きれいな花も楽しめる!育てやすく人気のハーブの種類

まだ医療の発展していなかった時代、人間は薬用となるハーブを用いてきました。

また、肉や魚の調理の際には香草を使って臭みを消すなど、私たちの暮らしを助けてきたのがハーブです。

薬用や料理用として使われる以外にも、化粧品や香料としても幅広く使われ、現代においてもハーブのもたらす効果や効能は大切にされています。

その種類は2,000種類以上にも及ぶとされていますが、そんなハーブの中でも、きれいな花を楽しめる観賞価値の高いものをご紹介していきましょう。

 

そもそもハーブとは

ハーブとは品種名ではなく、薬効がある植物、もしくは内臓機能を良くするもの、精神的に安定効果やリラックス効果があるなど、心身に影響のある植物のことを指します。

他にも、料理の臭み消しや香り付け、香料や防虫対策としても用いられる植物です。

ハーブに位置付けられる植物は、どれも生命力が強く、栽培に不慣れな方でもどんどん繁殖させて増やしていくことができるため、初心者向けの品種が多くあります。

花壇や家庭菜園、鉢植えなどで良い香りのする植物を育ててみたいと考えている方にもおすすめですよ。

 

美しい花が楽しめるハーブたち

ハーブと聞くと、やはり葉を思い浮かべる方が多いと思いますが、ハーブには美しい花を咲かせる品種がたくさんあります。

育てていくうえでは、毎日のお世話の中できれいな花が咲くと、やっぱり嬉しいものですよね。

今回は、きれいな花が咲くハーブの品種に絞って、代表的なものをご紹介していきたいと思います。

 

アーティチョーク

科・属 キク科・チョウセンアザミ属
和名 (ちょうせんあざみ)
英名 Artichoke
学名 Cynara scolymus
原産地 地中海地方
花言葉 「警告」 「独立独歩」 「傷つく心」 「傷つく恋」 「そばにおいて」 「孤独」 「厳格」

キク科の「アーティチョーク」は欧米では野菜として食べられているハーブです。

日本ではあまり食用としてのなじみはありませんが、店頭に並んでいるアーティチョークは大きな蕾の状態で販売されています。その味はデンプン質のイモに似たような味です。

日本では主にガーデニング用の苗として流通しています。アーティチョークの花は、アザミの花によく似た形で細長い青紫色をしていますが、アザミよりもかなり大きく、花径は20センチになることもあります。

 

アガスターシェ

科・属 シソ科・カワミドリ属
和名 柳薄荷(やなぎはっか)
英名 Agastache
学名 Agastache
原産地 アメリカ
花言葉 「澄んだ心」

 「アガスターシェ」はアニスヒソップの園芸品種です。初夏から秋の終わりにかけてまでと花期が長く、たくさん花を咲かせてくれる見応えのあるハーブです。

アガスターシェはシソ科の植物なので、葉を軽く指で揉むように擦ってみると、すっきりした清涼感漂う香りがしますよ。この香りはドライにしても残るので、ポプリにして香りを長く楽しむこともできます。

 

アルカネット 

科・属 ムラサキ科・ウシノシタグサ属
和名 牛舌草(うしのしたぐさ)、アフリカ勿忘草(わすれなぐさ)
英名 Alkanet
学名 Anchusa officinalis
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「真実」「大切な思い出」「可憐」「偽り」「あなたを信じられない」

 「アルカネット」は、青紫色の小さな星形の花を咲かせる可愛らしいお花です。

雰囲気がどこかワスレナグサにも似ているのですが、茎が太く、その表面には毛が生えているのが特徴です。青紫色以外にも、白色や黄色の花色もあります。

もともとは食用として使われていたアルカネットですが、肝臓に有害となるアルカロイドが含まれている品種があると判明してからは食べられなくなりました。

属名の「Anchusa(アンチューサ)」とは、ギリシャ語で「化粧品」などの意味を持つ言葉ですが、これはアルカネットが染料として使われていたことに由来します。

 

エキナセア 

科・属 キク科・ムラサキバレンギク属(エキナセア属)
和名 紫馬簾菊(むらさきばれんぎく)
英名 eastern purple-coneflower, purple-coneflower
学名 Echinacea
原産地 北アメリカ
花言葉 「優しさ」「深い愛」「あなたの痛みを癒します」

 エキナセアは、夏から秋に開花するキク科のハーブ。

花の中心はイガグリのようなとげとげした形をしていて、咲き進むとイガグリが丸く膨らんで、その周りの花びらがそっくり返ってくる面白い開花の過程を楽しめる宿根草です。花の中心のイガグリのような部分はドライフラワーにもできます。

近年は園芸種のエキナセアの品種の育成が進み、草丈が低くコンパクトな品種や花色や花形のバラエティに富んだカラフルな品種が出回るようになりました。

 

オレガノ

科・属 シソ科・ハナハッカ属
和名 花薄荷(はなはっか)
英名 Oregano, Wild majoram
学名 Origanum vulgare
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「あなたの苦痛を除きます」「富」「輝き」「財産」「自然の恵み」

 肉やチーズと相性が良い「オレガノ」の名前は、スパイスに詳しい方であればなじみ深い名前ではないでしょうか。

シソ科のオレガノは、紅色のつぼみから、夏頃に淡いピンク色の花を咲かせるハーブです。

「花オレガノ」という花の観賞価値が高い園芸品種も登場しています。このような園芸品種は香りがほどんどないものが多く、食用にはなりません。オレガノの葉を食用として利用するために栽培する場合には、苗の購入時に食用か園芸用かを必ずチェックしてから購入しましょう。

 

カモミール 

科・属 キク科・ローマンカミツレ属(シカギク属)
和名 加密列(かみつれ)
英名 Chamomile
学名 Matricaria chamomilla
原産地 ヨーロッパ、アジア
花言葉 「逆境に耐える」「苦難の中の力」

 ハーブティーや香料として知名度の高い「カモミール」は、「植物のお医者さん」とも呼ばれているほど、古くから人間の暮らしの中で薬用として活躍してきたハーブです。

私たちの暮らしの中のあちこちのシーンで見かける機会があり、アロマグッズやハンドクリームなどの香料としてもおなじみですね。

飲み口がさっぱりとしているカモミールティーですが、爽やかな飲み口のものは「ジャーマン種」というカモミールティーです。

もうひとつの「ローマン種」のカモミールは、ハーブティーとしては苦味が強く飲みにくいため、その甘い香りを活かして、香料やグランドカバーなどに用いられます。

 

キャットミント 

科・属 シソ科・イヌハッカ属
和名 犬薄荷(いぬはっか)
英名 Catmint
学名 Nepeta faassenii
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「自由な愛」「無邪気」

 「キャットミント」は、近縁種に「キャットニップ」というマタタビに似た香りを発する品種があります。厳密に言えば、キャットミントはファーセニー種、キャットニップはカタリーナ種と異なるのですが、まとめてキャットミントの名前で流通しています。

キャットミントは以前は食用とされていましたが、現在では主に観賞用として流通しています。

花期が春から秋までと長く、花が寂しくなりがちな秋口までお庭を彩ってくれるので、ガーデニングでも人気のお花で、グランドカバーとしても使われます。

 

クリムゾンクローバー 

科・属 マメ科・トリフォリウム属(シャジクソウ属)
和名 紅花詰草(べにばなつめくさ)
英名 Crimson clover
学名 Trifolium incarnatum
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「素朴な愛らしさ」「胸に火を灯す」

 「クリムゾンクローバー」の呼び方よりも、「ストロベリーキャンドル」の名前で流通していることが多く、こちらの呼び名だと聞き覚えのある方も多いかと思います。

イチゴ色の花がキャンドル型になっているチャーミングな形状をしており、切り花でも人気が高いお花です。

クリムゾンクローバーはもともとは多年草の草花なのですが、日本の夏には弱く、夏越しができないため一年草とされています。

あまりメジャーではありませんが、クリムゾンクローバーの花はサラダとして、葉はスープや炒め物などにして食べることができます。他にも、牧草に混ぜて家畜の餌としたり、小動物のおやつとしても使われています。

 

スイカズラ 

科・属 スイカズラ科・スイカズラ属
和名 吸葛(すいかずら)、忍冬(にんどう)、金銀(きんぎんか)
英名 Honeysuckle, Japanese Honeysuckle
学名 Lonicera japonica
原産地 日本
花言葉 「愛の絆」「友愛」

 「スイカズラ」は、初夏に甘い香りの漂う花を咲かせるつる性の植物です。

子どもたちが花の蜜を吸うことと、つる性の植物を指す「葛(かずら)」が組み合わさって、「吸葛(すいかずら)」と呼ばれるようになりました。

初めは白かった花の色がだんだんと黄色く変わっていく様子から、「金銀花」の和名があり、他にも、厳しい冬の寒さの中でも葉をつけていることから、寒さに耐えるという意味で「忍冬(にんどう)」という別名も持っています。ハーブ名では「ハニーサックル」と呼ばれています。

スイカズラはつる性植物なので、庭のアーチやフェンスなどに這わせながら育てていくのがおすすめです。

 

セージ

科・属 シソ科・サルビア属
和名 薬用サルビア
英名 Sage, Common Sage, Garden Sage
学名 Salvia officinalis
原産地 地中海沿岸
花言葉 「知恵」「悲しみを和らげる」「健康」「長寿」「不老不死」

 和名で「薬用サルビア」とも呼ばれる「セージ」は、初夏になると淡い寒色系の涼しげな花を咲かせます。

コモンセージ、ホワイトセージ、ゴールデンセージなど豊富な種類が存在しています。

セージは殺菌・抗菌作用を持っているため、薬用としてはもちろん、ハーブティーや肉の臭みを消す料理のスパイスとしても幅広く使われている代表的なハーブのひとつです。

セージには古くから魔除けや浄化の力があると考えられ、神聖な植物として大事にされてきました。

生命力が強いため、長寿や不老不死の力も備わっているとも考えられていたようです。学名にもなっている「Salvia」とは「救う」を意味するラテン語が語源になっていると言われています。

 

ナスタチウム 

科・属 ノウゼンハレン科・ノウゼンハレン属
和名 金蓮花(きんれんか)
英名 Nasturtium
学名 Tropaeolum majus
原産地 ペルー
花言葉 「勝利」「愛国心」「困難に打ち勝つ」「恋の炎」「恋の火」

 「ナスタチウム」は、和名の「金蓮花(きんれんか)」としても流通しています。

近年人気の高い、食べられるエディブルフラワーとしても有名です。花だけではなく、葉もサラダなどにして食べることができますよ。ナスタチウムの味は、ぴりっとしていてワサビに似た辛さを感じると言われています。

鮮やかな花色が多く、葉は丸みを帯びていてやさしげな雰囲気を持っています。この丸みのある葉がハスの葉に似ていることが和名の由来です。

 

バジル 

科・属 シソ科・メボウキ属
和名 目箒(めぼうき)
英名 Basil
学名 Ocimum basilicum
原産地 熱帯アジア
花言葉 「神聖」「好意」「好感」「何という幸運」

 ハーブといえば、まずバジルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

料理では肉とも魚とも相性が良いため、ソースとしても使われているハーブです。バジルの効能には、鎮静作用などのリラックス効果の他にも、整腸作用があると言われています。

和名では「目箒」というちょっと不思議な名前が付いていますが、これはバジルの種子を目に入れることで、目の中の水分で浸み出していったゼリー状の物質が目の中に入ったゴミを除去してくれることに由来しています。

バジルは穂状に連なる花を咲かせますが、食用として使いたい場合には花は咲かせないほうがおすすめです。

 

フェンネル 

科・属 セリ科・ウイキョウ属
和名 茴香(ういきょう)
英名 Fennel
学名 Foeniculum vulgare
原産地 地中海沿岸
花言葉 「賞賛に値する」「背伸びした恋」「強い意志」

 「フェンネル」は属名である「ウイキョウ」とも呼ばれることがあります。初夏になると小さな傘状の黄色い花を咲かせる、可愛らしい雰囲気を持つお花です。

薬用的な効能としては、眼精疲労を和らげる効果や女性ホルモンに働きかけることで母乳の出が良くなる効果が期待できます。

フェンネルの種子はスパイスとしても使われ、カレーに入れる粒状や粉状の「フェンネルシード」としてご存じの方も多いかもしれません。食用としても使われるフェンネルは、葉をサラダに使ったり、魚や肉料理の臭い消しや香り付けにも用いられています。

 

マロウ 

科・属 アオイ科・ゼニアオイ属
和名 銭葵(ぜにあおい)
英名 Mallow
学名 Malva
原産地 ヨーロッパ
花言葉 「穏やか」「柔和な心」

 アオイ科の「マロウ」は、夜明けのハーブティーとも呼ばれるマロウティーに使われるハーブとして有名です。

マロウティーは、淹れたときは美しい青色をしていますが、レモン果汁などを垂らすとピンク色へと変化していきます。その様子が夜から朝への夜明けを連想させるため、夜明けのハーブティーと呼ばれています。

ハーブティーに使われるのは「ゼニアオイ」と「コモンマロウ」という品種で、マロウには園芸用品種もあるので、ハーブティー用に栽培したい場合には、購入前に品種をきちんと確認しておくと良いでしょう。

マロウによく似た同じアオイ科の花に、夏空の下で茎を高く伸ばして咲くタチアオイがあります。

 

ラベンダー 

科・属 シソ科・ラベンダー属
和名 薫衣草(くぬえそう・くんいそう)
英名 Lavender
学名 Lavandula
原産地 地中海沿岸
花言葉 「沈黙」「清潔」

 「ハーブの女王」とも呼ばれる「ラベンダー」は、涼しい気候の中で咲くハーブです。

北海道では観光名所にもなっているラベンダー畑が多くあり、一面が紫色で覆われた美しい光景を眺めることができます。

香りにリラックス効果のあるラベンダーの香料は、アロマやバスグッズ、ハンドクリームなど生活のシーンでよく見かける香りです。花を乾燥させても香りが残るので、ポプリやサシェとしても使われています。

ラベンダーを束ねて、ドライフラワーやスワッグにしてインテリアアイテムとして飾るのもおすすめです。

 

ルッコラ 

科・属 アブラナ科・キバナスズシロ属
和名 黄花蘿(きばなすずしろ)
英名 Rocket, Arugula
学名 Eruca vesicaria
原産地 地中海沿岸
花言葉 「私に振り向いて」「競争」

 「ルッコラ」は、病気にかかりにくく、生命力も強いので初心者でも栽培しやすいハーブです。

古代ローマ時代から食用として栽培されており、かのクレオパトラも美貌を保つためにルッコラを好んで食していたそうです。

アブラナ科のルッコラはゴマに似た風味と辛味があるハーブで、イタリア料理には欠かせない存在です。サラダにするにはまだ若い葉を使うのが美味しく、花もエディブルフラワーとして食べられます。

 

まとめ

今回は、薬用や食用として使われるハーブの中でも、美しくきれいな花を咲かせる品種に絞って、代表的なものをご紹介してきました。

人間の暮らしを古くから支えてきてくれたハーブたちは、医療技術が進歩した現代においてもその役割を果たしてくれています。

家庭で栽培したハーブを使って料理に挑戦してみたり、香りの良いハーブをポプリやドライフラワーにしてみたりと、楽しみ方はいろいろあります。

ハーブは比較的育てやすい植物なので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてくださいね。

 

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