリカだけではなくヨーロッパ各地でもストライキが行なわれたことにより、「第1回国際メーデー」となりました。

その後、パリで開催された国際労働者大会において、5月1日が祝日に定められたのです。これは労働者の権利を求める運動として広がりました。

もともとはフランス語が語源

「5月の日」を指す「May Day」は、英語だけではなくフランス語も語源となっています。飛行機や船で緊急事態が起きると、パイロットは無線で「メーデー」と3回繰り返し、緊急事態を知らせます。

このメーデーとは、フランス語で「助けに来て」を意味する、「venez m’aider(ヴネ・メデ)」が語源です。ロンドンの無線技師によって、誰でも緊急事態だと理解できる合図として発案されました。

スズランを贈り合う幸せの日

5月1日は、フランスでは「la fête du travai(フェット ドゥ ラ トラヴァイユ)」と呼ばれる祝日に定められています。

そして、「la fête du muguet(ラ フェット デュ ミュゲ)」としても親しまれています。

ミュゲとはスズランを指すフランス語で、フランスではメーデーの5月1日、スズランのブーケを贈り合う風習があるのです。これはフランスの春の伝統のひとつで、贈られるスズランの花束は「bouquet de muguet(ブーケ ドゥ ミュゲ)」と呼ばれます。

スズランの日の由来

フランスにおけるスズランの日の由来は、16世紀にまで遡ります。

スズランは幸福のシンボルとされている花ですが、スズランの花束をもらった当時の王・シャルル9世が大変喜び、その嬉しさを周りにも分けたいと考え、宮廷に仕える女性たちへ、毎年1本ずつスズランの花を贈ることにしたという心温まるエピソードです。

王が宮廷で始めたスズランのプレゼントは、次第に庶民へも広まっていき、次第に定着していきました。

またヨーロッパでは「スズラン舞踏会」という若者のダンスイベントが開催されていて、若い女性は白のドレスなどのスズランをモチーフにしたドレスで着飾り、男性はボタン穴にスズランを挿してダンスに興じます。この舞踏会は、若者たちの出会いや告白の場として楽しまれていました。

5月1日にはあちこちでスズランが売られる

フランスでは5月1日が近づくと、街中のあちこちでスズランの花が売られ、町中がほんのりと甘く爽やかな香りに包まれます。しかしよく見ると、スズランを売っているのは小さな子どもや年配の方など、花屋以外の人も混じっています。フランスでは、5月1日に限って、花屋だけではなく一般の人もスズランを販売できるのです。

ただし、「スズランは根がない切り花であること」「スズラン以外の花を入れない」「花屋のすぐ近くで売らない」など、販売にはいくつかのルールを守らなければなりません。街中にはスズランのブーケ以外にも、スズランをモチーフにしたアクセサリーなども売られます。

13輪の花が咲くスズランは幸せのシンボル

四つ葉のクローバーを見つけると幸せになれるというジンクスは有名ですが、スズランにも似たような幸せのジンクスがあることをご存じでしょうか。それは、1本の茎に花が13輪咲いているスズランは、最も幸福を運んできてくれるというものです。

スズランの日にこの13輪の花が咲いたスズランを贈られた人は、さらに幸せになれると言い伝えられています。

もしスズランを手に取る機会があれば、花の数がいくつあるのか数えてみてくださいね。

日本におけるメーデー

日本において、5月1日は祝日扱いではありませんが、労働者団体の代表である「日本労働組合総連合」によって、日本各地で大会が開かれています。会社によってはデモや集会に参加する「労働者の日」として、休みにしている企業もあるようですよ。

大型連休に差し掛かる日でもあることから、5月1日を祝日にして、さらに長いゴールデンウィークにしようという風潮があったものの、定着はしていません。

スズランの基本情報

ここからは、スズランの基本情報について見ていきましょう。

科・属 キジカクシ科・スズラン属
和名 鈴蘭(すずらん)
英名 Lily of the valley
学名 Convallaria majalis
原産地 ヨーロッパ・アジア
花言葉 「幸福」「再び幸せが訪れる」「希望」「純粋」「純潔」

スズランの特徴

スズランはキジカクシ科・スズラン属の植物で、春から夏にかけて開花する多年草です。花弁は6枚から8枚からなり、ベル型の白く小さな花をたくさん咲かせ、花からは甘く爽やかな香りが漂います。

白い小花と葉茎の緑色のコントラストが美しく、清楚で可憐な印象を与えるスズランの花は、切り花として花器に挿すだけでもインテリアのアクセントになります。

春の花としても知られ、新しい出発や門出のお祝いに贈る花としてもぴったりです。

スズランの花言葉

キリスト教では、聖母マリアの流した涙からスズランが生まれたと言い伝えられています。そのため、スズランは聖母マリアのシンボルフラワーとしても知られ、ベル型の小さな花が教会の鐘を連想させることから、「幸福」「再び幸せが訪れる」「希望」「純粋」「純潔」などの、ポジティブな意味を持った花言葉が付けられています。

この花言葉から、ウェディングブーケやドレス飾りなど、ブライダルシーンに多く用いられ、純潔や誠実さのシンボルにもなっています。

スズランの種類

春を代表する花のスズランには、大きく分けて2種類あることをご存じでしょうか。日本に多く自生する「日本スズラン」と、ヨーロッパ原産の「ドイツスズラン」です。

この2種類のスズランには、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴について見ていきましょう。

日本スズラン

日本スズランは、小さな花穂にたくさんの白い花が密集しているのが特徴です。花の間から覗く緑色の葉によって、爽やかで美しいコントラストを生み出します。

花の咲き方はドイツスズランに比べてやや緩やかで、しっとりとした雰囲気を漂わせます。日本スズランは、庭や鉢植えとしても人気があり、街中や公園などでも咲いている身近な野花としてポピュラーです。

ドイツスズラン

ヨーロッパ原産のドイツスズランは、白や淡いピンク、紫色の花色を持ち、花が密集して咲く多年草です。ヨーロッパやアジアの広い範囲で見られ、日本スズランに比べると草丈が高く、花茎も日本スズランより立派でたくましく、花も大きいという特徴があります。

花の中に小さな黒い斑点があるという特徴があり、日本スズランと見分ける際のポイントです。

ドイツスズランも開花期間が長いので、ガーデニングのアクセントにも最適です。日本スズランと比べると花の香りが強く、特に夜間になると香りがさらに強く感じられます。

ドイツスズランは冷涼な気候を好むので、北半球の温帯から亜寒帯地域に分布します。日本では主に北海道に分布しています。

3大フローラルノートのスズラン

スズランは原産地によって、日本スズランとドイツスズランに分けられ、ドイツスズランのほうがより強く香ります。スズランの香りは、花の部分だけでなく葉や根にも含まれており、爽やかさと甘みがある香りには、心を落ち着かせるリラックス効果があると言われています。

香りを抽出するには、花からオイルを抽出するのが一般的ですが、天然のオイルは少量しか抽出できない大変希少なものなので、一般的な香水やコスメ製品などに使われるスズランの香料は、人工的に配合されたフローラルノートです。

特に人気の高いフローラルノートは、「3大フローラルノート」としてローズやジャスミンが挙げられますが、この2つの香りに並んで、スズランも3大フローラルノートのひとつに数えられます。中でもスズランは、繊細で上品な印象を与える香りとして、特に女性から人気がありますよ。

ジャスミンやローズ、イランイランなどとブレンドされると、さらに繊細な印象に、ムスクなどとのブレンドでは深みのある香りへと変化します。リラックス効果が期待できる香りなので、アロマテラピーの分野でも人気があり、アロマオイルとしても利用されます。

スズランのおすすめフラワーギフト

フランスの習慣である5月1日のスズランの日。日本にはまだ定着していない文化ですが、徐々に広まりつつあります。日頃お世話になっている人や家族、パートナーや恋人へ、相手の幸せを願ってスズランの花を贈ってみてはいかがでしょうか。

フランスではブーケを贈りますが、スズランは鉢植えでも育てやすいお花なので、植物を育てるのが好きな人には鉢植えのギフトを贈るのもおすすめですよ。

切り花

5月1日には、フランスの春の伝統にのっとって、スズランだけで束ねたシンプルなミニブーケを贈ってみましょう。まだ日本には馴染んでいない文化ですので、もしかすると身近な生花店にスズランの花が置いていないこともあります。そんなときは、ネットショップを利用して、スズランのミニブーケを注文してみてください。

ブーケの中にはもしかすると、13輪のスズランが入っているかもしれません。相手の幸せを願って、春らしい花束をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

オンラインで購入すれば、遠くに住んでいる友人や家族へも手軽に届けられるので便利ですよ。

鉢植え

ガーデニングでも人気のスズランは、鉢植えで贈っても喜ばれるお花です。切り花とは違い、開花期の間は長くお花を楽しめるので、植物のお世話が好きな方には嬉しい贈り物となるでしょう。

鉢植えでは、日本スズランよりも草丈が大きく、花も大きめなドイツスズランがおすすめです。日本スズランに比べてよく香るので、スズランの甘い匂いを存分に楽しんでもらえますよ。葉の縁に縞模様の入った珍しい品種なども出回っているので、相手にぴったりな一鉢をぜひ探してみてくださいね。

 

スズランを育ててみよう!基本的な育て方

道端でも見かける機会が多いスズランは、ガーデニングや鉢植えで育てられる花としても人気があります。自分で育てて咲いた小さな鈴型の花を見ると、喜びもひとしおですね。

ここからは、スズランの基本的な育て方についてご紹介します。コツを覚えてしまえば簡単なので、ぜひスズランの栽培に挑戦してみてくださいね。

置き場所

スズランを育てる上で、適切な置き場所はとても重要です。直射日光が当たる場所では葉焼けを起こしてしまいやすいので、スズランの鉢植えは半日陰で管理しましょう。

また、高温多湿が苦手なので、風通しの良い場所で湿気を逃がすことも大切です。

暗い場所で育てると成長が遅くなり、せっかくの花芽もつきにくくなってしまうので、室内では窓に近い、明るい場所で管理するよう心がけましょう。

水やり

スズランは水通しの良い土壌を好みます。過剰な水やりは根腐れの原因となるため、土が乾燥し始めてから十分な水を与えてください。水やりのタイミングが適切かどうか確認するためには、指を鉢土の中に挿し込んでみると分かりやすいです。湿っていたら水やりのタイミングを遅らせ、乾いていたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えましょう。

もし葉が萎れたり、茶色くなったりしている場合は、水が不足しているか、反対に水が多すぎる恐れがあります。日頃からよくスズランの様子を観察して、適切な水やりを行ないましょう。

肥料

スズランを健康に育てるには、適度な肥料やりも大切です。スズランの生育期は春から秋にかけてで、秋から冬にかけては花芽が形成される時期にあたります。スズランに肥料を与える場合は、生育期と花芽の形成期に合わせて肥料を与えましょう。

生育期には、月に1回程度のペースで肥料を与えます。量は鉢の大きさに応じて調整し、希釈する場合は必ず用法用量を守って与えてください。肥料を過度に与えすぎると、葉が茶色くなって肥料やけを起こす可能性があります。

花芽の形成期には、2週間に1回程度の頻度で肥料を与えましょう。花芽がついたら生育期のペースで肥料を与えていきます。花芽の形成時期にも、肥料を与えすぎると肥料やけや根腐れの原因となってしまうので、必ず適量を与えてください。

剪定

スズランの美しい花をもっと美しく咲かせるには、剪定も大切です。スズランの剪定は、春と秋に行ないます。春は新芽が出始めた時期に、秋は花が終わった後に剪定しましょう。

春には、茎の先端にある古い葉を切り落とします。古い葉は、成長を遅くしたり病気にかかったりする原因になるので、こまめな剪定が重要です。健康な葉は必ず残しておいてくださいね。茎の側面にある小さな葉も切り落として、フォルムも整えていきます。

秋には花芽を育てる必要があるので、茎の剪定は避けてください。代わりに、花が終わった後の、茎の先端にある古い葉を切り落として、健康な葉だけを残します。花芽を形成するために必要な、元気な葉を残すことが肝心です。

剪定が上手く行なわれると、もっと美しく花を咲かせてくれますが、過剰に剪定が行なわれると、株が弱ってしまう可能性があるので、あまり神経質にはならず、ほどほどな剪定にしておきましょう。また、剪定時に誤って花芽を切り落とさないよう注意してください。

まとめ

この記事では、5月1日のメーデーとスズランの関係について、スズランの特徴や魅力を交えて詳しくご紹介してきました。

フランスの文化であるスズランの日は、まだ日本にはなじんでいない文化ですが、徐々に認知度が高まってきています。

自分の大切な人や感謝を伝えたい人へ、相手の幸せを願ってスズランのブーケを贈る風習は、贈った相手も贈る自分も晴れやかな気持ちになれる行事です。メーデーに幸福のシンボルであるスズランを贈って、素敵な5月のスタートを切ってみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?